中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

主治医を頼ろう

2014年07月28日 | 情報
まず、企業サイドから見た「主治医」の評価です。
はっきりと申し上げて「主治医」は「かたき役」です、なぜか?
それは企業サイドから見ると、「主治医」のみが唯一の部外者だからです。
しかし、これは事実であって致し方がないことです。
あと、大きな理由が二つあります。
ひとつは、「診断書」に病名を正確に記していない
もうひとつは、「診断書」に「復職可」とあるが、
どう考えてみても、働くことができる状態にない
この二つの理由から、主治医を信用することはできない、ということです。
これは、大きな誤解から起きている思い込みなのですが、現実です。
因みに、小生のセミナーで小生が「主治医」という単語を発すると、会場内に「失笑」が漏れます。
これは、「誤解」なのですが、「思い込み」を解決する必要があると考えます。

一方で、小生は、職場復帰支援は、「復帰可」の「診断書」が提出されてから始まるのではなく、
労働者が休職した時から始まるのだ、と強調しています。
なぜなら、休職したときから当該労働者に関わらないと、あとあと困るのは企業であるからと説明しています。
ですから、「主治医」に対して、当該労働者(患者)の業務内容、性格・行動、
事業所の事業内容、復職判断時の会社としての要望等を説明しておくことが重要ですと、解説しています。
さらには、当該労働者(患者)の承認、説明の予約、主治医への謝礼の必要を付記しています。
しかし、その理由・背景などは、これは小生のアドバイスノウハウの一つですので、詳細は省略させていただきます。

現実的な提案です。
産業医の選任義務のない企業が頼るのは、結局は「主治医」しかいないことを理解してください。
周囲を見回してください。医療の専門家はいますか?休職者の主治医以外には、いませんよね。
因みに、行政の見解では、このような中小零細企業は、地域産保に相談してください、ということなのですが、
この地域産保には格差があって、「当てにならない」センターが沢山あるのです。
もちろん、中には積極的な活動をしているセンターがあることも承知しています。
このような地域では、地域産保を頼るのが正しいあり方ですが、小生、全国の実態を承知していないので、申し上げているのです。

先日、臨床医の団体のセミナーを聴講させていただきました。
「主治医」の立場から、 石井メンタルクリニックの石井先生、後楽園クリニックの辻野先生の貴重な経験談を拝聴できました。
両先生が、企業の現実や要求に寄り添う姿勢には、新たな「主治医」像に接した思いがあり、感銘を受けました。

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