「会社の不正受給が原因でうつ病」 元経理責任者が賠償請求
2022年4月9日 日経
勤務先会社が雇用調整助成金(雇調金)の不正受給を繰り返したため強い不安を感じてうつ病を発症した末、退職させられたとして、
経理責任者だった男性が9日までに、会社に約720万円の損害賠償と地位確認を求め、東京地裁に労働審判を申し立てた。
男性側は雇調金の不正受給は少なくとも9千万円超に上ると主張。昨年10月、東京労働局に調査を申し入れた。
勤務先は宝石や衣類のリユースを手がける「STAYGOLD」(東京)で、男性は経理などを担うコーポレート部の部長だった。
男性側によると、同社は2020年4月から新型コロナウイルスの影響で休業し、企業の休業手当を国が補填する雇調金を申請。
しかし同8月からは営業を再開したのに休業中と偽って申請を続け、同12月分までの計約9200万円を受け取っていたという。
また、売り上げを過少申告し、国や都による新型コロナ対策の融資も受けていた。
(参考)労働審判手続 最高裁HP
https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_minzi/roudousinpan/index.html
1.労働審判手続の概要
労働審判手続は,解雇や給料の不払など,個々の労働者と事業主との間の労働関係のトラブルを,その実情に即し,
迅速,適正かつ実効的に解決するための手続です。
訴訟手続とは異なり非公開の手続です。
2.労働審判手続の特徴
(1)労働関係の専門家による関与
労働審判手続は,労働審判官(裁判官)1名と労働審判員2名で組織する労働審判委員会が行います。
労働審判員は,雇用関係の実情や労使慣行等に関する詳しい知識と豊富な経験を持つ者の中から任命され,
中立かつ公正な立場で,審理・判断に加わります。
(2)迅速な手続
原則として3回以内の期日で審理を終えることになっているため,迅速な解決が期待できます。
平成18年から令和元年までに終了した事件について,平均審理期間は77.2日であり,70.5%の事件が申立てから3か月以内に終了しています。
(3)事案の実情に即した柔軟な解決
労働審判委員会は,まず調停という話合いによる解決を試み,話合いがまとまらない場合には,
審理の結果認められた当事者間の権利関係と手続の経過を踏まえ,事案の実情に即した判断(労働審判)を行い,柔軟な解決を図ります。
(4)異議申立てによる訴訟移行
労働審判に不服のある当事者は,異議申立てをすることができます。
適法な異議申立てがなされた場合は,労働審判は効力を失い,訴訟手続に移行します。
◎労働審判制度の特徴や手続の流れ等を分かりやすく説明したリーフレットです。
https://www.courts.go.jp/vc-files/courts/2021/roudou/R3roudousinpan.pdf
◎民事事件Q&A
https://www.courts.go.jp/saiban/qa/qa_minzi/index.html#qa_minzi_45
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