中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

ゲーム・ネット依存増える

2021年05月06日 | 情報

コロナでゲーム・ネット依存増える 対応迫られる心の病
2021年4月29日 朝日

長引くコロナ禍でメンタルヘルス対策が課題になっている。
新型コロナウイルスの感染拡大によるうつ病や自殺が増えることが懸念され、
日本では自殺者が11年ぶりに増加に転じた。とりくみは十分なのだろうか。

広がるストレスや不安
「コロナ禍の生活で、インターネットやスマートフォンの依存症になりやすくなっている。
とくに若い人はリスクが大きい」
国際電気通信基礎技術研究所(ATR)の川人光男・脳情報通信総合研究所長はこう話す。

KDDIと川人さんらが5万人の成人を対象にコロナ禍の前後での違いを調べたオンライン調査では、
コロナ禍でインターネットゲーム依存症の可能性があると判断された人の割合は
4・1%、ネット依存症は7・8%だった。
コロナ禍前後で調査に参加し比較できた4000人では、それぞれ1・6倍、1・5倍だった。

30歳未満の比較的若い世代では、さらにその傾向が強まったという。
行動自粛によるストレスや、将来への不安など、さまざまな要因が考えられる。
調査論文はまだ専門家による査読中の段階だが、川人さんは「対策の検討を急がなければならない」と話す。
コロナへの感染は、人の精神状態や脳にどのような影響を与えるのか。データが少しずつ出始めている。

脳へのウイルスの影響
英オックスフォード大が英医学誌ランセットの関連誌で発表した論文では、
23万人の回復したコロナ患者の診療データを分析した結果、不安障害の発生は17%、
うつなどの気分障害は14%と、高い割合を示した。

脳へのウイルスの影響はどうなのだろうか。
国内外のコロナ関連の臨床研究論文を分析しウェブで発信している下畑享良・岐阜大教授(脳神経内科)は
「認知機能の低下の可能性を示唆する論文が徐々に増えつつある。
また、頭痛や味覚障害などコロナ患者では神経筋症状がしばしば合併する。
脳内で炎症が起こっている報告はあり、神経細胞を伝ってウイルスが侵入したり、脳関門が破壊されたりして、
そこからウイルスが入り込む可能性が考えられている」と指摘する。
後遺症との関連なども含めて脳機能にどのような影響を及ぼしているのか、解明が課題だという。

ニューロフィードバック
脳の画像を確認しながら脳機能が変わるように誘導して精神疾患を治療する
「ニューロフィードバック法」(NF法)が注目されている。
ATRや広島大などがとりくんでいて、精神疾患の人の脳の画像のデータベース化も進めている。
すでに国内13施設から、うつ病や自閉症スペクトラム症、統合失調症などの人や健常者の約3千の画像を集めた。
広島大脳・こころ・感性科学研究センターの山脇成人特任教授らは4月に広島県内で実証研究を始める
プロジェクトを立ち上げた。

同意を得られた人から、個人情報保護に配慮しつつ、スマートウォッチなどを使い、脳を含む生体情報を集める。
それを人工知能(AI)で分析した結果を個別にスマホで参加する人に戻す。
ストレス状況を可視化し、治療に結びつけられるか検討するという。

山脇さんはこれまで、うつ病の治療に使われる抗うつ薬の効果を脳の画像で事前に予測するなど、
重症のうつ病治療の臨床研究にとりくんできた。

女性の半数はゆううつな気分
15歳以上の3千人の広島市民を対象にした準備調査では、長引くコロナ禍で、
「ゆううつな気分になることが増えた」という人は、男性で39%、女性で55%を占めた。

山脇さんは「長期的に見た場合、コロナの後遺症としてのうつ病などメンタルヘルス対策は必ず重要になってくる。
日本のとりくみはまだ不十分だ。人との接触も限られるコロナ禍では、脳科学や情報通信技術(ICT)、
AIを使い個別に対応できるシステムの開発が重要だ」と話す。

31学会で成る「日本脳科学関連学会連合」は昨年6月、脳科学にもとづくメンタルヘルス体制の整備を求める
緊急提言を出した。

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