中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

有給休暇取得、企業に責任

2015年01月12日 | 情報
有給休暇取得について、企業に対し時期指定を義務づけると、どのような事態になるのか、みなさん、想定してみてください。
昨年は、行政が検討しているとの報道を紹介しましたが、いよいよ実現する情勢になったようです。
小生には、「小手先」の対応のようにしか映りませんが。
それよりも、「なぜ、付与された有給休暇日数を取得できないのか」をはっきりさせる必要があるのではないでしょうか。
記事にあるように、「従業員が請求しなければ、企業は有給休暇を与えなくても違法ではなく」が原因なのでしょうか。

有給休暇取得、企業に責任…時期指定義務づけ
読売新聞 1月7日(水)

政府が26日召集予定の通常国会に提出する労働基準法改正案の骨子が明らかになった。
企業に対し、従業員がいつ有給休暇を取得するか時期を指定することを義務づけ、確実に取得させることが柱だ。
働き過ぎを防止し、仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)の実現を図る狙いがある。
有給休暇は、休んでも賃金が支払われる制度で、勤続6か月以上で、
定められた勤務日の8割以上出勤した従業員が原則として年間10日から20日間取得できる。
勤続年数に応じて日数は増える。パート従業員でも、週5日以上勤務などの要件を満たせば、取得することができる。
現行の法律でも、企業は従業員に有給休暇を取得させなければならないと定めている。
しかし、従業員が自ら、いつ休むか時期を指定して請求することが前提となっている。
従業員が請求しなければ、企業は有給休暇を与えなくても違法ではなく、取得率が低迷する要因になっている。

(参考)有休消化、企業に義務付け
14.10.9

小生、この対策では、むしろ長時間残業が「増える」と予測しています。
なぜか、労働者が自分の業務を遂行するための、年間総労働時間は年度によって大きな増減はありません。
ですから、有給休暇を完全消化しろとの指示があれば、有給休暇分の労働時間を他の労働日に平均して割り振らざるをえません。
例えば、未消化の有給休暇が20日間あるとすれば、1日8時間労働として合計160時間を、
他の就労日に割り振らなければならないということです。
ということは、年間の総残業時間がさらに160時間が増えることになります。
会社が、この160時間分の業務量を他の従業員に振り替えてくれるのならば、
目標を達成することが出来るでしょうが、そんなことは考えられません。
最悪を想定すると、所謂「サービス残業」が限りなく増えるということになります。
そもそも、なぜ日本の労働者は、こんなに長時間働かなければならないのか、働いているのか、
その原因を解明しないと何の解決にも繋がりません。対処療法では無理なのです。
しかし、解決の糸口はあります。日本の労働者の生産性は、先進諸国のなかで最低水準だそうです。
「生産性」とはなにか、をまず確認しなければなりませんが、
なぜ生産性が低いのかを原因追及することからスタートすることが必要でしょう。
みなさんは、この報道をどのように受け止めますか?

有休消化、企業に義務付け 長時間労働を是正
厚労省が検討
2014/10/3 日本経済新聞

厚生労働省は企業に対して社員の有給休暇の消化を義務付ける検討に入った。(以下省略)
コメント
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