中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

今どきの朝礼事情

2013年06月26日 | 情報
職場でハラスメントが多い理由は、調査結果によると、ダントツの1位にされているのが、コミュニケーション不足です。
そのコミュニケーション不足を解消しようと試みる事業所を紹介する記事が掲載されていましたので、以下に転載します。


握手、体操…ゲーム感覚で笑顔に 今どきの朝礼事情
2013/6/17 日本経済新聞 電子版

職場の朝礼を従業員の結束ややる気につながるよう工夫する動きが広がっている。
新人に話をさせたり、ゲームで盛り上がったりして、一日の仕事を気持ちよく始める準備をする。
人間関係に悩む職場は多いが、朝礼をうまく活用すると職場の雰囲気を変える原動力になるようだ。
話すコツを取得
「隣の部署の吉永君は一見もの静かだけど、本当はお酒大好きでおしゃべり。
私生活では最近ショッキングなエピソードがあって……」。
朝9時、衣料品通販サイト「ゾゾタウン」を運営するスタートトゥデイの広告宣伝部で毎朝開く朝礼が始まった。
4月に入ったばかりの新人2人がタブレット端末を手に、別の部署に配属になった同期を紹介する。
楽しげに聞いているのは先輩社員たち。「見た目と違うね」「もう少し突っ込んでほしかったな」と合いの手も入った。
朝礼ではあいさつと業務連絡を手短に済ませた後、曜日変わりの「思わず笑顔になる」メニューで締めるのが恒例だ。
例えば月曜日は職場仲間で本気のじゃんけん、火曜は最初の1人が決めたテーマに沿って順番に1行ずつ言葉をつなげて1編仕上げる
リレー式の即興ポエムづくりをする。朝礼はいつも10分程度で終わるが、
朝の職場の雰囲気を変えるスイッチの役割を果たしている。
新人の同期紹介は金曜のメニュー。責任者の小高洋介さん(31)から「最初の仕事。朝礼のメニューを考えて」と
投げかけられて新人2人が発案した。
中田真吾さん(22)は「朝礼で何をすべきか分からなかったけれど、同期が75人と多くてよく分からないと先輩に言われたのを思い出して。
これなら新人にしかできないと提案してみた」と話す。
もう一人の稲葉ひかるさん(22)も「最初はうまく紹介できなくて場がシーンとなったが、
続けるうちに同期の私たちも知らなかったことが発掘できた。
『朝礼の時に紹介された新人ね』って先輩と話すきっかけにもなっている」と喜ぶ。
2人とも「朝礼にこういうイメージはなかった」と口をそろえる。なぜ一風変わった朝礼を始めたのか。
小高さんは「周囲からは羽目を外しているようにみえるかもしれないが、
朝の眠気を払い、笑顔でスタートを切れる方法を模索してきた結果」と説明する。
会社が成長し新人も中途入社も増えた。1日いても会話を交わさない人も出てくる。
同僚の人となりを知り、朝からやる気を引き出したい。そのための時間を一人一人が役割を持って参加する形でつくろうと考えた。
人前で話すコツや企画力など仕事につながる面も自ずと磨かれるという。
同僚の一体感を高める機会に朝礼を活用するのは中小企業や工場、商店で多い。
ラムネ菓子やキャラメルをつくる安部製菓(名古屋市)は朝礼に「握手の時間」がある。
屋外での社是唱和や体操の後で従業員が2列になり、移動しながら全員が握手し合う。
参加する社員にも「今日も一日がんばろうと思える」と好評だ。
誕生日に贈り物
誕生日を迎える従業員には朝礼で社長自らプレゼントを渡し、皆が口々にその人のよいところを発表する時間もある。
安部彰二社長(55)は「社内に派閥ができて人間関係がよくない時期があった。
朝礼のやり方を変えて社員の心がひとつになってきた」と話す。
朝礼に1時間以上を費やすのは健康食品や化粧品の通販を手掛ける沖縄教育出版(那覇市)。
2人ずつ向き合って握手し3回手をたたいて「ハッピー」と声を出しつつ笑顔をつくる「ハッピー体操」をする。
初めは恥ずかしがる人が大半だが、続けるうちに笑みがこぼれるようになるという。
メニューはほかにも従業員同士が褒め合う「ビューティーチェック」など盛りだくさん。
最近は自分のことを何でもいいので20分間話し続ける「自己開示」が始まった。
崎山俊樹さん(32)は「15分過ぎると考えてきたことが尽きて本音が出てくるので、皆が自然と聞き入る。
お互いを知ることで仲間との信頼感が生まれている」と話す。
創刊30年近い雑誌「月刊朝礼」の編集人、渡部仁さん(50)は「デジタル時代でコミュニケーションの方法が変わるなか、
その反動もあって顔をつき合わせる朝礼が再評価されている」とみる。
「飲みニュケーション」が敬遠されがちな今、マンネリに陥らないユニークな朝礼が増えていくのかもしれない。
「職場で孤独感じる」6割
産業能率大学(東京都世田谷区)が20~50歳代を対象に実施したビジネスマン調査では
「職場の人と仕事以外で付き合いたいか」との質問に3分の2は否定的だった。
「職場で孤独を感じることがあるか」には「たまに」まで含めると6割が「ある」と回答した。
産能大総合研究所の中村浩史研究員(37)は「仕事の範囲が広がってあいまいになり、困っても周囲に相談しにくい。
忙しいと気配りする余裕もない。職場全体として課題を共有しにくくなっている」とみる。
そのうえで「東日本大震災を機に、職場でも人のつながりの大切さを再認識する人は増えている。
朝礼のひと工夫もそうした意識の表れだろう」と分析する。

コメント (1)
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