中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

職場復帰支援制度は、ほんとに必要か

2013年06月06日 | 情報
前日、「なぜ、職場復帰支援制度は必要か」を掲載しました。
しかし、本日は、真逆のタイトルです。なぜかを以下に説明します。

最も簡明なのは、職場復帰支援制度は法令で定められていませんので、制度を導入する必要がないのです。
あくまでも、企業・組織が独自に制定する、「任意」の制度だからです。

筆者は、拙著や当ブログにおいて、中小企業に相応しい、「人、モノ、金」のかからないMH対策と職場復帰支援制度を
提案していますが、「人、モノ、金」が全くかからないのかと問われると、そうではありませんと回答せざるを得ません。
中小企業の経営は、大変です。アベノミクス効果が波及するまで待てないのが実態です。
当然に、職場復帰支援制度まで、考えが及ばないのは無理からぬものがあるのは理解できます。
事実ですが、意識的に職場復帰支援制度がない、日本を代表するような大企業もあります。
筆者は、中途半端な職場復帰支援制度ならば、むしろ無いほうが企業経営上、メリットは多いと感じています。
そうなると、職場復帰支援制度は、ほんとに必要か、という疑問にぶち当たります。

しかし、以下に職場復帰支援制度がない場合の問題点を列記しますので、
企業・組織の事情に合わせて職場復帰支援制度の導入是非についてご検討ください。

うつ病等の精神疾患り患者が、職場復帰を希望した場合には、いきなり原職復帰ということになります。
しかし、休職前のパフォーマンスが発揮できるようになったら復職を認めます、とされていても、
寛解した程度の労働者が職場復帰するのですから、再発の危険性は高まります。
判例を紹介してきましたが、御社ではどう対応されますか?

次に、中小企業に多い事例ですが、職場復帰を希望する従業員が、「余人に代えがたい」人材である場合です。
会社としては、当該従業員にはどうしても職場復帰してほしいと考えます。
しかし、職場復帰支援制度がない場合にはどうなるでしょう。
当該従業員だけは、特別扱いですか。これも多くの問題・課題を指摘できますよね。

さらに、他の従業員への心理的影響です。自分が働いている会社は、ずいぶんと冷たい扱いをするのだなと。
これでは、安心して働くことができないではないかと、考えてしまいます。
従業員の労働意欲を維持・向上させ、生産性の向上をもってして企業業績に反映することができなくなります。
コメント
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