中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

当時者が休まない

2013年06月12日 | 情報
精神疾患にり患した従業員が、精神科を受診し、主治医より休業・休職を勧められたが、当事者が納得しない、
休みたくないと主張するので、主治医が難渋しているという事例があります。
どのように対処したらよいのか、という問いかけを受けました。

原因の一つとしては、従来型のうつ病り患者に見られるのですが、当事者に責任感が強いために
自分が休んだら、代わりの者はいないし、業務が滞ってしまうという危機感から、
休むことができないと主張するパターンがあります。
しかし、この場合は、所属企業の担当者や上司が説明すれば、解決する問題ですね。

もう一つは、重大な疾患が発覚することにより、当事者が職を失うのではないかと恐れている場合が考えられます。
一般的に、従業員は所属企業の就業規則を正確・詳細に承知していないものです。
このような場合には、会社は当事者に対し、健康保険の傷病手当金や休職制度などを規定している御社の就業規則を説明し、
当事者に安心して休養・療養できることを理解させる必要があります。

そして、ようやく、「休業を必要とする」とした診断書が、会社に提出されることになります。
会社は、産業医の判断を仰ぎ、産業医が診断書の内容を可とした場合に、
初めて、会社は精神疾患のり患者に休職を発令することになります。

なお、休職を必要とする診断書が提出されているのにもかかわらず、当事者がどうしても休職しようとしない場合はどうするか。
就業規則に規程してあれば、会社命令で休職を指示することができますが、
就業規則に規程していない場合であっても、労働契約法第5条の安全配慮義務の履行を根拠にして、
休職命令に正当性・合理性があれば、休職を命じることも可能です。
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