中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

主治医との連携

2013年06月14日 | 情報
MH問題では、企業は主治医との連携を重要視しなければなりません。
ただし、前提として当事者の了解・了承のもとに進めることになります。
できれば、初期の段階で必要に応じて、同行できればなお結構ということです。

MH疾患者は、休業する前段階において、事業所内で何らかのトラブルを惹起しています。
さらに休業・休職の勧めにも素直に応じない場合があります。
ですから、会社としては、会社の担当者としては、当事者が取りあえず休業してくれると、
「ほっとして」しまって、いわゆる「エアポケット」に入り、その後の対策・対応が疎かになってしまう傾向があります。
しかし、ここからが大切な段階であることを強調しなければなりません。

まず、会社は、当事者の主治医に対して、会社の現状、当事者の担当業務、
それから最も大切なことですが、復職する際の体調への希望等を説明しておかなければなりません。
なぜか、当事者が主治医に対して、自分の体調や将来の希望について、上手に説明できない場合があるからです。
さらに、自分に不都合なことを隠ぺいしたり、ひどい場合は、嘘をつく場合もあるからです。
これを放置すれば、主治医は、当事者(患者)の言うことを信用して、治療に当たらなければなりません。
主治医も、当然にこうした危険性を承知していますので、当事者(患者)が勤務する会社の関係者から
説明を受けたいと望んでいます。

因みに、会社の説明には、どうしても30分や1時間という時間を費やすことになります。
しかし、会社側には、主治医に対して「謝礼」が必要、「謝礼」を支払うという観念が欠如しているようです。
現状、精神科の領域はとても多忙を極めており、診察時間が5分というような極端な事例がみられます。
それなのに、主治医側にとっては、無報酬で30分や1時間にわたり会社の説明を受けなければならないのかという、
ジレンマに陥っているのが現状です。
臨床医の業界においても、こうした会社側からの説明に対して、報酬を請求してよいのか、どのくらいの額を請求してよいのか、
という議論が起きています。

筆者は、報酬は必要と考えています。しかし、精神科専門医の先生は、このことについてはっきりと仰らないのですが、
いろいろな情報を集約すると、30分で5000円から10,000円という額が適当でしょう。
もちろん、もっと少なくてよい、という意見もあります。要するに無頓着は失礼、謝意を表すことが重要ということでしょう。

以上申し上げたことは、他の類似の対策本やMH対策を標榜するセミナーにおいても殆ど触れることはありません。
しかし、筆者のセミナーでは、MH対策の一環として重要視しています。
要するに、極めて具体的、実務的な内容になっています。
また、拙著「中小企業の『うつ病』対策」においても触れていますので、参照してください。
なお、主治医がどのような情報を必要としているかは、当ブログの'13.5.10「主治医への情報提供」にて、詳述していますので
参照してください。



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