うつ病をはじめとして精神疾患をり患、休職することになると、労務に服することができなくなりますので、
当然に賃金の支払いがなくなります。
そこで、労働者の生活を保障する制度のひとつが、健康保険の「傷病手当金」です。
なぜ、このような基本的な法令について説明するのかというと、
中には、雇用保険の基本手当(いわゆる失業保険)と混同し、「傷病手当金」を受給するためには、
一定以上の勤続年数が必要と理解されている人事労務担当もいらっしゃいましたので、ここで
「傷病手当金」の受給要件を確認しましょう。
また、制度の精神、趣旨を正しく理解し、正しく運用できるよう理解・協力をお願いします。
「傷病手当金」は、会社の健康保険組合や全国健康保険協会(協会けんぽ)の加入者だけが対象です。
ですから、国民健康保険の被保険者は、対象外になります。
次の3要件を満たした時に支給されます。
①療養中であること。
②労務に服することができないこと。仕事ができないことで、保険者が判断します。
③継続した3日間の待機期間を満たしていること。
②の労務に服することができなくなった日の翌日から3日間連続で労務不能であること。
「傷病手当金」の支給額は、1日につき標準報酬日額の6割相当額です。
分りやすくいうと、月給の30分の1の6割と理解してください。
「傷病手当金」の支給期間は、その支給を始めた日(普通・休業した日から4日目)から起算して、1年6ヶ月間です。
因みに、多くの中小企業が「休職」期間を1年6月にしているのは、この傷病手当金の支給期間が、
「1年6ヶ月間」であることによります。
また、働くことができない期間に①、②、③に該当する場合は、傷病手当金の支給額が調整(減額)されます。
①事業主から報酬の支給を受けた場合
②同一の傷病により障害厚生年金を受けている場合(同一の傷病による国民年金の障害基礎年金を受けるときは、その合算額)
③退職後、老齢厚生年金や老齢基礎年金又は退職共済年金などを受けている場合 (複数の老齢給付を受けるときは、その合算額)
①~③の支給日額が、傷病手当金の日額より多いときは、傷病手当金の支給されません。
①~③の支給日額が、傷病手当金の日額より少ないときは、その差額を支給することになります。