熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

ネットショッピングの威力とカカクコム

2009年09月09日 | 中小企業と経営
   「インターネットの登場以来、買い物に出かける頻度は激減した。最後にデパートに行ったのはいつか、思い出せないくらいだ。」と言うのは、「グーグル的思考」の著者ジェフ・ジャービス。
   店は、退屈な場所に成り下がり、どこの店も置いている品物は一緒だし、品揃えもネットショップには遠く及ばない。在庫がないことはしょっちゅうだし、価格もインターネットで探せばもっと安く手に入る。商品に関する情報も、店員に聞くより、グーグルで探した方が詳しく分かる、と言って、店に行くのは、ガソリン代と時間の無駄だとのたまうのである。

   ネットショップでは、楽天やヤフーが御馴染みだが、私が一番お世話になっているのは、カカクコムのサイトである。
   昔は、カメラや家電など品目が限られていたが、今では、色々な商品に手を広げて、旅行や不動産、FXまで手を広げる総合サイトに変身しているが、何と言っても最も役に立つのは、色々な商品の実勢価格が分かることで、どこの店で買えば一番安いかをたちどころに教えてくれることである。
   商品名や製品型式などを入力してクリックすれば、一挙に、最低の値段の店から一覧展示され、マニアの口コミ情報から消費者の評価等々商品に関する多くの情報を掴むことが出来る。

   出展している店舗は、ネットショップが多いので、特売価格を除けば、大型ディスカウント店で有名なヨドバシカメラやビッグカメラなどよりも遥かに安い場合が多く、大型家電量販店もお手上げの状態で、今まで、どこよりも安く他より1円でも高ければ値引きすると豪語していた販売戦略も空しくなってしまっている。
   寅さんではないが、「白木屋黒木屋の紅白粉つけたお姉さんが・・・」と言うような綺麗な店舗を構えて立派な身なりをした店員を置いて売っているような店ではないので、限りなくオーバーヘッド・コストが安く、ビジネス・モデルが全く違うのである。

   私は、商品名や型番などはっきりした一流企業の製品などでは、どこで買っても同じなので、結構、このカカクコムのサイトで店を特定して買うことがある。
   大型家電などは、信用度確認のために店舗情報やサイトでの消費者の評価や販売頻度などをチェックして、知らない店舗で買うこともあるが、カメラなどは、秋葉原などの店へ直接出かけることもある。
   殆どの店は、販売用店舗なしの倉庫などからの直送店舗に徹しているようであるが、秋葉原には、販売店舗を併設した多くの小さなネットショップがある。あくまでネットショップ本位なので、間口2~3間奥行き5~6間程度の店舗に所狭しとパソコンや家電製品、カメラなどが置かれていて、僅かな店員が忙しく立ち働いており、地方発送なのかパッキングにかかりきりの店員もいる。
   こんな店であるから、在庫は現品限りと言うか極めて少なく、売り切れればしまいで回転率は非常に早い。
   インターネット一発で勝負して、クロネコヤマトなどの宅配を使えばよいのであるから、流通販売経費等コストを考えれば、ヤマダ電機であろうとビッグカメラであろうと太刀打ちできる相手ではない。

   ところで、カカクコムであるが、20年度3月期の決算数字だが、売上高97億円に対して、売上総利益80億円、営業利益39億円、当期純利益23億円と言う驚異的な業績を上げている。
   プログラム担当のソフト・エンジニアの人件費が結構かかるのだと言っているが、インターネットの世界のeトレードであるから、極端に言えば、一度、プログラムを設定してプラットフォームさえ構築すれば、殆ど変動コストはかからないはずであり、M&Aとか、事業拡大などの経営戦略を誤らなければ、利益基調は間違いない有望事業であり、グーグルを他山の石としてどこまで事業展開出来るか興味のあるところである。
   セキュリティ・フェアで、社長が、ウイルス感染や不正アクセスでの情報流出などについて社運をかけた危機管理対策について述べていたが、デジタル時代のICT産業の宿命でもあろうか。

   さて、これまで、商業そのものが、インターネットの普及によって、既に、企業が主体ではなくなり、消費者の方が多くの情報を握る主客逆転時代に入ってしまって、百貨店や書店など、生きて行くためには、これまでのやり方を止めて、ビジネス・モデルを根本的に変えなければならないと論じてきた。
   ものを安く買うためには、今や、店舗に出かけるよりもネットショッピングの方が遥かに有利となり、どんどん店舗離れが進んで行き、現実にも、毎年、百貨店の前年割れの業績発表が止まることがない。
   ネットショッピングに、ダブルベッディングするだけでは、アマゾンに負けたバーンズ&ノーブルのようにどっちつかずに終わってしまう。
   百貨店や書店等、折角立派な場を提供しているのであるから、店頭に出かければ、十分に楽しめるとか価値ある豊かな経験が出来るとか、日々の生活に付加価値をつけられような工夫をして、消費者に喜びを与えられるような経営戦略を編み出せないものなのであろうか。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 花形はアジア市場をターゲッ... | トップ | トマト栽培日記・・・(20... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

中小企業と経営」カテゴリの最新記事