熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

ギリシャの経済的困窮は対岸の火事か

2011年09月17日 | 政治・経済・社会
   今日のNHKのワールドWaveでドイツZDFが、「財務相会議、米長官の要望は拒否」に続いて、「ギリシャ高い失業率、貧困者増加」と言うタイトルで、今回の一連の厳しい財政削減の結果、ギリシャの国民の困窮状態が、如何に酷いかを放映していた。
   失業が既に16.3%、24歳以下の失業率は38.5%で、国民の3分の1は、貧困すれすれか貧困層に堕ち込み、バランスのとれた食事をとれず健康悪化の恐れがあるばかりか、光熱費さえ払えなくなり厳寒の冬を越せないのだと言う。

   ZDFは、この口絵写真の様に、ごみ箱から残飯や利用できるモノを漁っている人々や政府・教会・ボランティア団体が無料で提供する炊き出しに集まる人々の映像を執拗に追いかけていたのだが、これらの人々は、必ずしも、貧困者ばかりではなく、これまで、中流階級で何の不自由もしなかった人たちまでをも巻き込んでいると言う。
   40歳から55歳くらいまでの人が多く、失業して、ローンが返済できなくなって自己破産した人たちだと言う。
   ホームレスは、昨年の2万人から、今や、2万5千人。
   もう、ギリシャは、今回の財政危機で、国民生活を行き着くところまで陥れて、経済社会の基盤まで、崩してしまった。
   
   ポーランドで開催の財務相会合で、10月中旬に、ギリシャへ、80億ユーロの融資をすると言う決定がなされて、一段落したとみられているが、これには、ギリシャが、EUの突き付ける厳しい財政赤字の削減などの約束を守ると言う過酷な条件が付いている。
   益々窮乏化して行き、経済成長のあても手段ももぎ取られてしまったギリシャには、極論すれば、パルテノンをアメリカか中国か、どこかに売っぱらうくらいの英断がない限り解決手段はなく、10月が越せたとしても、3か月毎に地獄の責め苦が待っており、破綻は時間の問題だと言う。
   火の粉を被りたくない欧米は、時間稼ぎの意識しかなく、既に、ギリシャ破綻を前提にして手を打ち始めている。
   ガイトナー財務長官など、余程、アメリカ経済が深刻なのか、再選が危機的状態なのでオバマ大統領に促されたのか、ポーランドまで出て来て、債務危機の回避と同時に財政出動を訴えたが、EU側は、新しい景気対策などは論外で歳出削減路線で行くとけんもほろろ。

   安定した優等生のデンマークで、10年ぶりに政権が交代し、社会民主党の女性党首ヘレ・トーニング・シュミット氏(44)が同国初の女性首相に就任する。
   経済状態が悪化して、失業の増大など国民の不満の反映だと言う。
   また、スペインでは、最近、憲法に国家債務の上限を規定することになったようだが、更に、高額所得者への増税を復活させるのだと言う。
   ギリシャやスペインと同様に、財政危機に直面しているイタリアでも、政府の引き締め政策に反対して、派手な国民のデモが頻発し始めている。
   ノールウェイで発生したイスラム排斥テロのような問題が、ヨーロッパのあっちこっちで起こっており、文明の衝突と言うべきか、多文化主義が試練に立っている。
   中東・北アフリカのみならず、ヨーロッパも、燃えている(?)のである。

   とにかく、サブプライム問題とリーマンブラザーズ危機以降、グローバル経済社会のエコシステムが半身不随状態となって、世界中が平静を失って右往左往して、経済機能がマヒ状態である。
   第4次産業革命とも言うべき大イノベーションが勃発して経済が上げ潮に乗れれば良いのだが、先のICTおよび金融革命を頂点にして、今や、コンドラティエフ循環の下降局面に入ってしまっている。
   人口動態的予測においても、大ブレークするのは、新興国ではインドくらいで、後は、アフリカなど発展途上の貧困国で、大きな経済成長の期待は持てない。

   問題は、わが日本国の将来。
   ギリシャの経済的困窮は対岸の火事か、と言うことである。
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