熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

第10期みずほフィナンシャルグループ株主総会

2012年06月26日 | 経営・ビジネス
   キプロスも金融支援を申請し、正に、ユーロの将来さえ危うく、リーマン・ショック時よりも深刻だと言われている欧米大不況下にありながらの、日本のメガ・バンクの株主総会の先頭を切って開かれたみずほフィナンシャルグループの株主総会だったが、そんな世界経済の現状は、何のその、無きも同然の馬耳東風で、至って平穏無事に終了した。
   何時ものように、総ての質問が終わって採決に入った時点で、席を立ったのが、丁度、午後一時前であったから、3時間の総会である。
   
   どうせ、委任状で既に承認が確定しているので、株主総会は、セレモニーなのだが、会社提案は、剰余金の処分、取締役3名選任、監査役1名選任の3議案。
   株主から問題が提起されたのは、取締役の選任で、その適格性と選任プロセスが問題となり、総会で増資をしないと確約した塚本隆史会長が総会後にだまし討ちで増資した件、救い難きシステム障害を起こした当時の責任者である高橋秀行常務と阿部大作常務が再任されると言う件で、銀行は苦しい言い逃れ答弁をしていたが、要するに、コーポレート・ガバナンス無視ないし軽視であると同時に、どこかで役員人材が血栓症状を起こしているのであろうと言う以外にはなかろう。

   株主提案は、定款変更を意図した10議案にのぼり、大半は、経営者が経営指針として考慮すべき事項ではあろうが、定款に記載すべき事項かどうかは、疑問だが、提案事項は至って常識的であって、その提案遵守は、経営にプラスと思われることが大半で、招集通知に記されている「当社取締り役会の意見」として書かれている反対説明文が極めて紋切り型の秀才の論文調で、誠意のなさで馬脚を露呈している感じである。
   カネボウに対する低廉過ぎるTOBと営業譲渡を例証しての利害関係ある場合の株式評価と、サンテックの増資提案を例証しての政策保有株式の議決権行使に関する提案変更の株主提案に対して、会社は理屈にならない理屈で反論していたが、このケースなどは、今後誠意をもって対処すると言った答弁とか十分な説明責任くらいは果たすべきであろう。
  
   もう一つ、株主提案で興味を引いたのは、役員の報酬合計額を、1株あたりに自己資本が、三菱UFJ、又は、三井住友のそれに達するまでは、3千万円とする定款変更である。
   提案株主は、激昂して議長に詰め寄っていたのだが、他の何人かの株主も同様に、みずほの株価や配当が、メガバンク中最低であり、それにも拘らず、役員報酬が高くて不透明であり、更に、収益アップと株主利益に貢献するような働きをしているように見えない経営陣の無能かつ怠慢ぶりに対する憤懣やるかたなき思いが爆発した感じである。

   これに対しては、みずほ改革プログラムを完遂して企業価値を高めるために一所懸命努力をしていると、会社は鸚鵡返しに答えるばかりであり、更に付け加えるのは、ONE MIZUHO.グループが一丸となってお客さまのより良い未来の創造に貢献することだと、これさえやっておれば、業績がアップして企業価値が向上すると強調する。
   勿論、改革プログラムの説明もなければ、連結当期純利益を5000億円目標とすると言う程度の言及で、ホームページを見ても、言うならば、ある程度の数字目標を設定したみずほの中期経営計画であって、抽象的でもあり、これさえ実現すれば、みずほの経営は大丈夫かどうかは分からないし、冒頭で触れたように、グローバル、グローバルと言いながら、殆どグローバル経済、グローバル経営環境はノータッチである。
   銀行・信託・証券・アセットマネジメント会社などをフルラインで擁する金融グループとしての強みを最大限に発揮し、お客さまに高度で多面的なサービスを提供致しますと、みずほ銀行とみずほコーポレート銀行の合併と みずほ証券とみずほインベスターズ証券の合併のメリットを強調するのだが、既に、大きくなり過ぎて制度疲労が極に達しており、知恵が総身に回りかねてしまった上の、合併とグループ一丸化が、どれ程効果があるのか、疑問なしとしない。

   株主の不満が、証券子会社に向かっていたが、みずほ証券の特別退職金計上や繰延税金資産の取り崩しや株価下落で1000億円近い損失を計上しており、システム不備や能力不足や対応の拙さが指摘されていた。
   興味を引いたのは、婦人株主が、老人相手に狙い撃ちして、欲しくもない金融商品を売りつけていて、振り込め詐欺より高額で酷いと指摘したのだが、常務役員が、みずほインベスター証券で、聞き及んでいると認めていたことで、更に、別の株主からは、賞味期限切れの株ばかり売りつけるので取引を停止したとの発言があったし、いまだに、バブル時代の銀行商売と少しも変わっていないのか、と言う思いがした。

   誰かが言っていたが、苦情を言おうにも、約束を取った支店長が逃げ回って会ってくれないと言うような状態であり、いまだに敷居の高い銀行であるから、株主総会が、いきおい、苦情発言会のような状態になってしまう。

   私も、いわば、ファンでもあるから泡沫株主とは言え株を持っているのであって、苦言を呈するつもりはない。
   しかし、あのバブル崩壊後の不良債権処理で呻吟し、更にリーマンショックによる世界的な金融危機に直面し、それに追い打ちをかけてヨーロッパ経済危機の真っ只中にある苦境続きのメガバンクであるのだから、通り一辺倒の、どうでも良い秀才の論文調の総会ではなく、もっと、真正面から、風雲急を告げている時流に向かって、どのようにして、経営戦略を打って立ち向かうのか、焦点」を絞ったパンチの利いたメリハリのある役員の経営哲学なり経営方針を聴きたかったと思っているのだが、戯言であろうか。
   最後になったが、議長を勤めた佐藤康博取締役社長だが、株主の質問を掻い摘んで復唱するのだが、株主が十分に表現できなかったところを、実に巧みに捕捉しながら明確に説明を加えていた。
   ところが、常務役員の中には、机上のモニターの回答を読んでいるのか、全く誠意に欠ける紋切り型の回答を悪びれずにしていたのが気になった。
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