熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

都響定期・・・小泉和裕指揮「皇帝」とシューマン:交響曲第2番

2017年05月31日 | クラシック音楽・オペラ
   4月末のプロムナード・コンサートに行けなくて、振替プログラムで、同じ小泉和裕指揮の第833回 定期演奏会Aシリーズに出かけた。
   以前に、このAシリーズの定期に通って居たのだが、年8回の夜のコンサートが苦痛になって止めてしまったので、久しぶりの文化会館での都響である。
   プログラムは、
指揮/小泉和裕
ピアノ/アブデル・ラーマン・エル=バシャ
曲目
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番 変ホ長調 op.73《皇帝》
シューマン:交響曲第2番 ハ長調 op.61

   学生時代に、クラシック音楽に興味を持ち始めて、最初に手に取ったレコードは、有名な交響曲や3大ピアノ協奏曲や3大ヴァイオリン協奏曲と言った定番なのだが、その1枚が、
このベートーヴェンの「皇帝」で、ウィルヘルム・バックハウスのピアノで、指揮:ハンス・シュミット=イッセルシュテットの ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団のレコードであった。
   同じ ヴィルヘルム・バックハウス(P)で、ハンス・クナッパーツブッシュ指揮のバイエルン国立歌劇場管弦楽団のレコードもあったが、これやカラヤンなどのレコードを買ったのは、もっと後からであった。
   私が実演に接したのは、ヴィルヘルム・ケンプやスヴャトスラフ・リヒテルやアルトゥーロ・ベネデッティ・ミケランジェリあたりからで、バックハウスなどは、既に亡くなっていて、豪快で質実剛健な折り目正しい演奏は、レコードで聴く以外にはなかった。
   ピアニストは、ホロビッツとルービンシュタインは聴く機会を逸したが、殆どの著名ピアニストのコンサートには行っていて、その後、海外に出て、フィラデルフィア管やアムステルダム・コンセルトヘヴォー、ロンドン響などで、実際の生演奏に接してからは、益々、好きになったピアノ協奏曲である。

   今夜、この「皇帝」を聴くのは、本当に久しぶりで、聴き込んだ好きな曲なので、頭の中をベートーヴェンが駆け巡り、一気に気分が高揚し、楽しいひと時を過ごすことができた。
   迂闊にも、ピアニストのアブデル・ラーマン・エル=バシャ をよく知らなかったのだが、淡々とした表情でピアノを奏でる姿は、どこか高僧に似た崇高な威厳のある雰囲気でありながら、第2楽章冒頭の柔らかくて美しい音色など、天国からのようなサウンドであり、激しく高揚するダイナミックな演奏も緩急自在で、感動的であった。
   私など、随分、クラシック音楽鑑賞には年季が入ってはいるが、いまだに、ハ長調がどうだとか曲想がどうだとかと言ったことは分からないし無頓着であり、コンサート・ホールに行って、自分の恣意的で個人的な感性だけで聴いて満足している。
   幸い、ヨーロッパ生活も比較的長いし、結構、歩いてきたので、その音楽が生まれた故郷の背景や情景などは思い出せるので、その思いを増幅させて想像豊かに聴いていることが多い。
   ベートーヴェンもモーツアルトもシューマンも、故郷や活躍した故地を訪ねても、何故、これだけ素晴らしい音楽を生み出せたのか、感に堪えず驚嘆の一言だが、小澤征爾さんが言っていたように、神が手を取って作曲させたのであろうと思っている。

   シューマンの交響曲は、第1番の「春」や第3番の「ライン」は、聴く機会があったが、この第2番は、聴いたのか聴かなかったのか、記憶にない。
   
   端正で折り目正しい小泉和裕の指揮は、都響を限りなく豊かにダイナミックに歌わせて、観客を魅了していた。

コメント
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