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熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

グリーン・ニュー・ディールがIT革命を超えるのか・・・寺島実郎学長

2009年06月10日 | 政治・経済・社会
   今夜、麻生総理大臣が、温暖化ガス排出削減の中期目標を発表し、2020年時点で、05年比15%削減すると宣言した。
   この少し前に、日経エコロジー等の主催で「日本が拓く!低炭素社会への道 第4回成長と環境を考える賢人会議」で、経団連21世紀政策研究所の澤昭裕研究主管が、特別講演「POST京都の展望」で説明していたので知っていたのだが、この目標は日本の産業界にとっては厳しかろうが、しかし、そんな悠長なことを言っていて、宇宙船地球号を救えるのかと言うのが、私の正直な気持ちであった。

   ドイツの会議で、この日本の目標を聞いたインドの代表が、先進国は、40%くらいを削減目標にしないと駄目だとコメントしていた。
   確かに、新興国や途上国に厳しい数字を課して成長を阻害するよりも、まず先に、ここまで地球環境を悪化させた元凶である先進国が、生活水準を悪化させてでも、もっと、ドラスティックに温暖化ガスを削減するのが、すじだと考えられよう。

   ところで、私が面白いと思ったのは、この賢人会議の冒頭の特別講演「エネルギーと環境の国際動向」で、寺島実郎氏が、オバマ大統領のグリーン・ニュー・ディールが、アメリカの再生のために、花開くのかあだ花に終わるのか、岐路に立っているとして、太陽光、風力、バイオマスなどの代替エネルギーの将来を問うたことである。
   1980年代から90年の前半にかけて、現在のようにアメリカの時代の終わりだと揶揄されていたが、軍事技術であったアーパネットを民生用に開放して生まれたインターネットによるIT革命によって、アメリカは、不死鳥のように蘇った。
   これと同じように、グリーン・ニュー・ディールが、IT革命が果たしたように、アメリカ経済をドラスティックに再生させる起爆剤とならないであろうかと言うのである。

   尤も、この再生可能エネルギーだが、現在でも3%以下で、小型分散型の発電であって、どう考えても刺身のつま程度で、主食になりそうもないのだが、何故、ブレイクスルーとなり得るのか。
   これは、先日、このブログで、電気自動車へのパラダイム・シフトを論じたときに紹介したが、伊藤洋一氏も同じ考え方をしており、IT革命によって引き起こされたパーソナル化の進展が、鍵となる。
   
   話が飛躍するが、寺島氏の後で講演を行ったグーグルの村上憲郎名誉会長が、グーグルの環境への取り組みGoing Green at Googleを説明しながら、ソーラー、風力、地熱などの小口発電の活用と同時に、スマート・グリッドへの意欲的な傾斜について熱っぽく語っていた。
   最早、今日においては、スーパーコンピューターに変わってパソコンが主流となる時代であり、デジタル革命によって加速されてきたICTの世界は、携帯電話などの正にパーソナルな携帯端末に、取って代わられようとしている。

   個人の生活においても、屋根などを利用した太陽光発電がもっと普及すれば、エネルギーのパーソナル化が更に進み、これに、電気自動車のプラグイン化が進み、願わくば、その電気自動車が太陽電池など自家発電装置を搭載できれば、エネルギー革命の進展は、計り知れない。
   これは、トフラーが説いた生産消費者(プロシューマー)、すなわち、消費者が自分自身で生産しながら消費する、と言うパーソナル化による生活革命の進展でもある。

   これに、IT技術が呼応して、更なるネットワーク化の進展のみならず、イノベーションを誘発することとなり、大きな経済社会そして産業革命を引き起こすかもしれない。
   再生エネルギーとITとの相関と融合が進めば、大化けして、パラダイムシフトして、丁度、ITがアメリカを蘇らせたように、オバマのアメリカを再起させることになるかも知れない、そんな話を、寺島氏は語ったのである。

   寺島氏の指摘で、もうひとつ面白かったのは、これらの再生エネルギーは、総て国産エネルギーであって、これを戦略的に推進できれば、環境問題のみならず、エネルギー安全保障にも有効だと言うことである。
  1859年にペンシルバニアで石油が出たばかりに、安くて豊富な石油を湯水のように使って、これに頼り切って、20世紀の経済社会の繁栄を謳歌してきたのだが、最早、人類のエネルギー源は、電気が主体であり、その電気エネルギーは、地球環境を破壊しない再生によってしか、人類の生活を維持出来なくなってしまった。

   このことを肝に銘じるかどうかが、グリーン・ニュー・ディールの将来の帰趨を決すると言うことであろうか。
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