2012/11/24
ぽかぽか春庭日常茶飯事典>十二単日記2012年秋(13)中国王朝の至宝展・東京国立博物館
東博本館で出雲展をみたあと、平成館へ。中国王朝の至宝展(12月24日まで)。
中国六千年の歴史、紀元前二千年の夏王朝、殷王朝から、紀元後1200年の宋の時代までの、古代中国の遺物の展示です。
根がケチなので、入場券を自腹で買ったときは、500円のガイドイヤホンは節約して借りないのですが、この日は無料の招待券なので、ガイドイヤホンを借りました。音声解説は、展示品の脇に出ている説明プレートに書かれている以上のことはそんなにしゃべらないのですが、お話をききながら展示を見ていると、なにやら分かった気になる。
http://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=1495
日中友好条約締結40周年の展覧会です。こちらでは、暗雲垂れ込める政治情勢は別として、中国の文化を知ろうとする善男善女がひきもきらす会場に押しかけているのに対し、かの地では、フィギュアスケート中国杯の応援に出かけたツアー客も参加の選手も「ホテルから一歩も外に出たら安全は保障しない」という国情。文化度、民度の違いですかね。
これまで、最初の中国王朝といえば、伝説の夏王朝や、最後の王は「殷の第30代帝、暴君紂王(ちゅうおう」というその名を私でも知っている殷王朝。(「酒池肉林」とは、紂王の事跡というのだが、後世の伝説は最後になって滅ぼされた王だから悪く言っているだけのようで、紂王はけっこうよい治世をおこなったということのようです)。
黄河中原の夏王朝、殷王朝と同時期に、長江流域の四川盆地に蜀(しょく)王朝があったことが、近年の考古学発掘の進展によってわかってきました。
四川省成都市金沙遺跡出土の、前16~前15世紀に作られた黄金の仮面、青銅器の爵(しゃく=酒を注ぐ器)などが展示されていました。
黄金の仮面
虎座鳳凰架鼓 戦国時代・前4世紀 湖北省・荊州博物館蔵
殷の次の周王朝の展示品はなくて、次の第2章は、春秋戦国時代の斉や魯王朝。孔子は、魯王朝の時代に生きた人です。魯国の曲阜に、孔子の墓があります。私は2007年に、山東省曲阜市に行き、三孔(孔廟、孔林、孔府・旧称は衍聖公府)を訪れました。
今回の展示では、魯や孔子に関する展示は、孔廟や孔林(孔子一族の広大な墓)の写真のみの展示でした。孔廟や孔林の写真は、私もたくさん撮ったのですが、今パソコンを探しても、どこにしまったか分からなくなってしまいました。パソコン内蔵写真も整理整頓が必要ですね。
秦の始皇帝の時代の展示では、矢を構える武人ともう一体の兵馬俑が展示されていました。兵馬俑の写真も、2007年の西安旅行で撮ったのですが、このとき、カメラのメモリーカードが満杯になり、ケータイで写真を撮って、そのケータイが壊れたらデータが取り出せないで、そのまま。どうも中国での写真はうまく保存できていません。
時代を下って、宋の時代まで、たくさんの遺物、出土品を見ました。宋は今年のNHK大河ドラマ「平清盛」で、清盛が盛んに「宋と貿易をしたい」と言っていたのでも、わかるとおり、当時の世界の中で最高の文化力を持った国でした。今年1月には、宋時代の有名絵画「清明上河図(せいめいじょうがず)」を見るために東博平成館で3時間も並んで待ったことを思い出しました。中国北宋の都開封の都城内外を描いた絵でした。
中国6000年の歴史をたどり、遣隋使遣唐使のいにしえ、江戸時代鎖国中の清との貿易まで思い返せば、日本はなんと多くを中国文化に負ってきたことでしょう。
それに比べると、歴史上、日本文化が中国に与えた影響はないとはいえないまでもごく少ないような気がします。日宋貿易でも日本からの輸出は銅や硫黄などくらいで、文化輸出といえば、日本刀と扇の輸出くらいでした。
現代文化の上で、アニメのドラゴンボールやクレヨンしんちゃんの海賊版で中国の子どもたちに絶大な人気を誇っているのくらいが、まあ日本文化の中国への浸透と言えましょうか。
中国の考古学発掘は、まだ研究が始まったばかりです。秦の始皇帝陵で兵馬俑が発掘されたのでさえ、たった40年前の1974年のこと。上記の成都市金沙遺跡が発掘された野など、12年前の2000年のことです。これからどんな歴史的な発掘発見があるかと思うと楽しみです。
中国のGDP(Gross Domestic Product国内総生産)が日本を追い抜きました。国力は十分なのですから、全国民の教育や文化面をもっともっと充実させ、国内格差を是正してほしいです。出稼ぎの賃金さえ不払いになってしまうことがないように、生活に不満を持つ階層の人が、その腹いせを日本製自動車や日本式デパートに向けたりしないよう、民度の熟成を図ってほしい。
中国。漢文漢詩、論語から莫言まで、好きです。兵馬俑の舞踊人形から千手観音(中国の聴覚障害者ダンス集団)まで、好きです。中国文化、もっともっと知りたいです。
<つづく>