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ぽかぽか春庭「愚痴ぐちグチ」

2012-11-13 00:00:01 | エッセイ、コラム
2012/11/13
ぽかぽか春庭日常茶飯事典>十二単日記2012年秋(5)愚痴ぐちグチ

 10月15日月曜日。仕事が思ったより早く終わったので、駅ビルでお総菜を買って、姑のところに行く。牛蒡サラダ、キノコサラダなど。
 駅に着いて電話したけれど、出ない。土日の週末に泊まった夫に電話したら「月曜日には詩吟に出かけるかも知れないと言っていた。出かける気になったのは、元気になってきた証拠。詩吟はたぶん、1時半か2時からだから、4時前には終わるだろう」と言う。
 しかたがないから、駅前の中華屋に入って、中華お総菜が好きな姑のために、レバニラ炒めを注文。娘が夕べ炊いたお赤飯のおにぎりを入れておいたお弁当箱にレバニラを詰める。入りきらない分は、お腹につめる。

 3時45分に電話してもまだ出ないので、しかたがないから、踏切脇のコンビニで時間つぶし。どんなものを売っているのか、一回り。最近の姑は、コンビニのお弁当などもいやがらなくなってきたというので、親子丼をひとつ買う。これは明日の分にしてもらおう。
 姑宅の鍵は、合い鍵が作れない防犯しっかりの型で、夫と娘が持っており、私には無し。前もって行くことがわかっていれば、合い鍵を借りたのだけれど、15日は、急遽行くことを決めたので、姑が居ることを確認してから玄関前に行かないとならない。
 4時にもう1度電話したら出た。出かけていたのではなくて、昼寝していたのだと。

 コンビニ親子丼を冷蔵庫に入れ「これ、賞味期限は18日までですよ」と、念をいれる。私は鉄の胃袋なので、賞味期限を1日過ぎて食べてもなんでもないけれど、姑が期限切れのものなんか食べてお腹こわしでもしたら、ヨメが悪いってことになるじゃないの。
 姑のおしゃべりを2時間聞いてから、買ってきたレバニラやサラダを並べて、お赤飯をチンして、夕食。孫娘が炊いたおこわと思うとおいしいらしく、「医者から糖質は控えるように言われているけれど、たまにはいいわね」とごきげんで食べています。

 姑のおしゃべり、山形時代のこどものころの話は、何度同じ話を聞かされても、おとぎ話のように何度でも聞いていられるのだけれど、今日はいつもの「娘婿がしょうもない人だったことの愚痴」だった。

 姑にとっての最愛の娘(夫の姉)が癌になって、50歳の誕生日前に死んでしまったことは、姑人生最大の痛恨事。二番目の痛恨事は、その長女の孫娘が、姑の意に染まぬ結婚をしてしまったこと。子どもが二人生まれた今でも、頑としてこの結婚を認めず、ひ孫に会うこともしない。
 「娘が不安定な、定期収入のない人と結婚したいっていったとき、もっと強く反対していればよかった。翻訳家なんてこれほどしょうもない仕事だって知らずに許してしまったので、娘は貧乏暮らしが続いて、苦労してガンにもなってしまった。だから、孫の結婚でも、私は今度は、絶対に許そうと思わない」という無限ループの話を、今回も拝聴。

 この話、何度かはおとなしく聞いたのだけれど、何回目かに同じ愚痴を聞いたとき、「でも、お母さん、不安定な定期収入のない人と結婚して、そのあとずっと貧乏暮らしで苦労続きだったのは、私も同じですよ」と、言ってやった。あなたの息子だって、あなたの気に入らぬ娘婿と同じじゃないの。

 それで、その後からは、姑はこの愚痴の最後に付け足すようになった。「あなたは、自分で仕事を見つけて働くようになったから、子ども達もちゃんと大学まで出たけれど、むこうの孫達は、一番上だけは私が援助して大学をだしたのに、ああいう結婚をしてしまって。二番目と三番目は、高卒以来、フリーターだもの」と、愚痴は続く。

 フリーターを蔑視する姑に告げる。現代社会では、正社員とか安定した暮らしを望んでも得るのは難しいし、若者の半数は正社員ではない働き方をしているのだから、と、現代社会一般論に話をむけたのだけれど、姑にとって、現代社会の問題点なんかはぜんぜん問題じゃなくて、世の中社会がどうであろうと、自分の孫だけは「人様に自慢できるようなところ」に安定した職業を持ってほしい、ということなのだ。

 この価値観、こののちも変わらないだろうと思う。で、この先も同じ愚痴を何十回と聞くことになるのだろう。これもヨメの勤めとかや。
 姑のほうから「同居して」と言わないのをいいことに、通いのヨメで申し訳ないけれど、私だって、私が働かなければ、一家で飢える。姑の愚痴の聞かされ役くらいで勘弁してもらいたい。これもあれも、「不安定な、定期収入のない人と結婚した私」のせいなのだから。
 夫が自営で稼いだ分は、すべて夫だけが使っていて、家族には何の恩恵もない。「不安定な翻訳家」のほうが、まだしも、家族を養ったと言えるんじゃないの?
 「不安定な自営業より、不安定な翻訳家のほうがまだまし」と言いたかったけれど、これ以上姑の体調が悪くなると私が困るから、だまって、姑の話を拝聴。たぶん、姑は、自分の息子が家族を養うために働いていると信じているだろうから。

 姑のところに10月15日に行った翌日あたりから咳が出始めて、近所のクリニックに通ったのだけれどいっこうによくならず、咳がようようおさまるまで1ヶ月かかりました。咳している間は「そんな咳していて、おばあちゃんに風邪うつしたら困るでしょう」と娘に言われて、訪問を控え11月はまだ姑のグチをきいていません。
 咳がおさまったら、また、同じ愚痴を聞きにいきましょう。

<つづく>
コメント (4)
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