十分間俳句

発見・感動・創造! 子どもたちの感性を培い日本語力を高める十分間俳句

寺田寅彦の「俳句の精神」より

2008-02-12 | 雑感

寺田寅彦の「俳句の精神」より、いくつかの箇所書き抜いておく。


★俳句という物の成立の基礎条件になるものが日本人固有の自然観の特異性である・・・


★日本人は西洋人のように自然と人間とを別々に切り離して対立させるという言わば物質科学的の態度をとる代わりに、人間と自然とをいっしょにしてそれを一つの全機的な有機体と見ようとする傾向を多分にもっているように見える。


★従来俳句について客観と主観ということが問題になることがしばしばあった。・・・・自分の考えているような日本人の自然観をどだいにする立場から見れば、こうした言葉はかなり無意味な物になってくる。なぜかと言えば人間と自然とを切り離して対立させない限り、主と客との対立的な差別がなくなってしまうからである。


★・・・俳句の季題と名付けられたあらゆる言葉がそうである。「春雨」とか「秋風」というような言葉は、日本人にとつては決して単なる気象学上の述語ではなくて、それぞれに莫大な空間と時間との間に広がる無限の事象とそれにつながる人間の肉体ならびに精神の活動の種々相を極度に圧縮し、煎じ詰めたエッセンスである。・・・・・「象徴」なのである。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。