櫻井節さんから「ぜぴゅろす」第五号をいただいた。
櫻井節さんは、清里で自在舎「ぜぴゅろす」を営んでおり、20年以上にわたって彼の地の文化的な活動の重要な一翼を担っておられる。
風立つ高原の文芸誌「ぜぴゅろす」はその旗印である。
ゼビュロスとは、もともとギリシャ神話の春と初夏のそよ風を運ぶ西風の神を意味するが、平仮名の「ぜびゅろす」は、日本を代表する詩人の一人である杉山平一さんの詩集の題名からとった。
杉山平一さんの詩を一つ。
純粋
世の中は
くらく 濁って
(それはそれでよいのだが)
僕の前の卓子の上
コップに水は澄み透っている
それを身体に入れて
もう一ぺん 僕は立ち上がる
『ぜぴゅろす』
なんと、今回の雑誌の特集が 一首・一句がもたらすもの 短詩型世界を照射する というのだ。
杉山さんも一文を寄せている。
かれ朶に烏のとまりけり秋の暮 芭蕉
の句を挙げ、一瞬と永遠の連続性について論究している。
巻頭には、上野千鶴子さんの講演記録 鶴見和子の短歌-回生のよすがとして-
があり、黒田杏子、木津川計、眉村卓らの文章が連なっている。
頒価 一部 七百円 連絡先は、0551-48-3574 自在舎