岩波書店の宣伝雑誌「図書」に丸谷才一が「無地のネクタイ」というコラムを連載している。
今回の題は、「名前をつける」である。
旧日本海軍の戦艦や巡洋艦の名前の趣味が良かったと言うところから始まって、最近の都市の名前のつけ方に話題を移し、西東京とか、北九州とか四国中央とか、つくば未来市とか・・・・まともでない と嘆いている。
先日、中村真一郎の会に行ったら、丸谷才一が挨拶をした。彼には、「挨拶集」という本がある。なぜ、そんなものを全部出版できるのかと思ったら、彼は話をするすべての内容を原稿に起こし、それを読み上げるのである。挨拶だけでなく、講演も同じだ。当意即妙ではなく、きっちりと作り上げるのだ。すごい人である。
で、名前の話だが、「効率」というものが最高の価値となったときに、こうした町の名前の付け方が出てくるのではないだろうか。簡単に言えば、郵便配達がどうすればやりやすいか。そういうことだろう。
つまり、番地からの発想だ。これが複雑では確かにやりきれない。その番地の延長線上でいえば、町も番号にしてしまえということになる。郵便番号が出来たので、効率の方はそちらに任せれば、町の名前はもう少しゆとりが出てくるというのが、現在の状況ではないか。
ナンバースクールの発想もそういうところにあると思うのだが、戦前も 日比谷高校は、一中だし、戸山高校は四中という具合ということを考えれば、戦後のアメリカナイズということに原因を求めるわけにもいかない。
特に新制中学は多くの区でナンバーが振られている。ある意味、町と関係ないところに学校があったということだろう。
逆に、最近の学校統廃合でできた新しい学校ではそういうことは皆無だ。町の関係者が統廃合協議会に深く絡んでいる証拠でもある。
こんなところにもセンスが問われる。
私が、直面した統廃合 小菅小学校と小谷野小学校の 統合校の名前 「こすげ小学校」はどうだあろうか。