医科栄養学・栄養医学ブログ

医学部で医科栄養学を学んだ経験と最新の栄養医学をこのブログに反映したいと、考えています。

体内時計と栄養の関係について 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2013-12-23 16:55:45 | 健康・病気

今までは、体内時計と栄養の関係は未知でしたが、この関係を研究している研究者が、最近、この関係について、論文を発表したので、そのポイントについて考えていきたいと、思います。

カリフォルニア大学のDonald Bren博士らの研究によると、栄養が体内時計の24時間リズムを通じて、代謝に影響することが明らかになりました。

高脂肪食は、肝臓の代謝機能を調整する体内時計のコントロールの分子メカニズムに影響します。これらの体内時計の24時間リズムの破たんは、糖尿病、肥満、それに高血圧など、代謝性疾患の一因になる可能性があります。Bren博士らは、栄養学的にバランスのとれた低脂肪食に変えると、このリズムが正常化されることを、発見しました。

体内時計の24時間時計は、食事の栄養成分の内容に依存しており、再プログラミング化することができることを、研究で明らかにされました。このことは、高脂肪制限食に対する新しい薬理学的ターゲットの確認にもつながります。

体内時計の24時間リズムは、ほとんどすべての生物において、重要な生理学的機能に影響します。この体内時計は、環境的変化を予測したり、また、それらを日中の最適な時間に合わせます。これらのリズムの変動は、ヒトの健康に深く関係します。ヒトの遺伝子の15%までは、24時間リズムの日夜パターンにより調整されており、これらは肝臓の代謝経路に関係します。

高脂肪食は、二つの主要なメカニズムによって、肝臓の体内時計を再プログラミング化します。ヒトはCLOCK:BMAL1と呼ばれる体内時計レギュレイタ―遺伝子を遅らせることにより、正常なサイクルをブロックします。もう一方は、正常に変動しないこの遺伝子、また、主としてPPARーガンマ―と呼ばれる因子によって、この遺伝子を活性化することにより、変動する性質を持つ新しいプログラムを開始し始めます。

以前は炎症性反応と脂肪組織の形成が考えられましたが、この因子は、高脂肪食の摂取により変化します。この再プログラミング化は、肥満とは関係なく起こり、もっぱらカロリー摂取に左右され、体内24時間時計への例外的に順応することは、注目すべきことであると、Sassone-Corsi博士は述べています。また、筋肉、脂肪、脳、血漿などの体内時計に及ぼす高脂肪食の影響は、今後の研究課題と、考えられます。体内時計のリズムと栄養摂取の関係が注目され始めたことは、栄養医学にとって画期的な事です。

References

Kristin L.eckel-Maham et al: Reprogramming of the Circadian Clock by Nutritional Challenge. Cell, 2013: 155(7): 1464 DOI

Nutrition influences metabolism through circadian rhythms, study finds: ScienceDaily.Dec. 19,2013

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