医科栄養学・栄養医学ブログ

医学部で医科栄養学を学んだ経験と最新の栄養医学をこのブログに反映したいと、考えています。

卵巣ガンの抗酸化物質療法、化学療法、それにビタミンC点滴療法の併用療法の症例について 日本ビタミンC研究会 栄養医学ブログ

2013-12-21 23:07:33 | 健康・病気

進行性卵巣ガンの生存率は極めて悪いので、患者らは、化学療法に併用して、抗酸化栄養素の摂取を選んでいるのが、米国では多く見られます。ここでは、カンザス大学のDrisko医師らの症例二例のポイントを紹介したいと、考えています。

卵巣ガンの症例
進行性上皮卵巣ガン患者二名の中で、一人はステージⅢのpapillary serous adenocarcinomaで、もう一人はステージⅢのpapillary serous adenocarcinomaとpapillaryseromucinous adenocarcinomaでした。両患者は、rboplatium/paclitaxel化学療法の実施前に、著しいガン細胞の縮小が認められました。患者2は同程度の病状に続く、化学療法の開始が遅れ、治療の開始前にガンの進行が認められました。患者1は治療を開始して一カ月間、抗酸化物質療法が実施され、vitaminC, vitaminE, beta-carotene, Q10, multivitamin/mineralなどを経口摂取しました。また、抗酸化物質の経口投与に加えて、患者1は、化学療法の終わりとpaclitaxel療法の前に、ビタミンC点滴療法を60g/回、週二回、受けました。また、患者2は、化学療法を行う前に、前述の抗酸化物質(抗酸化栄養素)を経口的に摂取しました。そして、6サイクルのpaclitaxel/carboplatiumの化学療法を受けましたが、ガンが進行しているのが放射線撮影でも明らかであるにも関わらず、きつい化学療法を拒否しました。その変わり、週二回、一回60gのビタミンC点滴を選びました。

患者1は第一サイクルの化学療法実施の後、CA-125の正常化が認められ、その状態が診断後3年半続きました。腹部と骨盤のCTスキャンは、再発の兆候をず―つと認められませんでした。患者2は第一サイクルの化学療法の後、CA-125の正常化が認められ、第一サイクルの化学療法が一通り終わった後、骨盤にガンが残っているのが認められました。彼女はこれ以上化学療法を続けることを拒否し、ビタミンCの点滴療法を受け入れました。臨床検査により、ガンの再発は認められず、CA-125は、診断後、3年間正常のままでした。抗酸化栄養素は最善の化学療法に補助的に加えられる時、化学療法の有効性を高めたり、その安全性を高めます。更なる臨床研究の積み重ねにより、これらの療法が、卵巣ガン患者の福音につながることを、祈っています。

Reference

Jeanne A. Drisko, et al: The use of antioxidants with first-line chemotherapy in two cases
of ovarian cancer. Journal of the American College of Nutrition, Vol .22. no.2. 118-123(2003)

 

 

 


睡眠障害(不眠症)とアルツハイマー病の関係について 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2013-12-21 21:50:21 | 健康・病気

睡眠障害とアルツハイマー病の関連については、今まで研究が少なく、不明の事が多かったですが、ワシントン大学の研究では、関連が有ることがマウスによる研究で分かりました。これに関して、研究が少ないので研究が積み重ねられる事を希望して、その研究のポイントについて考えていきたいと思います。

マウスの研究では、睡眠障害は、初期のアルツハイマー病の前兆の可能性があることが、示唆されています。ワシントン大学の研究によると、モデルマウスでの研究では、アルツハイマー病のプラ―クの最初の発現が脳に認められる時、正常な睡眠ー覚醒のサイクルは、著しく中断されることを、この大学の研究者らは確認しました。

David M. Holtzman博士らによると、睡眠の異常が、ヒトのアルツハイマー病の初期に始まるなら、これらの変化は、アルツハイマー病の病状の初期症状である可能性が有ります。認知症が始まる前に、アルツハイマー病を治療し始める時、睡眠障害があるか、ないかは、新しい治療が成功するかどうかの早期の指針となる可能性があります。

マウスが年齢を重ねるにつれて、アルツハイマー病性プラークが増えるのを、遺伝的に改善したマウスに関する睡眠障害の研究を通じて、睡眠障害とアルツハイマー病を関連づけた最初の研究は、Holtzman博士のグループでした。2009年の彼らの論文では、健康な若いマウスが起きていて、それから眠り始めた後に眠りに入った時、プラ―クの初期の成分の脳での値は、自然に上昇することを、示していませんでした。マウスの睡眠を奪うjことは、このサイクルを中断させ、脳のプラ―クの発育を促進させました。アミロイドベータと呼ばれる蛋白質である、プラ―クの成分の同じような上昇と低下は、健康なヒトの脳脊髄液でも確認されました。

Jee Hoon Roh博士らは、脳のプラ―クの最初の指標が認められる時、アミロイドベータ値の自然の変動は、マウスでもヒトでもストップすることを、確認しました。マウスは夜行性動物で、日中は、一時間に40分眠りますが、アルツハイマー病のプラ―クが脳でつくられ始める時、マウスの平均睡眠時間は、一時間に30分まで短縮されました。

アミロイドベータが、睡眠の変化に直接結びついていることを、この研究者らは確認しました。また、研究者らは、同じ遺伝的個体変異を伴ったマウスの新しいグループに、アミロイドベータに対するワクチンを接種しました。これらのマウスは、年齢を重ねるに従って、脳のプラ―クが発現しませんでした。これらのマウスの睡眠パターンは正常なままで、脳のアミロイドベータ値は上昇し続け、決まったように低下しました。

研究者らは、睡眠障害が、脳のプラ―クのように、アルツハイマー病のマ―カーを有する患者で生じるかどうか、評価していますが、記憶力、認知機能の障害までは明らかにしていません。これらの睡眠障害があるなら、それがどのような形をとるか、まだわかっていません。更なる研究の積み重ねと新しい研究を待っています。

References

Mouse study suggests sleep problems may be early Alzheimer's sign: ScienceDaily. Sep. 5,2012

David M. Holtzman, et al: Science Translational Medicine. Sep. 5, 2012

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