進行性卵巣ガンの生存率は極めて悪いので、患者らは、化学療法に併用して、抗酸化栄養素の摂取を選んでいるのが、米国では多く見られます。ここでは、カンザス大学のDrisko医師らの症例二例のポイントを紹介したいと、考えています。
卵巣ガンの症例
進行性上皮卵巣ガン患者二名の中で、一人はステージⅢのpapillary serous adenocarcinomaで、もう一人はステージⅢのpapillary serous adenocarcinomaとpapillaryseromucinous adenocarcinomaでした。両患者は、rboplatium/paclitaxel化学療法の実施前に、著しいガン細胞の縮小が認められました。患者2は同程度の病状に続く、化学療法の開始が遅れ、治療の開始前にガンの進行が認められました。患者1は治療を開始して一カ月間、抗酸化物質療法が実施され、vitaminC, vitaminE, beta-carotene, Q10, multivitamin/mineralなどを経口摂取しました。また、抗酸化物質の経口投与に加えて、患者1は、化学療法の終わりとpaclitaxel療法の前に、ビタミンC点滴療法を60g/回、週二回、受けました。また、患者2は、化学療法を行う前に、前述の抗酸化物質(抗酸化栄養素)を経口的に摂取しました。そして、6サイクルのpaclitaxel/carboplatiumの化学療法を受けましたが、ガンが進行しているのが放射線撮影でも明らかであるにも関わらず、きつい化学療法を拒否しました。その変わり、週二回、一回60gのビタミンC点滴を選びました。
患者1は第一サイクルの化学療法実施の後、CA-125の正常化が認められ、その状態が診断後3年半続きました。腹部と骨盤のCTスキャンは、再発の兆候をず―つと認められませんでした。患者2は第一サイクルの化学療法の後、CA-125の正常化が認められ、第一サイクルの化学療法が一通り終わった後、骨盤にガンが残っているのが認められました。彼女はこれ以上化学療法を続けることを拒否し、ビタミンCの点滴療法を受け入れました。臨床検査により、ガンの再発は認められず、CA-125は、診断後、3年間正常のままでした。抗酸化栄養素は最善の化学療法に補助的に加えられる時、化学療法の有効性を高めたり、その安全性を高めます。更なる臨床研究の積み重ねにより、これらの療法が、卵巣ガン患者の福音につながることを、祈っています。
Reference
Jeanne A. Drisko, et al: The use of antioxidants with first-line chemotherapy in two cases
of ovarian cancer. Journal of the American College of Nutrition, Vol .22. no.2. 118-123(2003)