医科栄養学・栄養医学ブログ

医学部で医科栄養学を学んだ経験と最新の栄養医学をこのブログに反映したいと、考えています。

卵の摂取と炭水化物制限食のHDLコレステロール値について 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2013-12-10 16:43:38 | 健康・病気

卵はコレステロール値を上げるとして、今までは悪者にされ、一日一個以上は摂取しないよう、管理栄養士に指導されてきましたが、卵に関する新しい研究では、むしろHDLコレステロール値を改善するという、相反する研究が発表されていますので、そのポイントを紹介します。なお、Mutuni博士らの研究は、卵以外の獣肉などの蛋白質食品についての研究ではありません。重要なことは、全体のエネルギー摂取量を減らします。そして、獣肉蛋白質の過剰摂取が腎臓に負担をかけ、かつ、心筋梗塞やガンのリスクを高めると報告されているので、注意が必要と考えます。総エネルギー量に対する炭水化物比のベスト比を、現在、世界中で研究中です。

卵に含まれる食物性コレステロール値は、炭水化物制限食の食事をする肥満した人の血漿HDLコレステロール値を高めるという研究が、Gisella Mutuni博士らにより発表されました。

博士らによると、炭水化物制限食(CRD)は、体重を著しく減らし、トリグリセライド(中性脂肪)値とHDLコレステロール値を改善します。低脂肪食(獣肉や油脂の摂取が少ない)の摂取が背景にある時、卵から食物性コレステロールの摂取を増やすと、食物性コレステロ―ルに対し過度な応答者と最少の応答者に対して、正常なLDLコレステロール値/HDLコレステロール値比を維持しますと、博士らは述べていますが、更なる研究の積み重ねが必要と、考えられます。

Mutuni博士らの研究において、40~70歳の肥満した男性被験者28名(BMI=25~37)は、炭水化物制限食(その精製度は不明)の摂取において、卵の食物性コレステロールがHDLコレステロール値の改善にどの程度寄与するか、調べられました。彼らは、炭水化物制限食(炭水化物から総エネルギーの10~15%)を摂取し、無作為に卵グループ、あるいはサブグループに分けられました。ちなみに、卵グループは3個/日(余分の食物性コレステロール640mg/日)。サブグループは卵の代用として同じ量のプラセボ(食物性コレステロール0)。エネルギー摂取は、基準値に比べて、10,243±4040から7968±2401KJ(P<0.05)まで、両グループで減らしました。割り当てられたグループと無関係の全被験者は、割り当てられたグループとは無関係に全被験者では、体重と腹囲が減少しました。
(P<0.0001)。同様に、血漿トリグリセライド濃度は、全被験者で12周後、1.34±0.66から0.83±0.30mモル/Lに減少しました。LDLコレステロール値対HDLコレステロール値比だけでなく、LDLコレステロール値も介入の間、変化しませんでした。対照的に、血漿HDLコレステロール値は卵グループで、1.23±0.39から1.47±0.38mモル/L(P<0.01)まで上昇しました。しかるに、HDLコレステロール値はサブグループでは変化しませんでした。また、絶食被験者の血漿グルコース濃度は変化しませんでした。18名の被験者は、研究の開始時にはメタボリック症候群(Mets)があるとして分類されていました。しかし、13名の被験者は、研究の終了時には、その範ちゅうにありました。これらの結果から、炭水化物制限食摂取時、卵を摂取することは、HDLコレステロール値の上昇をもたらし、さらに、メタボリック症候群に伴うリスク因子を減らします。炭水化物制限食の場合、獣肉や油脂の摂取を増やすのではなく、野菜やマメなど食物線維を多く含む食品を摂取し、空腹感を満たし、食物線維の整腸作用を期待することも重要と、考えます。また、精製度の低い穀物や豆類の多用や魚介類の頻回の摂取は、それらの中に、植物性蛋白質や植物性脂質が含まれ、そして、魚介類性蛋白質と魚介類性脂肪が含まれ、総エネルギー摂取量で炭水化物の制限にもつながり、その比率の低下につながると、考えられます。現在は、高蛋白質摂取者と高炭水化物摂取者との両極端の人が多いようです。バランスがとれた栄養摂取をこれらに詳しい管理栄養士に相談しましょう。

Reference

Gisella Mutungi et al: Dietary choresterol from eggs increases plasma HDL cholesterol in overweight men consuming a carbohydrate-restricted diet. The Journal of Nutrition. February 2008 vol.138 no.2 272-

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