医科栄養学・栄養医学ブログ

医学部で医科栄養学を学んだ経験と最新の栄養医学をこのブログに反映したいと、考えています。

統合失調症対策とナイアシンとグリシンの併用効果について 日本ビタミンC研究会

2012-12-05 23:54:09 | 健康・病気

統合失調症は、その症状が医療や社会的介入により、注意深く管理しなければならない慢性精神疾患です。この疾患もノーベル賞受賞者のPauling博士やカナダのHoffer博士らの研究により、栄養医学的対応で寛解できるようになりました。

ナイアシンの統合失調症に対する臨床的研究では、混乱した結果(Ban博士の研究とHoffer博士の研究の場合)を有しているけれども、グリシン+ナイアシンの併用摂取は、統合失調症に対し有益な影響を与える可能性が、報告されています。この栄養学的治療法の可能性は、統合失調症の症状の改善を示唆しています。

神経伝達物質、あるいは脳の化学物質に対する阻害作用を有するアミノ酸のグリシンは、神経の興奮を抑制し、NMDA-受容体活性に影響する補助因子で、統合失調症に対し有益な影響を与える可能性があります。また、ナイアシン(ビタミンB3、ニコチン酸アミド、ニコチン酸)は、神経システムに影響し、性ホルモンやストレスホルモンの産生を助ける重要な栄養素です。ヒトはナイアシンなしに生存できません。ナイアシン欠乏は、統合失調症の症状に大変よく似た症状を発症させます。

実際、Hoffer博士の論文によると、統合失調症とペラグラの症状は、お互い大変よく似ているので、それらを関係なしに話すのはむつかしいようです。しかし、統合失調症に対するナイアシンの効果を確認する研究は、対立して、矛盾する結果でした。Hoffer博士の臨床研究では、統合失調症の症状をナイアシンが改善すると、述べています。しかし、Ban博士(抗精神病薬の専門家)の論文では、効果が否定されていました。しかし、インターネットでの患者のコメントなどでは、寛解効果が多く報告されています。

最近の研究では、統合失調症に対するグリシンの有効性の可能性が報告されています。British Journal of Psychiatry,1996年によると、グリシンが統合失調症の陰性症状(情動と行動力の欠如、感情の平たん化と社会からの引きこもりなどの症状)、うつ症状それに認識障害などの著しい寛解に有益であることが証明されました。Archives of General Psychiatry、1999年によると、グリシンによる治療の重要な利点は、副作用が少ないか、ぜんぜんなく、統合失調症の陰性症状を減らすことが、わかったことでした。グリシンの利点は、NMDA-受容体仲介による神経伝達作用を増強する能力による可能性があります。ナイアシンとグリシンの併用効果が米国・カナダなどで臨床研究が行われているので、"近いうちに"、このブログで紹介したいと考えています。なお、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンM(葉酸)、ビタミンCも併用摂取することは、研究で報告されているように、統合失調症の寛解率を高める、と考えられます。

 

References

Naicin &Glycine for schizophrenia: LIVESTRONG. COM

Vitamins for schizophrenia: LIVESTRONG. COM

Re: D-Serine,glycine, schizophrenia≫danali |Psycho-Babble

The involvement of the NMDA receptor D-serine /glycine site in the pathophysiology and treatment of schizophrenia: Neurosci Biobehav Rev, 2010 Mar, 34(3): 351-72.

Niacin and Inositol Hexanicotinate for schizophrenia: LIVESTRONG. COM