医科栄養学・栄養医学ブログ

医学部で医科栄養学を学んだ経験と最新の栄養医学をこのブログに反映したいと、考えています。

糖尿病に於ける胃のトラブル対策と生姜の効果について 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2012-12-12 22:21:53 | 健康・病気

糖尿病は、全身にいろんな症状を発症させますが、今回は、胃のトラブルに対する生姜の効果について考えていきたいと思います。

生姜の根茎(Zingiber officinale)は、血糖の上昇によりもたらされた消化機能の異常の改善に有益である可能性が、2003年のThe Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics誌に載った研究で明らかになりました。この発見の結果では、成人で発症した糖尿病患者(2型糖尿病、もしくは非インスリン依存性糖尿病)は、2型糖尿病に伴ってよく発症する胃腸管の合併症を,少ししか経験しない可能性があります。

新しい研究では、19~49歳の健康な成人22名に、4つの異なった胃電気記録図(electrogastrographic, EGG)による研究が実施されました。なお、EGGは、腹部に電極を置いて、胃の収縮のリズムを測定します。生姜の根茎の1,000mgの摂取に続いて、最初のEGG測定は、グルコースの静脈内投与(血糖値250~290mg/dlに達するまで)後、実施され、2回目のEGG測定は、misoprostol(胃の正常なリズムを妨げることが知られている物質)を摂取後、実施されました。3回目と4回目のEGG測定では、被験者は、最初グルコース、続いてmisoprostolを同様に摂取し、続いてプラセボを摂取しました。4回のEGG測定のそれぞれでは、正常な胃のリズムと胃を空にする割合の変化が記録され、分析されました。

生姜の根茎は、胃のリズムに及ぼす高血糖の阻害作用を、著しく減少させ、胃を空っぽにする割合の正常化の維持に有益でしたが、胃のリズムと収縮は、プラセボ摂取に続いて、増加しました。同じような結果が、misoprostolの摂取後、観察されました。しかしながら、これらの結果は、統計的に有意差は認められませんでした。これらの発見は、生姜の根茎が、幾人かの人々では、胃の収縮、胸やけ、潰瘍化などの異常を防ぐのに役立つことを、示唆しています。そして、成人の糖尿病患者の治療に有益である可能性がありますが、更なる研究が必要と考えられます。

ところで、血糖値のコントロールは、その合併症を予防することができる、もっとも重要な事項です。生姜は対症的に症状を改善する可能性がある一方、血糖値の低下に影響します。なお、更なる研究が必要ですが、生姜は安全なので、糖尿病患者は、食事療法、運動療法はもちろんですが、生姜をどしどし食事に取り入れることは重要と考えます。

References

Ginger improves digestion,Benefits for type2 diabetes: Bastyr center for natural health

Ginger can control diabetes: Times of India

Ginger for lowering diabetes:LIVESTRONG.COM

The Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics, 2003; 307: 1098-103