医科栄養学・栄養医学ブログ

医学部で医科栄養学を学んだ経験と最新の栄養医学をこのブログに反映したいと、考えています。

糖尿病の血糖値対策と生姜の効果について その一 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2012-12-10 17:24:23 | 健康・病気

生姜はいろんな料理にスパイスとして使われ、馴染みのある食物です。また、漢方薬の成分として多くの漢方薬に用いられています。この素晴らしい、安全な生姜について、今回は糖尿病に特化して、考えたいと思います。また、栄養療法、運動療法に生姜療法を加えることも、一案と考えられます。

生姜は、糖尿病歴が長い患者の、合併症をもたらす高血糖値を制御できます。シドニー大学のBsil Roufogalis博士の発見では、生姜は筋肉細胞で利用されることにより、血糖を制御する作用を有するようです。ブレリム生姜(Buderim Ginger)から抽出された生姜抽出物は、インスリンとは関係なしに、筋肉細胞へのグルコース吸収を増大さす可能性がありました。

このことは、糖尿病歴が長い患者にとって、合併症をもたらす高血糖値の制御を生姜が促進し、インスリンと関係なしに、筋肉細胞にグルコースが作用するのを助ける可能性があると、その博士は述べています。

グルコースの吸収を高めるのに関係した成分は、ジンゲロール(gingerol)で、生姜の根茎にあるフェノール成分です。健康なヒトでは、血糖値は狭い範囲に厳格に維持されており、骨格筋は体のグルコースクリアランスの主たる部位です。ジンゲオール(抽出物の分画)は、培養した筋肉細胞のグルコース消費の増大の再生をもたらすのに、もっとも有効であることを、Roufogalis博士は証明しました。肥満、脂質異常症、高血糖症、およびインスリン抵抗性は2型糖尿病に影響します。生姜の根茎は、これらの代謝異常症の代替的治療法として、現在、用いられています。

International Journal of Food Science and Nutrition, March 2011に、2型糖尿病と炎症に関係した酵素を阻害する、生姜抽出物の効果を比較する研究が載っていました。そこでは、エチル酢酸エステルの抽出物は、他の抽出物に比べて、最も高い活性を示していました。生姜は、試験した酵素、特に、αーグルコシラーゼとαーアミラーゼに対して、阻害効果を有する可能性が有ります。なお、これらの酵素は、糖尿病の制御と炎症に作用するシクロオキシゲナーゼと関係が有ります。

References

Ginger for lowering diabetes:LIVESTRONG.COM

Ginger can control diabetes:Times of India

Ginger improves digestion ,Benefits for type 2 diabetes :Bastyr center for natural health

 

 


生活習慣病とグリシンの効果、副作用について 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2012-12-06 15:05:08 | 健康・病気

グリシンの臨床での応用が米国で研究され、いろんなことが分かりつつあります。グリシンは、必須アミノ酸でなく、普通の食事では、約2g/日のグリシンを含みます。肉、魚、乳製品、および豆類などが豊富にに含みます。

グリシンは、統合失調症、脳卒中発作、軽い前立腺肥大、それに、いくらかの、まれな遺伝性代謝異常症の治療に用いられています。グリシンは、アルコールの有害作用による肝臓疾患、器官の移植後に用いられる、ある種の薬物の有害な副作用から、腎臓を守るのに用いられます。その他の使用は、ガンの予防と記憶力の強化です。また、足の潰瘍を治したり、傷を治すため皮ふに直接塗ります。

体は蛋白質を産生するのにグリシンを用います。グリシンは、脳の化学的シグナルの伝達に影響します。それゆえ、統合失調症や記憶力の改善にグリシンを試してみることに、関心がもたれています。また、ある種のガンに必要とされる血流の供給に、拮抗すると考えられており、ガン予防に有益である可能性がある、と考えている研究者もいます。

グリシンは蛋白質を産生するために用いられ、かつ、脳の神経化学的シグナルの伝達に用いられています。足の潰瘍、あるいは統合失調症のような医学上の症状があるならば、グリシンを体に補うことで治療効果が得られる可能性が有ります。

L-グリシン(一般的にグリシンと呼ばれている)の副作用に関しては、大量経口摂取の場合、胃の過敏症を経験する可能性があります。吐き気、嘔吐など胃が関係した副作用は、食欲の一時的減退をもたらす可能性があります。グリシンの静脈内投与もしくはIV投与は、軽い頭痛をもたらす可能性が有り、頭痛の発作は、立ったり、歩いたりしようとする時、ふらつく可能性が有ります。したがって、そんな時は、座ったままいることです。唾液の分泌過剰は、グリシンのIv治療による副作用として生じる可能性があります。なお、数g/日の経口摂取では、特殊な体質以外は副作用は認められないと、考えられます。

References

Find a vitamin or supplement Glycine: WebMD

L-Glycine side efffects: LIVESTRONG. COM


統合失調症対策とナイアシンとグリシンの併用効果について 日本ビタミンC研究会

2012-12-05 23:54:09 | 健康・病気

統合失調症は、その症状が医療や社会的介入により、注意深く管理しなければならない慢性精神疾患です。この疾患もノーベル賞受賞者のPauling博士やカナダのHoffer博士らの研究により、栄養医学的対応で寛解できるようになりました。

ナイアシンの統合失調症に対する臨床的研究では、混乱した結果(Ban博士の研究とHoffer博士の研究の場合)を有しているけれども、グリシン+ナイアシンの併用摂取は、統合失調症に対し有益な影響を与える可能性が、報告されています。この栄養学的治療法の可能性は、統合失調症の症状の改善を示唆しています。

神経伝達物質、あるいは脳の化学物質に対する阻害作用を有するアミノ酸のグリシンは、神経の興奮を抑制し、NMDA-受容体活性に影響する補助因子で、統合失調症に対し有益な影響を与える可能性があります。また、ナイアシン(ビタミンB3、ニコチン酸アミド、ニコチン酸)は、神経システムに影響し、性ホルモンやストレスホルモンの産生を助ける重要な栄養素です。ヒトはナイアシンなしに生存できません。ナイアシン欠乏は、統合失調症の症状に大変よく似た症状を発症させます。

実際、Hoffer博士の論文によると、統合失調症とペラグラの症状は、お互い大変よく似ているので、それらを関係なしに話すのはむつかしいようです。しかし、統合失調症に対するナイアシンの効果を確認する研究は、対立して、矛盾する結果でした。Hoffer博士の臨床研究では、統合失調症の症状をナイアシンが改善すると、述べています。しかし、Ban博士(抗精神病薬の専門家)の論文では、効果が否定されていました。しかし、インターネットでの患者のコメントなどでは、寛解効果が多く報告されています。

最近の研究では、統合失調症に対するグリシンの有効性の可能性が報告されています。British Journal of Psychiatry,1996年によると、グリシンが統合失調症の陰性症状(情動と行動力の欠如、感情の平たん化と社会からの引きこもりなどの症状)、うつ症状それに認識障害などの著しい寛解に有益であることが証明されました。Archives of General Psychiatry、1999年によると、グリシンによる治療の重要な利点は、副作用が少ないか、ぜんぜんなく、統合失調症の陰性症状を減らすことが、わかったことでした。グリシンの利点は、NMDA-受容体仲介による神経伝達作用を増強する能力による可能性があります。ナイアシンとグリシンの併用効果が米国・カナダなどで臨床研究が行われているので、"近いうちに"、このブログで紹介したいと考えています。なお、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンM(葉酸)、ビタミンCも併用摂取することは、研究で報告されているように、統合失調症の寛解率を高める、と考えられます。

 

References

Naicin &Glycine for schizophrenia: LIVESTRONG. COM

Vitamins for schizophrenia: LIVESTRONG. COM

Re: D-Serine,glycine, schizophrenia≫danali |Psycho-Babble

The involvement of the NMDA receptor D-serine /glycine site in the pathophysiology and treatment of schizophrenia: Neurosci Biobehav Rev, 2010 Mar, 34(3): 351-72.

Niacin and Inositol Hexanicotinate for schizophrenia: LIVESTRONG. COM