グローバルネイチャークラブのガイド日記

グローバルネイチャークラブ(旧グローバルスポーツクラブ)のガイド仲間が観察した伊豆大島の自然の情報を中心にお届けします。

銚子ジオパーク報告・その2

2018年03月06日 | 火山・ジオパーク
大変遅くなりましたが、先月21日にガイド講習で訪れた銚子ジオパークの2日目の報告です。(長編です)

2日目はジオガイドさんに銚子ジオパークを案内してもらい、意見を言う…という、楽しいお仕事でした☺️
案内していただいた場所で感じたことを、少しずつまとめてみます。

第一卸売市場
7年前の東日本大震災で被災し、その後建て直したという新しい建物に入ると…
見学者への案内!

常に見学可能な受け入れ体制に、まずびっくりしました!

そして、大きなマグロがズラリと床に並んだ光景にも驚きました!!

魚種・漁獲量が日本一の銚子。

第一卸売市場がマグロやカツオなどの大物。


第二卸売市場が巻き網で取れるサバやイワシ。(写真なし)
第三卸売市場が、底引き網で取れる魚…と分かれていて、どこもたくさんの魚が上がっていました。

親潮と黒潮がぶつかる良い漁場があって、犬吠埼が海に突き出しているのですぐ陸揚げができるのです。
それだけでなく、その魚を鮮度を保ちながら短時間で築地まで運べます。銚子のトラックは、以前「銚トラ」と呼ばれ有名だったとか。
「築地まで2時間」の距離が有利で、漁港として栄えてきたそうです。

漁場に近いのは同じだけど、取った魚を船で本土まで運ばなければならない伊豆大島に比べて、なんと条件の良い場所なのでしょう(驚)

水揚総量は、8割が別の場所から来た船で、2割が銚子の船だそう。
でも銚子漁協には、売り上げの数%が場所代として入るので、外の船が多くても大丈夫なようです。

そして、川が海に注ぐあたりに見えるのは、黒い岩!

これは約2000万年前の溶岩で、硬い為に削られ残ったのだそうです。

硬い岩は船の座礁の原因になったり、川の出口を狭め急流になって三角波がたつので、昔からここは船の難所だったそう。

今は運河で海に出らるようになり、安全度がましたのだそうです
地形と人の暮らし、繋がってますね〜☺️

地球の丸く見える丘展望館
実は正直なところ、パンフレットを読んだだけの時は「地球が丸く見える」ということの魅力がわかりませんでした。

三原山の山頂でも、高層ビルの上の展望所でも、高いところであればどこでも「地球は丸く見える」と思ったからです。

でも、ここへきて「これはすごい!」と思いました。

何がすごいって、この場所が建物を入れても90mぐらいだということなんです!
90mって言ったら、いつも見下ろしている三原山の火口の深さの、半分しかありません!

これで周囲が360度見渡せるということは、銚子がいかに低くて平らな地面でできているか…ということだと思います。

ガイドさんは、ツアー前にこの場所に来てコースを説明し、お客様に距離感を掴んでもらっているそうです。(なるほど〜)

犬吠埼
犬吠埼灯台の前で、ガイドさんが、とても面白い演出をしてくれました。

「これ、なんの音かわかりますか?ヴォ〜」と口に手を当てて、不思議な音を聞かせてくれたのです。
「ヴォ〜ヴォ〜」はて…? どこかで聞いたような聞かないような??

正解は「霧笛」でした。
2008年3月まででなくなったけれど(今はGPS)霧が出やすい銚子では、船に合図を送る為にいつも霧笛の音がなり、ガイドさんたちはそれを聞きながら育ったそうです。
みなさんの話から、霧に包まれた町で霧笛を聞きながら暮らしている“自分”が想像できて、楽しかったです。

銚子の「霧」でひとしきり話した後、海岸に降りました。

ご覧ください、この見事なシマシマ!

これは泥と砂が交互に海底に積もり、それが地上に出て来た景色とのこと。

そして岩の表面には、大昔の生き物の存在が身近に感じられる様々なサインが残っていました

1億2000万年前のゴカイのうんちとか…


シャコっぽい生き物が這ったあととか…


様々なサインを探すのはとても面白かったですが、私は何よりガイドさんの「来るたびに違っている。ページを1枚ずつはぐように新しいものが出てくるんだよね」という言葉に「へ〜!」と思いました。

波に削られ、常に新しくなっている1億2000万年前の生き物の痕跡。
「今しか見られない景色を見ている」と思うと、ワクワクしますよね〜☺️

犬岩
2億年前の硬い岩が、波に削られ残ってできたものとのこと。

(右奥の岩が、犬に似ているので犬岩)

2億年前の地層の上に、300万年前の地層が乗っている場所がありました!

色が違っているので、なんとなく境目がわかると思います。

ここで私の頭は「?」だらけに。
だって…1億9700万年分の地層は、どこに行ってしまったのでしょう?
地球に何が起こったのでしょう?

不思議ですね〜〜〜!!!

カツラを被った1人のガイドさんから「千葉県出身の伊能忠敬は北海道の測量に志願して行きました。いったい何がしたくて行ったのでしょう?」という質問がありました。(伊能忠敬のお弟子さんが伊豆大島にも来ています)

「なんでだろ?」と考えてもさっぱりわかりません。
で、教えてもらいました。
「地球の大きさを知りたいと思ったから」なのだそうです!

地球の大きさを知りたい…なんて素敵な言葉でしょう!
「ちきゅう」っていう言葉に弱い私です(笑)

渡海神社
屏風ヶ浦の上に立つ「渡海神社」は、津波のため移動して、今の場所にあるそうです。
タブノキを主とした巨木の森が残っているのは、この辺りでは珍しいとのこと。

海食崖の上にも関わらず、この辺りは地下水が豊富で巨木も暮らしやすいようです。
それは、過去の出来事が作った地下の地形と関係があるそうです。
みんな繋がりますね〜☺️

屏風ケ浦
300万年前に海の底に積もった地層が、地上に出て来て、それを波が削って現れた約10kmも続く崖。(ガイドさんの右奥に見える崖です)

見学者用に木道ができていて、安全に見学できます。

ガイドさんは色々な年代の地層を説明してくれましたが、すでに時が経ったのでほぼ覚えていません(^◇^;)

でも崖に穴が空いていて、それには波が削った穴のほか、鳥が開けた穴や…


人間が掘った穴まであって、面白かったです。


今まではこの崖は一年に1mずつ波に削られていたけれど、波が当たらないように人が工事をしたら、こんどは植物が覆って地層が見えなくなりつつあるようで、みなさんどうしようかと悩まれているようでした。

若い火山島のジオ物語とは全然違う個性を持った銚子ジオパークの物語。
とても楽しくて「日本のジオは多様で面白い」と、ますます思いました。

さて、すべての見学が終わった後は、ガイドさんたちとの意見交換会でした。

現在の日本ジオパークのジオツアーは、有料のところもあれば無料のところもあり、金額も様々です。

私はある程度、お金をいただき、それでさらにより良いツアーを行えるように、ステップアップするべきだと考えています。
その上で「地球すごい!」と思える楽しいツアーを、365日提供できるようにして行くべきだと思っています。

…というようなお話をしました。
お客様からお金をいただくことで、お客様を中心に考えるプロ意識も芽生えるはずですし☺️

会話の中で、銚子のジオガイドの皆さんがこれまでも真剣に考え、話し合われて来たことがわかりました。
きっとこの皆で考え、自分たちにあったやり方を見つけていく過程が、ジオパークそのものなのだと思います。

銚子ジオパークのガイドの皆さんは、今後何を目指して、どう変わっていくのでしょうか?
伊豆大島ジオパークも、みんなで考え続けていかなくては…と思いました。

銚子ジオパークの皆さん、2日間ありがとうございました!
これからも互いに情報交換しつつ、楽しく学んでいけたら嬉しいです☺️

(かな)
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