グローバルネイチャークラブのガイド日記

グローバルネイチャークラブ(旧グローバルスポーツクラブ)のガイド仲間が観察した伊豆大島の自然の情報を中心にお届けします。

バトルと準備

2015年02月28日 | 
今日の大島公園にて。
まずはバトルの部。



オオタカ幼鳥がハシブトガラスに追われていました。
冬の大島ではよく見かけるシーンです。



綺麗な幼鳥です。


遠くへ行ったのを見ていると形勢逆転。



ハシブトガラスが追われています。
ハシブトガラスは時々鳴いていましたがオオタカは一声も発せず、幼鳥とはいえなにか威厳を感じました。
この後双方とも山陰に隠れて見えなくなりました。
バトルというほどのものでもなかったですね。


次は準備の部です。





トビが枝をくわえていました。
巣作りですね。







この向こうに巣があるようです。



一緒にいたもう1羽。
雌雄の区別は付きませんでした。



急降下して木々の間に消えたと思ったら、


枯れ枝を掴んでいました。
無事に子育てができるといいです。

                              がんま
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南紀熊野ジオパークフェスタ報告 その3

2015年02月27日 | 火山・ジオパーク
今日は南紀熊野ジオパークフェスタの基調講演やトークセッションを中心に報告します。

まず午前中ですが、15分間時間をいただいて伊豆大島を紹介しました。

南紀熊野は7000~2000万年前、海底の底に沈んだ砂や泥、生き物の死骸などが、海洋プレートが沈み込む時に陸地に押し付けられたり巨大噴火をしたりして作られた古~い大地。一方、伊豆大島は約5万年前に海底300mぐらいに誕生した若い火山。

スター的存在の地層にも、こんなに年の差が・・・

(右はフェニックス褶曲と言われる2000万年~4000万年前の地層だそうです)

午後の基調講演は2つあり、1つめは・・・

内容は「プレートテクトニクスの話。過去の地震と津波の話。長径120kmぐらいと世界最大級の巨大なカルデラがこの地域に存在していたらしいこと。クリーンエネルギーとしてのメタンハイドレードの存在。南海トラフは非常に危険な場所だが、地震活動は資源エネルギーの宝庫にもなる。地球の営みとどう使っていくのか。」などなど。

2つめの基調講演は・・・

中川氏が各地のジオパークで「これは!」と思った、面白いガイドや子供達の言葉など、動画もたくさん盛り込みながら、紹介してくれました。面白かったです。

そして後半のトークセッションでは、室戸、南紀熊野、伊豆半島、伊豆大島、銚子の5つのジオパークが、黒潮に関連させて、各地の様子を語りました。


どんなことが、話し合われたかと言うと・・・

黒潮の基本
「黒潮は幅が100キロ、深さ1000m以上、流量は1秒に5000万トン。風が作る流れで、北太平洋では右回りで流れ、海の温度を北に持ち上げている。串本の海に珊瑚群落があるのは黒潮の流れそのもの。黒潮に乗ってカツオやマグロ、鯨や亀が回遊し、ゴミも流れ着く。漁法や醤油は鰹節が紀伊の国から千葉に伝わったと聞いている。『勝浦』『白浜』の地名は房総にもある。」

捕鯨や漁業
「熊野灘の太地には、ちょうど良い高台と、ちょうど良い港がとても近くにあったから、捕鯨で栄えた。それが室戸にも伝わった。伊豆半島と銚子では、今は捕鯨はされていないがクジラの位牌やイルカの供養塔など、過去に捕鯨が行われていた記録がある。」

伊豆大島ではクジラ漁は聞いたことがありません。皆さんの話を聞いて「なぜだろう?」と考えて、伊豆大島はかつて流人の島でもあり島抜けを防止するために、船を持つことにも制限があったようなので、捕鯨が行われなかったのかも・・・と考えましたが・・・どうなのでしょう?

一方、鯨以外にも伊豆大島に全国の漁師町の歌が、300ぐらい歌い継がれて残っていたり、日本で一番の水揚げ量を誇る銚子に、かつて紀州から130人ぐらいが訪れ、新しい漁法や醤油作りの技術を伝え、碁盤目状の街並みを整備してくれたりした・・・など黒潮が結ぶ人の交流もあったようです。


「室戸、串本の海岸には沢山のウバメガシが生え、それで備長炭が焼かれている。室戸では最近、備長炭が若者の重要な仕事の場として注目されてもいる。伊豆半島は備長炭は作っていないがウバメガシは海岸沿いに生えている。銚子では備長炭は作られていない。」

今回のフォーラムのために事前に調べたら、ウバメガシは大島にも八丈島や新島、神津島にも、まったく自生していませんでした。室戸の友人がウバメガシのタネを海水に沈めたら100%沈んだようです。一方、伊豆大島では椿が高級炭として焼かれており、タネは海水に数日浮かべた物が発芽することも証明されています。・・・もしかしたら、ウバメガシは陸路で伝わり、椿は海流に乗って広がったとか?・・・炭をひとつとっても違いがあって、その理由を考えると面白いです。

自然災害
どの地域も、台風やプレートの動きによる地震、津波、土砂崩れ、土石流、崖崩れなどの自然災害と身近な場所で暮らしています。それぞれの災害や対策について語りました。そしてジオパークを進めることで、防災意識が高めていきたいという意見に大いに共感できました。

さて、この南紀熊野ジオパークフェスタには、少なくとも1000人以上の方の参加があったようです。他地域を知ることで、その違いを知り、自分の個性を知ることができます。さらに「黒潮」のような共通テーマで繋がる物語を探すことも、とても楽しいなぁと思いました。

(カナ)
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晴れ・曇り・そして雨・・・(その1)。

2015年02月26日 | ツアー

先週末からほぼ一日おきに山へ行っています。

今日はその中から、先週土曜日のツアーの様子をご紹介します。


お客様はここ数年山歩きに嵌まっているというお二人。

三原山フルコースツアーのお申込みだったのですが、リクエストを頂いた事もあり
少し時間を早め”バームクーヘン”(地層大切断面)に寄ってみました。



前回来た時には、土の部分に草が生えていたのですが綺麗になっています。

遠くに目を凝らすと、黄色いモノが・・・。



近付いてみると重機が置いてありました。 
残念ながら、土曜日だったので動いていませんでしたが
壁面のお色直しをしたばかりだったのですね。(削っているところを見たかったです。)


三原山は風も穏やか、最高のコンディションでした。

溶岩に囲まれて”かる~くランチ”椅子もテーブルも溶岩です。


時間の関係も有り、三原の斜面を下って砂漠地帯へ・・・

足取りも軽く、とても楽しそうなお二人。


キャニオンに入る前に面白い岩を見付けました。

火口から飛んできた火山弾のようです。
一見”ボムサッグ”の様にも見えるのですが接地面はほんの僅か。
微妙にバランスをとっています。

お客様からは「カワイイ~!河童の頭みたい」との声が上がりました。
(う~ん、もっと河童らしく写せばよかった。)

きれいな等高線を描いた砂山も見付けました。

「どうしてこんな縞模様ができたんだろう?」
皆で考え導き出した答えは「粒子の違い」=「水の含み具合」 皆さんはどう思いますか?


”春に三日晴れ無し”の言葉どおり、このところ数日おきに天候が崩れます。
気温が低い事もあり”キャニオンの岩肌”からは、モウモウと蒸気が上がっていました。

生きている地球を実感します。


山を降り、宿の近くにあるお宅に立ち寄ってみました。
ツアーの中でお話しした”溶岩灰皿”をお見せしたかったのです。

何と!ここでツアー最後のサプライズが起きました。

64年前、実際にこの灰皿を作ったご主人にお話を聞く事ができたのです。
実物を手にして聞くお話は、臨場感に溢れとても面白かったです。

お二人も、感動している様子でした。

寒い中、外に出て貴重なお話をして下さった”T様”・・・ありがとうございました。
そして、穏やかな表情で迎えてくれた三原山、ツアーを盛り上げてくれたお二人にも心から感謝です。
           
                                     By 柳場

                                       
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誰?

2015年02月25日 | 

今朝見つけたナニモノカの羽根。





誰のものだかわかりません。





後羽(こうう)が付いています。
見つけたのは牧場付近でこの2枚だけ落ちていました。



キジにしては大きいですよね。
クジャクかなー?
誰か(人間ね)が大島公園で拾ったのをここに落とした(捨てた?)とか。
この羽根の持ち主に心当たりの方はぜひ教えてください。

                          がんま

28日記。
天野氏から連絡があり、クジャクでいいとのことです。

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「伊豆大島ジオパークの旅」撮影記

2015年02月24日 | 火山・ジオパーク
本日、東京MXテレビの「東京の山の達人 海の達人」のロケに、ガイドとして同行しました。
伊豆諸島を一島ずつ紹介してくれる番組とのことで、伊豆大島のテーマは「ジオパーク」

「旅人の田中律子さんが伊豆大島を旅しながら、だんだんジオパークを知っていく」という物語のようです。

朝早めのスタートだったので、山は逆光で黒い溶岩流のあとがハッキリわかりませんでしたが…

昨日朝までの強風、大雨が嘘のような青空とそよ風!

「顔もバンバン出しちゃってかまいません。」という気さくな田中さん。
で・・・

溶岩の椅子に座ってもらいました!

28年前の噴火でも溶岩に飲み込まれなかった神社では、お賽銭を入れて熱心にお祈り。


溶岩の洞窟を上から覗いて「うわ~すごい!地球の底が見えるよ~!」と・・・。

素敵な感性ですね~。

それにしても良い天気。本当~に爽快です!

田中さんは、強力な「晴れ女」なのだそうで、パワー全開だったのかも?

モクモク雲も良い感じでした!


太陽の位置がちょうど良く、全く陰がない明るい色の火口も見ることができました。


さらに、気象庁の月1回の火山観測の日だったようで、火口で観測チームと遭遇。

観測現場を、見せてもらうこともできました!

元気で明るい田中律子さんと歩きながら、火山や地球について語り合い、楽しかったです。

そして番組の最後には「ジオパーク」について、とても素敵な言葉で表現してくれました。
さて、彼女の語った言葉とは・・・?

・・・知りたい方は、ぜひ番組をご覧ください!(笑)
放送は4月4日、朝10時~10時30分、東京MXテレビ、9チャンネルとのことです。

見られない地域の方には、放送が終わったら「田中律子さんが語ったジオパーク」をお知らせしますね。・・・と言いつつ、実は私も放送見られません~。(東京で「海とジオパーク」について語っている予定です)

番組見られた方は、ぜひ感想などお聞かせください。

ちなみに、この番組制作には、伊豆大島ジオパーク事務局を中心に役場職員の方達が、準備段階から沢山の時間を割いて関わってくれました。ものすご~くお疲れ様でした!

多くの人の力に支えられたジオパークの物語・・・どんな番組になるのか楽しみです!

(カナ)
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南紀熊野ジオパークフェスタ報告 その2

2015年02月23日 | 火山・ジオパーク
今日のブログ担当の嶋田から、パソコンが壊れたというSOSが入りました。

で、少し予定を早めて、南紀熊野ジオパークフェスタの夜の部(交流会)の様子を、少しだけ報告します。

参加者およそ70名という大人数の交流会。


最初は紙芝居で始まりました。

朗読がとても上手で、物語に引き込まれワクワクします。
紙芝居で楽しむジオパークって良いかも!

そして、次に登場した地元の地域おこし団体「熊野円座(わろうだ)」の皆さんの演劇の楽しいことといったら!

たとえば遠い昔、この地域に活発な火山活動があり、大きな大きなカルデラができて・・・


赤で囲まれた範囲ぐらいの大きさだったのが・・・


崩れたり削られたりしながら今は茶色い部分ぐらいとなり、そこに那智の滝もあるとか・・・


赤いマグマが冷え固まって地面ができ、それが別のプレートに押されているところとか・・・


二つの地層が出会って・・・


柔らかい方が削られ、那智の大滝ができたとか・・・

(白い滝、装着中)

南海トラフから栄養豊富な海水が湧き上がり、えさを求めてマグロやカツオが集まっていることや、


祭りや昔の暮らし、伝統食まで・・・


楽しい演技と、オール手作りの小物で、南紀熊野ジオパークを紹介してくれました。


続いて、別のチーム(ひめひじき)の歌と踊りが披露されました。

地面のでき方を、リズミカルな楽しい歌と踊りで表現!

「う~ぱっぱ~、う~ぱぱよ~・・・」

・・・という歌詞を挟みながら、画像でジオを解説。

この状態から・・・


「橋杭岩」ができるまでを、楽しい絵の数々と踊りで表現。


歌詞がまた素敵でした。
一部を紹介すると・・・
 
「大地の歴史を刻んだ大好きなジオサイト」って・・・
なんて素敵な歌詞でしょう!!

劇の小物類を手作りしたFB友達でもあるガイドのFさんは「夜中4時頃までチクチク手作りしたりして、もう楽しくて楽しくて・・・。」と語ってくれました。

「ジオパークは楽しい!」
・・・これですよね!

みんなが楽しいから、その場所が大好きだから、それを他の人に伝えたいから活動する・・・南紀熊野、本当に素敵です。

見習いたいことがいっぱいのジオパークでした~!

(カナ)



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第2回 南紀熊野ジオパークフェスタ報告その1

2015年02月22日 | 火山・ジオパーク
表題のジオパークフェスタに参加するため、串本に来ています。
南紀熊野は熊野古道で有名な、地元の皆さんのやる気あふれるジオパークです。

今回は「黒潮とともにあるくらし」というテーマで、黒潮の流域ぞいにある室戸、南紀熊野、伊豆半島、伊豆大島、銚子の各ジオパークから事務局やガイドが参加。

午前中はブースを出して交流しました。

伊豆大島は、今までのポスターとパンフレットを置き・・・

時々噴火動画も流しながら、ブースに寄ってくださった皆さんと語りました。

私の隣には室戸と伊豆半島のブースが出ました。


伊豆半島は場所によって砂の色が違うということで、どの砂がどの地域の物か、顕微鏡を使っての砂あてクイズをしていました!

全問正解者には景品が出るそうです。

銚子ジオパークは、化石のレプリカ作り。

子供達が集まっていました。

ガイドさんが「自分の好きな石」を選び、それに解説を加えた発表や・・・


絵の展示。


地震が起きたときの避難経路を、観光客でもわかるようするための和歌山大学の学生さんの発表。


これは以前大島でも実施したGIS(地理情報システム)を活用した取り組みで、スマホで現在位置と避難場所がわかるようになっていました!


おべんとうもジオ弁当。

地元の鹿肉を使ったお弁当で、さっぱりしていて美味しかったです。

本格的紙芝居も行われ、人気でした。

ゆっくり見たかったけれど、時間がなく断念・・・。

私は午前中、ブースの他に15分間のバーチャルジオツアーも行いました。

2000~4000万年前の古い地層を海岸で見られる南紀熊野と、海面上に出てから2万5000年ぐらいしか経っていない伊豆大島。若い活火山で見られる風景を紹介しました。

そして午後は、このスケジュールで行われました。

とても面白かったので、少し時間のあるときにしっかりまとめてから報告したいと思います。
今日は速報ということで・・・

明日夕方の仕事があるため、明日の早朝にこちらを発って、伊豆大島に帰ります。
(昼間の南紀熊野ジオパークの風景を見ていません~笑)

(カナ)

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ウグイス拾ったー

2015年02月21日 | 

一昨日の朝です。
死んでませんよ。





ホラ。

車を走らせていたら前方になにやらほわんとしたものが落ちている・・・アレ?ウグイスじゃね?
と思って一旦通り過ぎてから戻ってみるとやっぱりそうでした。
道路を横切ろうとして車にぶつかったんでしょうね。
引っくり返っていたので死んでいるのかとよくよく見ると呼吸で体が動いてます。
捕まえると逃げようとします。「あ、これはすぐに元気になるな」と感じてしばらく経過を見ることにしました。
もうハシブトガラスが来ていましたよ。
食べようと思ったウグイスを目の前で私が拾い上げたので恨めしそうに見ていました。
ごめん!今回は見つけちゃったから助けさせて!
ウグイスは写真を撮ったりしているうちに元気を取り戻しました。


特に外傷もなく手の中でも羽ばたこうとするので藪に放しました。
画像はぐったりしているように見えますがこのあとぴょんぴょんと藪に入っていきました。
鳥の交通事故って結構多いですね。


さて、今日の画像はこちら。

早咲きのオオシマザクラがぼちぼち咲き始めました。


ヤブツバキとのコラボレーション。




メジロたちが賑やかに蜜を吸っていました。

                                 がんま

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砂防ダム勉強会

2015年02月20日 | 火山・ジオパーク
一昨日、ジオパーク研究会3班企画の“砂防ダム勉強会”が行われました。

大島支庁土木課に平日と週末の2回、フィールド学習会での講師をお願いし、一昨日が1回目。
ガイドを中心に11名が参加しました。

土木課からは3名の方が、説明に来てくれました。

最初の見学場所は大金沢砂防ダムです。

説明は、以下のような感じで始まりました。(実際の内容の数%しか報告しきれませんが・・・)

まずは土木課長の“思い”から・・・。
「台風26号の土砂災害を経てハードだけでは命は守れないと思うようになった。命を守るためにはハードとソフトの両方が必要。そのためにこのような機会をいただけるのはありがたい。今まで小中学生のジオパーク学習で砂防ダムの施設を説明たことはあるが、一般の人には今回が初めて。」

続いて“砂防”とは何か?
「山は崩れて平らになって盛り上がってまた崩れる。ではどこに住みますかというと、人は便利なので急傾斜地ではなく、平らなところに住む。(大島でも、1338年頃に溶岩流が海まで流れ、比較的平らな土地ができ、そこに人が住むようになりました=元町)。人が増えれば上流にも住むようになる。そのために川の近くなどに安全のための施設をつくるのが砂防。」

説明は砂防ダムの構造に移ります。
「大島は噴火すると火山灰が積もるので、噴火時の泥流を想定して作った。台風26号では“鋼製スリット”というコの字型の大きなパイプで、流木をかなり受け止めた。」

「6渓流で工事が始まっており、重要度に応じて予算付けして行っている。沢の深さや広さによって作り方が違う。流域の不安定と思われる土砂と、水と木を計算し作る。」

鋼製スリットの下には想定通り泥流も溜まったが、それを掻き出す作業は重機が埋まってしまって大変だったようです。

土木課課長からは「砂防ダムで砂を止めると砂浜が減る、漁業にも影響がある。ただ作るだけではなく、全体で考えていかねばいけないと思っている。」という説明もありました。

続いて一行は“長沢砂防ダム”に移動しました。

1986年噴火の時、山腹の割れ目噴火で迫ってきた溶岩流から町を守るために海水をかけ続けた経験から、噴火後“水を溜めて溶岩を冷やすための貯水槽”としてこの施設を作ったそうです。

雨水を溜めるため、下はコンクリートで固められているとのこと(泥流対策の砂防ダムの下は地面)。水位のない時でも消防車が入れるよう、通路ができているそうです。

参加者は皆「それでこういう構造なんだ!」と納得していました。

溶岩が流れると周囲がどのようになるかがわかる場所を、ジオサイトとして工事をせずに残してあることも、皆に紹介してくれました。

いずれ説明看板がつく・・・はずですが・・・いつかな?

次に“長沢P18”という砂防ダムに行きました。
台風26号の時は建設中でしたが、かなり流木などを受け止めた場所です。
町の主要な施設がここの下流にあり、大島支庁もあるとのこと。

ここでは壁面に少なくても3回分の溶岩流が挟まれているのを見ることができます。

これを見ると元町地区に何度も溶岩が流れ、その上に灰が降って人が住む場所を作って来たのが良くわかります。

溶岩流は冷えると固い岩になるから、地面を掘るのがとても大変なのだそう。

そう言われれば確かに、固そうな岩がゴロゴロ転がっていますね!

私達が立っている場所の下方にある“石をネットで固定して積み上げたもの”も説明してくれました。

「蛇かご」と呼ばれ、水はけを良くして斜面を崩れにくくするための物とのこと。
「やがて隙間につまった砂の粒子で道路が汚れるし見た目も悪いので、人目につくところは水抜きの穴をつけたコンクリートで固めるところが多い。」のだそうです。

最後は表土の流出を止めるため、ヘリで空中散布をした現場へ。
11~12月に撒いた芽が、もうかなり大きくなっていました!

今後の予定の工法について、説明を受けます。

現場で聞くと、良くわかります。

参加した仲間の「何も知らないと『使わないのにこんなに大きな物作って、お金の無駄遣いだ』と思ってしまうけど、知ることで全然違ってくるよね。」という意見に、私も同感でした。

自然へのインパクトを最小限にしながら、人が地球で暮らし続けられるようにするには、どうバランスを取れば良いのか・・・正解はないでしょうが、砂防も気象も火山も植物も産業も、様々な角度から学び、みんなで考えていくことができたら良いなぁと思います。

帰り道、だれかが元町の上に虹が架かっているのを見つけました。

かなり薄いですが・・・

立派な虹でした!

とてもとても嬉しかったです。

第2回目の砂防ダム勉強会は同じ内容で、明日の午前中に行われます。
朝9時、役場横の駐車場集合です。

私は参加できませんが・・・お時間のある方はぜひ、ご参加ください!

(カナ)
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大地と共に生きるヒントin伊豆大島 モニターツアー2日目

2015年02月19日 | 火山・ジオパーク
本日2回目のブログは、表題のモニターツアー、2日目の報告です。

2日目は三原山に登る予定でしたが、あいにくの雨(山は雪)で、室内を中心に回りました。
訪問先ごとに、印象に残ったことを簡単に報告します。

1 ホテル椿園
台風26号で被災し多くの建物を取り壊したホテルで、女将さんの災害当日の話を聞きました。
椿園の歴史がわかるビデオも見せてもらいました。

「今も思い出すと涙が出るし、雨が降るとつらくなる。でも自衛隊、消防隊、ボランティアに世話になり、新たな出会いもあった。今後も必ずおきる自然災害を背負っていかねばならない若い人達のために、頑張らなければと思った。人と人が支え合う社会が防災力を高めると思っている。」という女将さんの言葉が心に残りました。

2 塩製造工場(海の精)
台風26号の土石流で職員住宅が流され、でも全員助かった時の話を聞きました。

そして塩が専売の時代から、人間の血液成分に近い体に良い塩を作り続けてきた歴史も教えてもらいました。

3 火山博物館
藤井先生、気象庁、ガイドなどが、それぞれの展示の前で語りました。
ここでの藤井先生の説明に「なるほど!」と思うことがいっぱいありました。

たとえば・・・
「大島には地震計だけでも約50個、傾斜計その他入れると約150個以上で、面積から考えてたぶん世界一の観測態勢だろう。ただ大島は海の中も火山なので、今は火山の上の方にだけしか地震計がない状態ではある。本当は水面下にも設置したいところだが、それだと莫大な予算がかかりできない。防災科学研究所は200m地下に地震計を埋めた。今は47の活火山で気象庁が地下100mに地震計を設置している。」

クイズタイムもありました!

島内の子供達の火山博物館学習用に気象庁の方達が作った「クイズ冊子」から問題が出て、皆で真剣に(たぶん)考えました~。

ジオパーク事務局からの、手作り缶バッチのプレゼントもありました!


4 バスの中
菊地先生(JGC委員)に、ジオパークについて語ってもらいました。

「トップダウンで決め、保全保護するのが世界遺産。ジオパークは地域振興であり、ボトムアップの運動。」等々・・・。

大島支庁土木課課長の安孫子氏からも、現在の土砂災害対策について説明がありました。

「砂防を作ってみんなの暮らしを守るのが仕事だが、設定を超える雨を経験し、ハード対策でできることには限界があることを学んだ。ソフトとハードの両方が必要で、そのためにジオパークで住民の方と対話ができるのはありがたい。」という言葉が印象的でした。

5 山頂ジオパーク展
山は雪だったので、外は全く見ずにジオパーク展に入りました。


バーチャルジオツアーで三原山の見所を案内した後、大先輩のO氏から昔の大島の様子を聞きました。

「以前ここは、グライダー大会やっていたぐらい広大な砂地が広がっていた。1951年噴火では溶岩で灰皿をいっぱい作った。アア溶岩の上に石をのっけれて速度を計った。」等々・・・とても興味深かったです。

6 岡田コミュニティセンター
最後にみんなでお弁当を食べ、参加者にアンケートを書いてもらい、船の時間ギリギリまで意見交換を行いました。

アンケートの集計結果が楽しみです。

様々な人の協力で構成された、スペシャルなツアー・・・もしかしたら一番楽しんだのは、ガイドや島内のジオパーク関係者だったかもしれません。

この場で書き切れなかった沢山のことは、今後のジオパーク活動に生かしたいと思います。

(カナ)



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