グローバルネイチャークラブのガイド日記

グローバルネイチャークラブ(旧グローバルスポーツクラブ)のガイド仲間が観察した伊豆大島の自然の情報を中心にお届けします。

忘れないことが大事。

2014年01月31日 | 火山・ジオパーク
2月の広報と一緒にチラシが配られると思いますが、2月19日の夜に「この島で生きるために~ジオパークと防災IN大島」というシンポジウムが開かれます。

津波被害にあった三陸、2000年噴火で全島民が4年5ヶ月に及ぶ島外避難を経験した三宅島から講師を招き「他地域の経験に学ぶこと」を目的としたシンポジウムです。

きっと意義のある時間になると思いますが、参加できない人もたくさんいるはず…で、できるだけ平等に情報を届けるために小冊子を作ることになりました。

三陸、三宅島、大島から、主に“伝え手”となっている人に、質問に答える形で文章を寄せてもらい、まとめています。

その中で婦人会副会長の坂本さんに、話しを聞く機会がありました。とても良い話しだったので、数行の文章のみで終わらせるのはもったいなく思えて、ご本人の了解を得てブログに載せさせていただくことにしました。

まずはプロフィールを。

坂本靖子さん。
保育士歴42年。S56年からは園長。退職後山頂ジオパーク展のガイドをしてくれています。婦人会は岡田支部・支部長を5期目。

坂本さんは大島で、今までに様々な災害を体験したそうです。
以下は坂本さんの話しから…。

狩野川台風
1958年、雨量419mmで山津波
死者1、行方不明者1 家屋全壊55戸 半壊49戸

中学生だった。大雨が降って沢を見に行ったら崩れてきた。怖くなって、おばあちゃんをおぶって高いところに上がった。次の日から学校では毎日泥かきだった。1人亡くなり2人流された。

元町大火
1965年 風速30mを超す強風に日に出火、全焼584棟 418戸
19~20歳頃。
大島から、保育学校へ行くため東京へ戻った翌日に火事があった。すぐ島に戻ったら辺り一面真っ黒でなにも無くなっていた。道もわからない。目の前の光景が信じられなかった。自宅は、消防が屋根に上って放水したため屋根が落ち、つぶれていた。家財道具は沢に捨てたが、これもみんな無くなった。家が焼けていないので救援物資ももらえなかった。

1986年噴火
山腹割れ目噴火により、全島民が1ヶ月避難
娘は小学6年、息子は年長。息子の753の祝い中に噴火が始まり見に行った。最初のころは「毎日見に行きたいね」などと話していたが、その後の山腹割れ目噴火で全島避難となった。高齢の母が「絶対行かない」といい、動かないので、避難させるのが大変だった。一時的に伊東の体育館に入り、風呂屋に行ったら、下着から何から一式用意されていてありがたかった。その後、文京区茗荷谷のスポーツセンターに約1ヶ月、生活した。島から次々人が来たが、子どもは少なかった。バイキングが最初の食事。食事順を決めたり、呼びかけて歩く仕事をした。子ども達が退屈してさわぐようになり、保育の必要を感じ、公立、私立合同の園長会をひらき、各避難所ごとに保育園をはじめた。小中学生は避難先で学校に通っていたが、溶け込めない子もいたようだ。10日間ぐらい保育をし、帰島。
帰島後翌日には保育を再開した。誰も来ないかと思ったら、4~5人の子どもが来た。
この時の噴火で「もう大島に住むのは嫌だ」と言って、島を出た人もいた。

台風26号土砂災害
36人が亡くなり3名行方不明。
災害が起きたことを知り、16日の日中に、オニギリとおかずを作って開発総合センター(町役場)に届けに行った。みんな口も聞けない状態で、ボーっとしていた。このことがきっかけになって、17日から婦人会としての炊き出しが始まった。

保育士在職中は、いつも子ども達のことを考えていた。「安全か?」「どうしているか?」など。だから子どもが病気で亡くなった経験が、一番つらかった。自分自身も癌を煩い、闘病中に夫を癌で亡くした。病気なって支えられることのありがたさを感じた。

70年生きてきて災害や病気などを経験し、1人じゃないと感じる。人は1人では生きられない。噴火などの災害を経験した大島の人は皆、感謝の気持ちを持っていると思う。東日本大震災の義援金も赤い羽募金も皆、協力的。

噴火も今度の災害も、人がやる技じゃない。
ショックは受けるし悲しい時は思い切り悲しむが、受け止めて、どこかで前を向いて行かなければ。
自分の命を守るのは自分と思い、リュックにいつも避難準備をしている。でも同時に人のことも、気にかけていたい。大島に生まれて育った人は、お祭りにはみな関わるので、つながりが育つ。今回の災害で被害にあった人たちにも、様子を見に行ったり声をかけたりなど、1回だけじゃなく継続して関わりを持つことが大切だと思う。

ジオパークに出会い、山頂ジオパーク展で語る機会を与えられて感謝している。人との出会いも、楽しんでいる。
2年連続でジオパークを研究に来た大学生を、自宅に呼んで話をした。ジオパークで話を聞いた高校の先生に「是非その話を生徒にしてほしい」と言われ、話してきた。

(左が3年前の坂本さん)

忘れないことが大事だと思っている。自分の経験を語っていきたいと思う。

坂本さんの話は以上です。

数々の大変な経験を経ても、感謝して前向きに生きられる…スゴイです。
坂本さんの実体験を通して語られる言葉に、惹きつけられました。

スゴイ人がいっぱいいる伊豆大島は、本当に素敵な島だと思います。

心から、そう思います。

(カナ)

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観光は、心をつなぐ…

2014年01月30日 | ツアー
昨日は、WEBマガジン“コラージ”取材2日目。
三原山、裏砂漠、椿のトンネル…と回りました。

三原山でお客様が、注目したものは何でしょう?
草原の中の溶岩の上に、スクッと延びた1本の木!

妙に存在感がありました。

頭上に延びる、オオバヤシャブシの木。

カメラマン氏は、こんな切り取り方じゃないのかなぁ?
(枝がキラキラしていて、奇麗でした。)

裏砂漠は、広い青空に小さな雲。

雲の陰の動きが、面白かったです。

そして「兄弟が並んでる!両方見られるなんてスゴいわ~。」という声が聞こえたのが、こちらの風景です。

写真の中で、三原山と兄弟の火山を見つけられるでしょうか?
(どの雲よりも、小さいです)

黒い山(三原山です)の右斜面を拡大すると、見えてくるのは…

三原山よりもずっと年上の火山、“富士山”です!
下が霞んでいるので、まるで宙に浮かんでいるみたいでした。

“細かい溶岩の粒が背中に当たる感触”を楽しみながら、カメラを構えるカメラマン氏。

どんな写真が撮れたのでしょう??

お気に入りの“椿のトンネル”にも寄ってみました。
大島の生活の中の椿の姿を、撮っていただきたかったのです。

上を見上げたまま、動かないお客様。
私も同じ場所に立ってみました。

おお~!

これは見事です!
豪華な気分です~。

椿の木に巻き付いた、ヤマイモのタネが金色に輝いているということも、教えてもらいました。

本当に、金色ピカピカでした。

さて帰り際、お客様の希望で、“ホテル椿園”に立ち寄りました。
実は3年半前の取材の時は、椿園に泊まったのだそうです。

「この部屋に泊まったよね」と、懐かしそうに歩くお2人。以前ここに泊まったことで、今回の災害が他人事には思えず、義援金を募って大島に届けに来てくれたようです。

観光や取材で大島に来て風景や人に触れ、少し身近な存在になったことで災害の時も心を寄せてくれる…観光って、生活の糧を得るためだけのものではなくて、人と人の心をつなぐものでもあるんですね。

そのことを感じて、なんだかとても嬉しかったです。

ホテル椿園に立ち寄った後は、献花台にお供えに行きました。

台の上には、たくさんのお花や飲み物、千羽鶴が供えられていました。





犠牲になられた方達が安らかであるように、お客様と一緒に祈りました。

(カナ)









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シロハラ

2014年01月29日 | 
はい、ツグミが少ないので同じ仲間のシロハラやアカハラも少ないです。
今朝やっと撮影できました。
車で走っていると前方に感あり!(っつーか見えてるっての)
逃げちゃうかな?と思いつつ車を停めると警戒しながらもしばらく食べ物を探していました。


いいですね~、この立ち姿。



美しく重なった風切羽。



このあとすぐに「クワックワックワッ・・・」と鳴きながら藪に消えていきました。
もっと見ていたかったのになぁ。

ツグミはなんとなく増えてきているようです。
今日は牧場で10羽くらい見ました。
他の鳥も来てくれるといいのですけど。


                        がんま
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椿力!

2014年01月28日 | ツアー
今日は、デザイナーや建築家向けのWebマガジン“コラージ”の、取材陣を案内しました。

取材は、船が到着した岡田港から始まりました。

「人が暮らす町並みを見たい」という希望と、南西からの強風とで、まず岡田港から歩くことにしたのです。

数10万年前の活動を終えた古い火山が、波に削られてできた高い崖のおかげで、天然の良港となった岡田港。

昔から“風待ちの港”として使われ、遠方の漁師との交流があったこと等を語りながら、この景色の中を歩いていたら「全て大地とつながっているんですね。だからジオパークなんだ!ジオパークって、そういうことだったんですね~。」という意味合いの発言。

船を降りて港の景色を見ただけで、お客様が「ジオパーク」を理解してくれたのは初めてです!(ツアー開始からいきなり嬉しくなりました)

そして今日も、お2人からいっぱい「驚き!」をもらいました。
例えば…

「この鳥居、なんでこんなに低いんですか?」(身長170cmとのこと)
「え?」

ううむ…鳥居が低い理由って何でしょう??
(考えたこと、なかった…)

で…

“地元の人に質問して一緒に考えてもらっている”の図です。

「この家、何でこんなに低い場所に建っているんですか?」
「え?」

「平屋の家と同じ高さですよ」
「ホントだ~!」(今まで気にしたことありませんでした。)

「風対策かなあ」
(私が答えられないので、自力解決されていました。)

「あ!!海が見える!スゴイ!!」

「こういう細い通路の向こうに海が見える場所って、なかなか無いですよ」(なるほど~。言われてみれば、そうかもしれません)

「あ!光!今がチャンスよ!」
「?」と思って同じ角度でカメラをのぞいて見たら…

椿の花が、スポットライトのような光に照らされていました。
(この一瞬を逃さない感性ってスゴイです!感心~。)

お2人は“人との会話”も、大好きなようでした。
椿祭り会場では熱心に、昔の写真の説明を聞き…


大島牛乳の歴史を聞き取りながら牛乳を飲み…


“災害から蘇ったパンジーの苗”を、買ってくれました。

これは“¥1000で苗を買い、プランターに植えてメッセージを書き、仮設住宅にプレゼントする”という試みのようです。(素晴らしい~!!)

で、書いてくれたコメントは…

「椿力!」
素敵な言葉ですね。

さて、今日はあらかじめリクエストのあった場所を回りました。椿資料館、縄文人の住居跡(岩陰遺跡)、郷土資料館、薬師堂、町営牧場。

薬師堂では、巨木の姿に全員で見とれ…


空を覆う巨木の枝葉のデザインに感心しながら、しばらく頭上を見上げました。


あちこち訪ねた中で、物語がつながるのも面白かったです。例えば岡田港の民家の庭で、昔の若者の力比べに使われたという“力石”を見た後に…


海が“力石”を作っている現場を見に行ったり…

(お客様からは「子どもがいっぱい!」という声があがっていました)

椿祭りで「大島牛乳物語」を聞いた後に…

牧場で牛乳のもとを見て、牛乳で作ったアイスを食べたり…。

ところで、お2人の今回の大島訪問の目的は、取材と同時に読者の方から集まった「義援金」を届けてくれることでもあったようです。

町役場・福祉健康課に直接手渡してくれました。

大島を応援しようとしてくれる、お気持ちが嬉しいです。

お2人が発行しているWEBマガジンはこちら。(3年半前の大島の記事です)http://collaj.jp/data/magazine/2010-09/index.html
今日のツアーの穏やかな楽しさが、そのまま伝わってくるようなページです。

明日は、お2人と山を歩く予定です。
楽しみです~。

(カナ)

追加です。
先日の伊豆大島の台風災害緊急調査(4学会合同調査)の発表がPDFで公開されました。
ご覧になりたい方は、以下のページをお訪ねください。
http://committees.jsce.or.jp/report/node/68


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静岡登呂遺跡2

2014年01月27日 | その他
弥生時代の遺跡で縦穴式住居を復元してあります

縦穴なので2段ぐらい下がります

弥生人出現。ボランティアの方が案内してくれました


ひとつの家には一家族4人ぐらいで住んでいて、隣には蔵が有ります


ひとつの集落には祭礼用の建物が有るそうでここで米が良く育つようにとお祈りしたのでしょうか?

ここで体験1

火おこし これが結構疲れる。だから1回火を付けたら絶やす事できないね。


土台の木から細かい木屑が出て摩擦熱でほ~ら煙が… 下の丸い輪は風除けになって技あり!
その後麻の綿の中に包んで息を吹きかけ炎が付きました

体験2

何していると思いますか?石の歯付けをしています
石は粘板岩の仲間で薄く剥がれる物でナイフを研ぐように研いでいます


出来ました これで


稲の穂先をかります(当時稲作をしていたが水田だけでは食べて行けず他に畑、山から食べられる物を採取してくる)


色々なお話をして頂きました

昭和18年軍需工場を建設しようとして見つかった遺跡ですが戦争中の事、工場建設推進しないで残しておいた人達は凄い。しかし、この住居に住んでいた人達はどこに行ったのでしょう?代々同じ土地に住んでいれば今は町に変わっているはず。
ある時家を捨ててどこに行ったのでしょう? 何が有ったのか?  (しま)


=余白=

刈り取りをした稲をお土産に頂きました


古代米で稲の先から出れいる“ノギ”が有るそうです。これが有ると鳥は稲が食べずらいのだそうです。


古代米は黒米。んん 赤米かな?
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椿祭りが始まりました。

2014年01月26日 | 今日の大島
今日から第59回、椿祭りが始まりました。
椿祭り会場の、12時頃の様子です。

島外の方は、あまり多くなかったようですが、島内からは災害で被災された方、町役場、観光協会、大島支庁、商工会、婦人会、島外ボランティア等など、たくさんの人が集まっていました。

黙祷、ミス大島の開会宣言、観光協会長、町長あいさつのあと、来賓の加茂市、あきる野市、町田市、熱海市、東伊豆町の方達から、大島の復興を願うメッセージをいただきました。

(大島と定期船が結んでいる熱海市では、大島島民は梅祭りの入場を無料にしてくれるとのことでした)

開会にあたり、観光協会長は、反対の声もある中で椿祭りを決断した経緯と経済復興への思いを、町長は「椿祭りを機に感謝と復興の思いを島内外に伝えていく」という決意を述べていました。

派手なイベントではなく、黙祷と挨拶で始まった今年の椿祭り。


“ミス雪椿”たちの応援や…


“ゆるキャラ”の登場が、会場に笑顔を作っていたように思います。

これは箱根から応援に駆けつけてくれた“ハコネコボザッピィ”
どうやらサンバが好きな箱根の猫で、箱形の猫キャラらしいです…。

小笠原からは“オガジロウ”が応援に来てくれました。最初「トカゲがサングラス?」って思っちゃいましたが、モデルはクジラらしいです。

ちょっと怪しげな雰囲気なのに(失礼)子ども達に大人気でした。
周囲からは「大島にも、ゆるキャラがほしいね」という声がチラホラ…。

C級グルメチャリティーが行われた会場では“アシタバ天ぷら”が無料で振るまわれていました。

カラッと揚がっていて「美味しい!」と評判でした。

椿の花の天ぷらもありました。

キレイですね~。
“椿祭り”にピッタリです。

こんな看板もありました。

「自力復興」…素晴らしいです!外からの手助けに感謝しながらも「自分たちの力で復興するぞ」という心意気が感じられます。

ここでも…

台風被害から蘇った花の苗が売られ、売り上げは義援金になるそうです。

プランターにはメッセージが寄せられていました。

「大島ガンバレ!元気と笑顔を取り戻せ!」
「人と心の復興を!」
「昨日よりも今日、今日よりも明日が良い日で」
(ありがとうございます)

東海汽船さんの新商品「島島弁当」も飛ぶような売れ行き。

行列ができて、すぐ完売していました。

お弁当の中身は島寿司。

山を歩く時のお弁当に、ちょうど良いサイズです。

最後に園内を回ってみました。椿は、まだこれからという感じでしたが、中には見事に咲いている木もありました。


夜中の強風がウソのように止んでポカポカ暖かだった、椿祭りの初日。
神様が、大島の復興を応援してくれているように感じられる天気でした。

(カナ)
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サクラサク

2014年01月25日 | 植物
今日は暖かくなるとの予報でしたが大島は南西風が強く、午前中の早いうちから薄雲に覆われてしまったので案外寒かったです。
朝のうちに鳥を探しに大島公園に行って見ました。

鳥さん・・・少ないです。
まったくいない訳ではないんですがアオジ、クロジ、ジョウビタキ、ルリビタキ、アカハラ、シロハラ、ツグミ、ウソなど前回の冬にはこの公園にもたくさんいた鳥たちの姿がありません。
声もほとんど聴こえてきません。
あー。
なんてこった。

園内をぶらぶらして「あ、そうだ早咲きのオオシマザクラはもう咲いてるかな?」と思い見に行ってみると。





おぉー、咲いていました。
これって1分咲きくらい?









10本くらいのオオシマザクラが花を咲かせていました。
明日からは椿祭りが始まります。
早咲きのオオシマザクラもお見逃しなく。


今日のオマケ画像。



タイワンリスがツバキの蜜を舐めていました。
こうやって花を散らさずに舐める個体もいるんですね。
受粉の役に立ってる・・・かな?

                            がんま
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4学会合同調査報告会

2014年01月24日 | 火山・ジオパーク
昨日、東京で行われた4学会(土木、地盤工学、応用地質、地すべり)合同調査の報告会を聞いてきました。

会場にはたぶん、100人以上が聞きに来ていたと思います。

ほとんどが、学会関係の人達のようでした。

1分間の黙祷のあと、様々な角度からの報告が行われました。

火山地質、気象、崩壊発生のタイミング、表層崩壊の発生状況(現場写真より)、崩れはじめた場所の砂の分析、上流~下流の土砂、洪水の特性、砂防ダムの検証、流木の破壊力、家屋の被災状況、道路、砂防施設の被害状況、廃棄物処理、聞き取り調査による災害対応・復旧・復興の課題、自衛隊の対応等々…。

プログラムの詳細が知りたい方は、土木学会のHPをご覧ください。
http://committees.jsce.or.jp/report/node/68
当日配布された分厚い資料も 、数日のうちにホームページ上にUPされるとのことです。

さて今回の報告会で発表された崩壊の原因は「植物の根の侵入を妨げるような、よく締まった火山灰層の上の、ゆるい火山灰層に水が満ちて滑った。崩壊の深さは30cm~1m。」とのことでした。

崩れたのは山の斜面の上の方だけで、下の方はほとんどが上から崩れて来た土砂や流木に、なぎ倒されたもののようです。

これらの結論を含む今回の報告は、多くの専門家が現場を歩き、崩れた面に登って写真を撮り、航空写真を分析し、室内実験で滑った砂の密度を測り、現地に入って聞き取りをする…という調査の結果、導きだされたものです。

「崩壊の原因」自体は今までも語られてきたことですが「こういう調査、実験をした結果、こういうふうに考えた」というプロセスを教えてもらうことで、とても納得できました。プロセスを知ることって、大切ですね。

今回の合同調査は、バラバラに調査に入ることで私たち島民に迷惑をかけずにすむよう、皆で日程をあわせて行ったものだったそうです。(初めて知りました)

そしてまた、各専門家が知識をシェアすることで、互いに学びあうことができたと合同調査のメリットも語られていました。

今後必ず大きな災害が起きるであろうことを考えると、このような「チームでの仕事」は、ますます重要になってくるのかもしれません。

最後に、調査団からの「提言」を載せておきます。




4学会は4月に最終報告をまとめ、5月には現地での住民説明会を開きたいとのことです。


(カナ)
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ありのままの大島を。

2014年01月23日 | ツアー
昨日、ツアーで三原山に行ったら…雪がつもっていたので驚きました。
山の上の“温泉ホテル”に宿泊されていたお客様に聞いたところ「昨晩まで何もなかったが、朝起きたら突然雪景色になっていた」のだそうです。

お客様は以前、ご自分達で火口を歩いているとのことだったので、ゴツゴツ溶岩地帯で「白と黒の世界」を見ていただくことにしました。

雪は思ったより少なく、黒い溶岩がシッカリ見えていました。

でも、うっすら雪化粧した溶岩は、やはり素敵です。
黒い溶岩と白い三原山の風景には、毎回見とれてしまいます。

“ハト”も背中に雪を乗せていました。

なんだか、シマシマの羽の生えた別の鳥みたいにも見えますが…。

黒い大地に描かれる白い模様。

あっという間に消えてしまう「今だけの風景」だと思うと、よりいっそう美しく見えます。

ゴツゴツ溶岩の造形を楽しんだあとは、“溶岩の流れ”を見に行きました。
1986年、割れ目噴火で流れた溶岩が今も黒々と残る場所。

周りは裏砂漠のような、小さな溶岩の粒が降り積もっています。
ここでぜひ“あること”を体験していただきたかったのです。

それは細かい溶岩粒の上に寝転がり、“ツボマッサージ”の感覚を楽しむこと。そして、広い景色を独り占めしてお茶を飲むこと!

風も弱くて春のような暖かさで、とっても快適でした。
満足~。

帰り道、足もとの小さなコケに、キラキラ光る水滴がついているのに気がつきました。雪が太陽で暖められて、水になったのです!

「何カラットかしら?」とお客様。
「一瞬で消えてしまう今しか見られないものだから、ダイヤモンドよりも高級かも」という話しでお客様と意見が一致しました!

そして…「あ、こっちに沢山ありますよ」とお客様が見つけてくれたのが、この風景でした。

キラキラの粒が、いっぱいで、ものすご~くキレイでした。
この一瞬に居合わせられた幸運に感謝です。

お客様は森の中でも、色々なものを見つけて教えてくれました。その中で一番驚いたのが、崩れた崖のすぐ横で実っていたアオキの実です。

普通よりも小さい実が、ビッシリついていました。

これは木の下から見上げた風景です。

こんな状態の実のつき方は初めて見ました。

台風を経験したアオキが「頑張って子孫残さなきゃ!」と思って、実をつけているようにも思いましたが、森の中でこの木だけなのですよね…(特に理由はないのかなぁ…)

そして、こちらもお客様の発見。

ねじれまくった蔓!(写真はごく一部です)
「ここまで複雑に絡み合った蔓は見たことない」と、みんなで蔓を誉めたたえた(?)のでした。

お客様はご夫婦で良く山を歩かれるようですが、今回は花を持って大島を訪ねてくれたようです。前日は献花台に花を持っていかれたとおっしゃっていました。

災害も、美しい自然も全て伊豆大島。これからも、ありのままの伊豆大島をお客様と一緒に感じながら、歩きたいと思います。

ところで、最後にお知らせです。(またこのパターンです。笑)

台風災害で放送が延期されていた「大島の火山と椿」のドキュメンタリー番組が、2月2日(日)にBS日テレで放送されます。(森を案内するガイドとして私も登場します)
http://www.bs4.jp/morigin/onair/index.html

椿祭りの開始とあわせて放送し、大島を応援しようとしてくれる、スタッフの皆さんの気持ちが嬉しいです。

お時間のある方は、ぜひご覧ください。

(カナ)

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アカウスバフユシャク

2014年01月22日 | 
その存在を知ったのは4年前でした。
このグローバルネイチャークラブのブログでです。
2010年2月2日に天野が書いていて、その時です。
それから気には掛けていたのですがなかなか出会えませんでした。

今月12日。
朝、玄関を出るとフユシャクがドアにとまっていました。
あとで撮影しよう~っと捕獲。
近くを探すともう1匹いました。


ちょっと翅が開いてます。


これが正しい(?)納まり方。


ちょこりん。


この2匹は特に大きさに違いはないようです。


あ、引っくり返っちゃったー。
裏はこんな感じです。

撮影していて、「あれ?これはもしかして以前天野さんが探していたナントカフユシャクじゃないのかい・・・?」という疑問がわき上がりました。
さっそく天野にメールしてお知り合いの詳しい方に同定をお願いしました。


結果を待っていた17日。
今度は別の場所で3個体見つけました。

捕獲前。


大きさがわかりやすいように定規を置いてみました。


この2匹はずいぶん大きさが違いますね。


ほら3匹。


同定結果を頂いたのは19日です。
で、本日のお披露目となりました。
探していますが17日以来見つかりません。
もう発生が終わっちゃったのかな。
来年はメスも見てみたいです。

                          がんま
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