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納戸の奥に眠っている箱を久しぶりに出してみると…
買い集めていた45年前の週刊ベースボールを読み返しています

# 790 夢の球宴 ②

2023年05月03日 | 1977 年 



次世代の金の卵
オールスター戦はスター選手のオンパレードでその顔ぶれを見るだけでも夢の球宴なのだろうが、視点を変えて将来のスター選手を探すのもひとつの「夢」ではないか。その意味でもジュニアオールスター戦も楽しいフェスティバルである。二軍の選手たちはカクテル光線の下ではなく炎天下でプレーする。摂氏35度近い直射日光が選手の顔や腕へ容赦なく降り注ぐ。グラウンド内は蒸し風呂のような猛烈な暑さだ。だからどの顔も日焼けして真っ黒。中には一軍ベンチ入りしている選手も数人いて色白な顔が目立つが、彼らの願いは1日も早く一軍でプレーすることだ。投手なら先発ローテーション入りを目指すし、野手ならスタメン出場を願う。

日頃はイースタン、ウエスタンに分かれてそれぞれのリーグで頑張っている二軍の選手たちの1年に一度の晴れ舞台がジュニアオールスター戦だ。本家のオールスター戦と違って派手さは欠けるが一軍入りへの切符を手にする登竜門であることには違いない。どの選手も出場できたことをステップに一発やってやると思っている。だから余計に本気の試合が展開される。1㍍68㌢しかない小柄な島田選手(日ハム)は全イ軍の二番打者で出場して最高殊勲選手と打撃賞を獲得したが試合後、「1日も早く一軍に上がってゼニを稼ぎたい。二軍で打っても生活できません」と受賞した喜びより一軍昇格の願いの方が強かった。

島田選手以外にも近い将来、本物のオールスター戦に選出されそうな将来性のある選手がゾロゾロいる。投手では斉藤投手(大洋)、藤城投手(巨人)、酒井投手(ヤクルト)、久保投手・谷投手(近鉄)、佐藤投手(阪急)、益山投手(阪神)など鋭気さっそうの男たちが顔を揃えている。全ウ軍の広島の野崎二軍監督は「イースタンで目についたのは大洋の斉藤投手(3回1失点)とヤクルトの酒井投手(2回無失点)だ。2人とも粗削りだが球に力がある。ウエスタンでは近鉄の久保投手や谷投手も良い。特に久保投手は高卒1年目ながら落ちついて投げていた。敢えて苦言を呈するならみんな変化球が甘い。今の段階ではスピード重視で構わないがいずれ変化球の精度を上げる必要がある」と注文をつけた。


山本功一軍の力発揮
既に一軍でプレーしている選手はやはり一味ちがう。全イ軍では笠間選手(巨人)が目立つ。相変わらずの強肩に加え久保投手から右前打を放つなどバットの方もキラリと光った。内野では攻守で群を抜いていたのが山本功選手(巨人)。一軍で打率3割以上をマークしている選手だけに別格だ。全ウ軍では2回裏に一軍でも活躍している大洋の斉藤投手から左翼スタンドに一発を放った吉沢選手(阪急)が目立った。巨人の松本選手と早大の同期で六大学野球のスター選手だったが、プロ入りしてからは一軍では3打数無安打と精彩を欠いていた。だがこの一発で自信をつけたのではないだろうか。

他にも中畑・篠塚・二宮選手の巨人勢。背番号「76」を背負う藤瀬選手(近鉄)、クラウンの徳山・立花選手、高月選手(広島)、宇野選手(中日)といった選手の動きが目立った。ところで注目の酒井投手の一軍昇格は今年はもう無さそうだ。小森二軍監督は今後の酒井投手について「とにかく一軍から酒井を上げるように言ってきても応じないつもりです。今日の酒井は確かに球も速かったし、キレもあった。だが球が高目へ集まり過ぎる。まだ足腰が出来ていない証拠。だから二軍でしばらくは徹底して走り込みをさせたい」と言う。2イニングで降板した酒井本人はもう少し投げたい素振りだったが、このジュニアオールスター戦で何かを掴んだはずだ。

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