Haa - tschi  本家 『週べ』 同様 毎週水曜日 更新

納戸の奥に眠っている箱を久しぶりに出してみると…
買い集めていた45年前の週刊ベースボールを読み返しています

# 807 週間リポート 広島東洋カープ

2023年08月30日 | 1977 年 



ヘソから下は丸出しで~す
広島市民球場での対阪神3回戦の6回表からギャレット選手が捕手で登場した。外人選手が捕手をやるのは昭和37年、大毎(現ロッテ)テスタ選手以来15年ぶり。身長188cm・体重86kg の巨漢がプロ選手としては小柄な水沼選手のプロテクターを着けるとヘソから下が丸出しといったサマを目にしたスタンドのファンは大笑い。なんとも滑稽な見た目だがそのプレーたるや見事なもので首脳陣や広島ナインはビックリしたほど。「的が大きいので投げやすい(池谷投手)」のは当然としても強肩ぶりが抜群で、翌4回戦で二盗を試みた中村勝選手を刺した時にはスタンドから「日本人は敵わない凄い強肩だ」との感嘆の声が上がった。

ギャレット選手は捕手が素人というわけではない。大リーグのエンゼルスに在籍していた昨年も捕手として15試合に出場しており、相手の先発投手が右腕の時は四番・捕手で出場していた。守りに気を使って打撃に影響するかと思いきや、対阪神4回戦では初回の一死二・三塁のチャンスで中前に先制の2点適時打。6回には右中間に同点2ランを放つなど首脳陣の不安は杞憂に終わった。その後雨が強くなり同点のままコールドゲームとなっただけに価値ある同点本塁打となった。「いいねぇ。しばらくギャレットを捕手で使いたい」と古葉監督はご満悦。ギャレット本人も「ボスがやれと言うならどこのポジションでも喜んでやる」と頼もしい。


改めて!神は神で神ではない
「こんな抗議はこれまで一度としてなかった。聞いた時はビックリしましたねぇ」とファンからのクレームに球団職員は大慌てだった。それは広島市民球場で行われた阪神戦での出来事だった。試合中に広島市内の球団事務所に「当用漢字に『神』という字はありません。子供たちに学校で教えない字を使ってもらっては困ります。すぐに改めて下さい」と電話があった。その声はひどく強硬であったそうだ。なるほどスコアボードに記されている阪神の『神』の字が旧字体の『神』になっている。どうやら電話の主は市内の教育関係者らしく、子供たちの教育問題と言われたら球団側も従わざるを得なかった。

" 神も神もカミ一重 " などとしゃれている場合ではなかった。「ご指摘の通りです(球団関係者)」とただただ低姿勢で翌日にはスコアボードの掲示板を書き直した。これまで10年以上もまったくクレームがつかなかったものが、ここにきて抗議を受けたのも開幕から低迷を続けるチームがだらしない為なのか?「これをきっかけに何とか強くなって欲しいもんですね」と球団職員は古ぼけた他の5チームの掲示板に比べてやけに真新しさが目立つ『阪神』の掲示板を見つめて何とも恨めしそう。


夏休みなんてあるものか!
意外も意外?最下位という見事なまでの不振にどうにも恰好のつかない古葉監督。その為なのか例年ならたっぷり休養をとってきたオールスタ戦期間中に猛練習をする計画だ。地元広島市内のホテルに一軍メンバーを3日間カンヅメにするミニキャンプを強行する。「巨人をはじめどこのチームも絶対的な力があるわけではない。借金(負け越し数)を何としても返済し何が何でも上位に食い込みたい」と古葉監督はやたら張り切っている。この期間中を例年通り夏休みと早とちりして家族旅行を計画した選手たちはガックリ。

それもこれも身から出た錆で文句を言えた筋ではない。「他チームの選手らが羨むほどの年俸をとり、しかも待遇も最高(球団職員)」とあれば頑張るしかない。ましてや広島市内のホテルに滞在しての練習なので食事や移動の負担もなく、文句を言ったらバチが当たる。既に首脳陣は各選手個々の長・短所を総点検し課題を見つけてみっちり鍛える腹づもりだ。これでこのまま最下位に沈みペナントレースを終了したらファンは承知しませんよ!
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# 806 週間リポート 阪神タイガース

2023年08月23日 | 1977 年 



キバとヒゲがモノをいいます
連敗街道まっしぐらの阪神。猛虎と呼ぶにはおこがましく、すっかり飼い猫状態だったがようやくキバ(掛布)とヒゲ(田淵)に復活の兆しが見え始めて虎らしくなってきた。掛布選手の場合は骨折が欠場の原因だったので怪我が治りさえすれば復活に問題なかった。一方の田淵選手は極度のスランプでスタメン落ちしていたが復帰2試合に久々の11号本塁打を放った。10号を放った5月29日以来20日ぶりの一発だった。ただし打順は本来の四番ではなく六番とまだまだ完璧な状態ではないが、とにかく本人も首脳陣も一安心。「ヒジの具合も良くなって左方向へ引っ張れるようになった。これからは大丈夫そうです」と笑顔が戻った田淵選手。

勝率を5割に戻し、遅まきながら首位巨人追撃に出た阪神。甲子園球場での対巨人3連戦(21・22・23日)で掛布選手と田淵選手に一発が出て3連勝してチームのムードは一気に盛り返してきた。「やはりあの2人がムードを盛り上げた。長い辛抱だったけどあとは田淵が四番でバリバリ打ち出したらこれでウチ本来の姿に戻れる。佐野が帰って来れば開幕当初のベストメンバーで戦える。もう一度再アタックですわ」と吉田監督。阪神にとって6月後半からオールスター戦までは反攻の時期。梅雨空の下で息を吹き返した虎が巨人にどこまで迫れるか、前半戦最後の興味である。


即行動せよ!掛布ファン
掛布選手が戦列に復帰して1ヶ月近くになり調子も元通りで絶好調。欠場中は小休止だった掛布ブームが再燃し、どこに行っても " 掛布く~ん " の大合唱だ。大洋と帯同した仙台遠征では宿舎を訪れた女子高生ファンから東北名物のコケシをプレゼントされた。「ここ(仙台)に来るといつもコケシを貰うんです。今回で4つ目です。合宿所の部屋に飾っています」と掛布選手の部屋はファンからのプレゼントで埋め尽くされている。これほどの掛布人気でも勝てないのがオールスター戦のファン投票。目下、三塁手部門では高田選手(巨人)に1万票以上の差で2位に甘んじている。

三塁手部門では他にも衣笠選手(広島)や田代選手(大洋)もいて激戦である。「今年は怪我で長いこと休んでいたので票数が少なくても仕方ないですね。規定打席にも達していないし、成績を比べても高田さんや田代さんに負けています。今年は厳しいです」と中間発表の時点で掛布選手は言っていたが、怪我から回復し徐々にではあるが調子を上げてきている。果たして最終の締め切り時ではどうなっているのか興味深い。全国の虎ファンに告ぐ。ここで掛布選手を後押ししないでいつやるのだ!


四番サード掛布・背番号 31
野球選手にとって四番打者は夢。が、その四番を「今のボクにはまだ無理」と僅か1試合で返上したのが若トラの掛布選手。田淵選手の右手指骨折など中心打者に故障者が相次ぎオーダーが試合毎に変動する非常事態が続き、7月18日の対ヤクルト19回戦で遂に掛布選手の四番が実現した。掛布選手にとって四番はプロ入り4年目で初めて。試合前に山内打撃コーチから「今日は四番を任せた」と言われて掛布本人が一番驚いた。「ハイ」と返事をしたものの、状況が呑み込めずしばらくポカ~ンとしていた。まさか自分に四番の座が回ってくるとは想像すらしていなかったのだ。

さすがの若トラも緊張で第1・2打席は凡退。だがこのまま期待外れで終わらないのが掛布選手の非凡なところ。第3打席に梶間投手から右翼席に10号勝ち越し本塁打を放ち四番の重責を果たした。だが本人は「四番はまだ自分には荷が重い。三番の方が打ち易いです」と四番返上の弁。四番に抜擢した吉田監督は「まだ四番はキツイかなと思ったけどよくやってくれました。でもあまり負担をかけてせっかくの調子が崩れてはいけないので長くはやらせない」と翌19日の対広島12回戦から元の三番に戻した。だがいずれは阪神の四番に座る選手で先ずは予行練習といった「1日四番打者」を経験した掛布選手だった。
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# 805 週間リポート 読売ジャイアンツ

2023年08月16日 | 1977 年 



さすが全国区 " 巨人党 " 強し
オールスター戦のファン投票第1回集計が出て捕手意外の8ポジションを巨人勢が占めるという参議院選の候補者が見たら羨ましがる " 巨人党 " が大躍進。早くも巨人ナインの間では「参議院なら全議席独占も夢じゃない」「今のコバ(小林投手)なら本物の選挙に立候補しても当選確実だ」などなど。中には「あとはヨシ(吉田捕手)だけか。これからは1打席1打席が票につながると思ってやれ」とか「打席では " お願いしま~す " という気持ちで打て」など冷やかしたり激励したり。その吉田選手も23日の第2次発表で田淵選手(阪神)を抜いて捕手部門トップに立ち遂に巨人勢が全ポジションを占めた。

巨人勢や他チームのスター選手ら全セを指揮する長嶋監督は楽しい構想にふける時がある。三塁手部門は現在トップの高田選手の他にも掛布選手(阪神)や田代選手(大洋)など実力者がいる。「3人(高田・掛布・田代)は当然選ばれるだろうが3人をどう起用するのか悩む。3イニング毎に交代させるか代打起用にするか」と長嶋監督はペナントレースの激戦の合間にスポーツ紙を広げて各選手の動向を見て頭を悩ます。21・22・23日は阪神に3連敗して一瞬、オールスター戦どころではなくなったが「オールスター戦のことを色々考えられるように早く貯金を『20』にしたい」と長嶋監督は巨人ナインにハッパをかけている。


あの左足、今日も冴えてるぅ
新たな火消し役の誕生だ。西本聖、つい先日21歳になったばかりのヤング。6月28日の阪神戦で待望のセーブポイントを稼いだ。それまでは主に中継ぎで好投していたがセーブポイントがつかない不運にあった。「1試合でも多く投げたいと思ってますから数字にはあまり関心がないです」と西本投手は言うが嬉しくない筈はなく、翌29日には「今朝は随分早く目が覚めました。やっぱり新聞に自分の名前が載るのは嬉しい(笑)」と初めてヒーロー扱いされた新聞記事を目にして本音もチラリ。28日まで6月の西本投手は10試合に登板し6連投中で翌日も登板して7連投。さすがに疲れから球威は落ち、打たれて負け投手に。

「加藤がいなくて浅野もダウン。どうしようかと悩んでいたところに西本が出てきた。家貧しくして孝子出ず、だね。ヤツはまだまだ伸びるよ」と杉下投手コーチ。西本投手は入団したころ左足を高く上げる往年の名投手・沢村栄治ばりの豪快な投球フォームだったのを制球力アップの為に昨年に修正したが「モーションに変化をつけた方が打者を幻惑できるかなと思いまして(西本)」と時折たまに足を上げるフォームで投げることもある。投球フォームが独特で有名になったが好投できなかった為に " ブロマイド投手 " などと陰口を言われたこともあったが、今や巨人若手四羽ガラスの中でトップ的存在だ。


仁王様の目が鋭く光った!
「できればファン投票でオールスター戦に出たかったですよ」と最後の最後でファン投票選出から漏れた張本選手は残念がる。その数日後には首位打者争いで若松選手(ヤクルト)にトップの座を譲り渡した。この頃からである。張本選手が猛然と奮い立ったのは。持ち前のケンカ打法とも評される打撃に凄みが加わった。練習の時から違うのだ。張本クラスの選手なら試合前の練習はコンディションを整える為のもので構わないはずだが、まるで真剣勝負のような気迫でバッティング練習に挑んでいる。「あんな凄い目を初めて見たよ。仁王様という表現がピッタリ」と山口打撃投手も驚く。

「俺は強い男だ。夏バテなんてするわけない。体に多少の不具合があったって負けない。必ず巨人のV2と首位打者を達成してみせるよ」と久しぶりに張本選手の怪気炎が聞かれた。オールスター戦ファン投票の落選は逆に張本選手の発奮材料となっている。「いつまでも口惜しがったりしない。その気持ちを闘志にかえて体ごとぶつかっていくだけですよ。まぁ自分のタイトルは二の次。先ずはチームの優勝。それを1日でも早く決めてからワンちゃん(王選手)のホームラン世界新記録。頑張りますよ(張本)」と頼もしい新・燃える男の誕生だ。
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# 804 週間リポート クラウンライターライオンズ

2023年08月09日 | 1977 年 



高くない2300万の契約金
「アイツ、やっぱりただのルーキーじゃなかった。俺の目に狂いはなかったよ」と青木一三球団重役(スカウト・渉外担当)は得意満面。それというのも松下電器に内定していたのを大逆転で入団させた立花選手が刈谷市営球場で行われたウエスタンリーグのトーナメント大会で最優秀選手の栄冠を勝ち得たからだ。「高校生のそれも外野手に契約金2300万円は高すぎるという声が多かったが、俺が2年越で惚れ込んだ逸材だからな。決して法外な金額じゃなかっただろ。この分ならレギュラー獲得が予想より早まるかもね(青木)」と球団側の宣伝の分を割り引いても立花選手の実力は確かなモノである。

トーナメント大会では二番打者として11打数6安打。吉沢選手(阪急)の打率 .625 に劣るものの、決勝の阪急戦一死満塁の場面で平山投手から放った中越え三塁打が決め手となり最優秀選手に選ばれた。「外野フライでいいと気楽に打てました。和田さん(二軍監督)に好きに打っていいと言われたので " 初球から打っていいですか? " と聞いたらOKだったので思いっきり振りました。インコース高めのストレートでした(立花)」とのこと。和田二軍監督は「何といっても思い切りがいい。口で教えてもなかなか出来ない選手が多い中で1年生で大したもんだ」と手放しで褒めちぎった。


いっちょうやったるバイ!
前期シーズンのチーム打率・本塁打・打点がいずれもリーグ最低のライオンズ打線。盗塁や失策数がやや改善されつつあるのが救いだが「こんなに打てないと後期も苦しい」と鬼頭監督の表情は厳しいままだ。特に一発で試合を決めてしまう本塁打数の減少傾向は気がかりだ。負けてもいいから派手な一発を観たいというライオンズファンは多い。そんな声に後期に向けて「一丁やらせてもらおうか」と腕をぶしているのが一昨年の本塁打王の土井選手。前期シーズンの土井選手は4月下旬の南海戦で左足アキレス腱を痛めてしまい、思った以上の重症で足首の腫れが引くまで結局前期いっぱいかかった。

土井選手の打法といえば左足を思い切り踏み込んで球をバットに乗せてスイングし遠くに飛ばすもの。それが痛みの為に踏み込めず「ええ角度で上がったと思ってもフェンスの手前でス~と失速しよるんですわ。そりゃもう悔しゅうて、情けなくて…(土井)」という毎日が続いた。開幕当初は順調だった。20日間で4本塁打を放ったが、足を痛めた後は2ヶ月過ぎても4本増えただけ。アキレス腱痛がバッティングの調子を狂わせたのは間違いない。それが後期シーズン開幕を前にしてようやく明るい兆しが。「もう八分以上良くなっている。ベストの状態になるのはもう間もなくですわ」とようやく土井選手の表情に明るさが戻ってきた。


バッテン、やっぱ強かぁ
後期シーズンが始まり二度目の遠征で阪急の稲葉投手に翻弄され快進撃は小休止してしまったものの、第3節を前に前期最下位がウソのような勝ちっぷり。後期開幕のロッテ戦で連敗した後は日ハム戦を勝ち越し。気を良くして平和台に帰ってから南海相手に7対4、2対1、3対0と3タテ。更に近鉄には5対2、7対0、5対1、3対2と何と4タテ。遂に昭和47年8月以来の7連勝を記録した。観客動員も3、4連勝までは6千~7千人だったが5連勝した試合で1万人台に乗せ、6連勝した試合は2万人を超え今季最高人数を動員した。この日は平日でしかも戻り梅雨で小雨が降るという悪条件だったが多くのファンが平和台球場に押し寄せた。

大田選手のサヨナラ5号本塁打で勝利し昭和33年の西鉄黄金時代以来19年ぶりの地元7連勝が実現した夜の博多の街は大騒ぎとなった。これまで期待を裏切られ続けただけに連勝中も半信半疑だった博多っ子も7連勝が決まるとスタンドで花火を上げて「勝った、勝った。ライオンズは強かぁ」と歓声を上げると歓楽街中洲に繰り込んだ。博多の街を流しているタクシー運転手は「乗車してくる皆さんがライオンズはどうなった?と聞いてきます。ライオンズの勝利を知ったお客さんがお釣りをチップにして頂いています」と商売繁盛でウハウハだ。
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# 803 週間リポート 日本ハムファイターズ

2023年08月02日 | 1977 年 



この一発!お前に分かるかな?
開幕戦からパ・リーグでは華々しい満塁本塁打ラッシュが続いているが、日ハムでも23日の近鉄戦で富田選手が満塁弾を放った。0対4とリードされた8回に同点引き分けに持ち込む価値ある一発だった。あまりの嬉しさに富田選手が一塁ベースを踏み忘れて慌てて踏みに戻るハプニングもあった。あわや幻の満塁本塁打になるところだったが、幻の一発といえば昨年のことを憶えているファンも多いはず。4月29日、同じく近鉄戦で新人の行沢選手がプロ入り初安打を満塁本塁打で飾ったが一塁走者の服部選手を追い越してしまい、記録上は「単打・3打点」となる珍事があった。

「満塁なんて野球をやって初めて。ソフトボールで打ったことがあるだけ。そういえば柳田投手はソフトボールみたいな下手投げだから打てたのかな。柳田投手は昨年ノーヒットだったから関係ないか(笑)」と富田選手はジョーク連発で大はしゃぎだったが、実はこの試合に三枝子夫人と長男の大介ちゃんが球場に来ていて家族の前で打てたことに喜びを爆発させたのだろう。「主人がデーゲームだから試合が終わったら後楽園遊園地に行こうと誘ってくれたので試合が終わる頃を見計らって来たらホームランを打ってビックリしました」と三枝子夫人。富田選手はまだ1歳の大介ちゃんに「パパ打ったよ。分かるか?」と頬擦りする親バカぶりを見せつけていた。


一度は足を洗おうと思った男
前期シーズンもいよいよ終わりだが日ハムのツキ男・江田投手がツキの締めくくりを飾った。6月22日のロッテ戦ダブルヘッダー第1試合、先発の佐伯投手が4失点で5回降板後に登板した江田投手。どうせ負け試合…と気楽に投げているうちに味方打線が反撃し同点に追いつき、最終回には永淵選手の5号逆転2ランが飛び出し今季2勝目となる勝ち星が転がり込んだ。「ツキも実力のうちですかね、エヘヘ」と普段のポイーカーフェイスはどこへやら破顔一笑で喜んだ。

「今シーズンの目標は先ずは一軍入りだった。ここ2年は二軍暮らしだったから今年ダメなら野球から足を洗うつもりだった。それが一軍どころか勝ち星まで。しかも前期だけで5勝とは自分でもビックリしている」と江田投手。自分自身の調子が下降気味だったのに加えて高橋一投手や野村投手ら先発陣が復調したこともあって出番は少なくなっていた江田投手にとって40日ぶりの勝ち星だった。「こうなったら10勝でも狙いますか(笑)。これまで女房には苦労ばっかりかけてきたので何かプレゼントしようかな」と喜びを隠せない江田投手だった。


勇者殺しに刃物はいらぬ。高橋直がいればいい
6月26日の阪急戦に先発し完投勝ちして9勝目をあげた高橋直投手。この試合の勝利でチームは1試合を残し貯金「1」となり前期シーズンの5割以上を決め、更に対阪急戦も勝ち越し有終の美を飾った。「まがりなりにもエースと呼ばれているんですから、こうした節目の試合は勝たないとね」と高橋直投手は涼しい顔だがチーム勝率5割といえば、昭和49年に日本ハムファイターズとなってから初めての出来事だ。ここ数日雨ばかりで体調管理が難しく「立ち上がりから体に力が入らずフラフラしていた(高橋直)」そうだがそこは相手の手の内を知り尽くしており今季既に3勝と阪急キラーぶりを存分に発揮した。

6月に入って3対2、2対1、1対2、3対2と全て1点差ゲームに登板した高橋直投手。「僅差の試合は体も気持ちも疲れる。僕は夏場はあまり得意ではないので後期シーズンが始まるまでに多摩川で走り込んでおきたい。幸いウチも野村・佐伯・高橋一と先発陣も揃ってきたし、宮本幸・村上さんら救援陣も健在でこのまま後期に突入したら優勝するチャンスもある。6月は登板回数も少なかったし余力はあります」と話す高橋直投手。前期シーズンは投球回数 136 イニングと12球団最多登板で疲れもあるだろうが意欲はみなぎっている。
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