Haa - tschi  本家 『週べ』 同様 毎週水曜日 更新

納戸の奥に眠っている箱を久しぶりに出してみると…
買い集めていた45年前の週刊ベースボールを読み返しています

# 442 ドラフト1位の武者震い ①

2016年08月31日 | 1985 年 



広島東洋カープ・1位指名:杉本正志(箕島高) 【 通算成績:公式戦一軍出場なし 】
聞き手…プロの自主トレに参加してみての感想は?
杉 本…最初は先輩方と離れて新人だけが集まって練習していたので正直「楽だなぁ」「こんなもんか」と思っていたけど2日目には
      早くも足が張っちゃって・・やはりプロの練習は内容が濃いと実感しました

聞き手…チームの雰囲気はどう?
杉 本…皆さん気を使ってくれて楽しかったです。最初に声をかけてくれたのは石本さん、紀藤さん。生活面のアドバイスをして頂きました
聞き手…背番号が「35」に決まりましたね
杉 本…最初はガクッときたんです。アキヒロ(嶋田章弘・箕島高の同級生で阪神のドラフト1位)が「15」やったからもう少し良い番号を
      期待していたんで。でも目標にしている山根さんが昔に付けていた番号と聞かされて今では気に入ってます

聞き手…学校の都合でキャンプインは2月6日にるとか
杉 本…遅れての合流になるけど監督やコーチに急に飛ばさないように注意されました。焦って怪我をしたら取り返しがつかないので
      ゆっくりやります。キャンプインまでは軽いキャッチボールをして肩を休ませないようにします

聞き手…キャンプでの課題は?
杉 本…球種を増やす事です。今、投げているカーブはストライクが全然入らないし、先ずはカーブの制球力をつけて次はフォークボールか
      何か落ちる球を覚えたいです

聞き手…カープの投手で好きなのは?
杉 本…高木さんですね。高校野球の頃から知っていますから。北陽高時代は控えの「10」番だったのに凄く速い球を投げていたのが強く
      印象に残っています。僕も控え投手でしたから励みになります

聞き手…今年の目標は?
杉 本…チームで一番体力が無いと自覚しています。同期入団で投手は僕だけなので期待に応えたいです。出来るだけ早く一軍に
      上がりたいですけど焦らずじっくりやっていきたいです



中日ドラゴンズ・1位指名:中村武志(花園高) 【 通算成績:1380安打・137本塁打・打率.242 】
聞き手…自主トレは初日だけの参加となりましたが
中 村…ええ。卒業試験があって1日だけの参加でした
聞き手…感想は?
中 村…たった1日だけでしたが疲れました。プロの練習の厳しさを肌で感じました。時間は長くないのに密度が濃くて正直しんどかったです
聞き手…先輩たちはどうでした?
中 村…谷沢さんとか小松さんとかテレビで見ているよりゴッつい感じがしました
聞き手…ライバルの中尾選手は?
中 村…ライバルなんてとてもとても。背丈はそうでもないですが身体中が筋肉って感じでした
聞き手…いつ頃から練習に参加できるようになるの?
中 村…1月29日に試験が終わるのでキャンプには初日から参加できます。3月1日の卒業式には出ようと思っていたのですが、止めました。
      とてもじゃないけど練習を休んでいられる余裕はないです

聞き手…心かけている事は?
中 村…怪我をしない事です。それが一番です。猛練習とかはプロとして当たり前ですから
聞き手…一軍入りの為の計画とかありますか?
中 村…野球の技術より前に先ずは体力をつける事です。今年はしっかり鍛錬して出来れば来年には一軍入りしたいです
聞き手…花園高といえば大洋の斎藤明投手がOBですね
中 村…はい、大先輩です。一日も早く先輩の胸を借りたいです
聞き手…最後に自己PRを
中 村…元気だけは誰にも負けません。肩も自信があります。精一杯ガンバリます


読売ジャイアンツ・1位指名:上田和明(慶応大) 【 通算成績:61安打・5本塁打・打率.202 】
聞き手…初めてプロの練習に参加してみての感想は?
上 田…僕は2月2日まで卒業試験があるので参加できたのは1月12日~19日迄でしたから、本格的な練習ではありませんでしたが
      ランニング量の多さには驚きました。高校生ではないのでリタイアだけはしないよう頑張りました

聞き手…大学の先輩でもある正力オーナーの期待も大きいようですが?
上 田…期待されるのは光栄だし嬉しいです。ただ大学繋がりで獲ったと言われるのは心外です。ですから尚更、結果を残さないと
      いけないと思っています

聞き手…自主トレ期間中に王監督から何かアドバイスされましたか?
上 田…まだまだお客さん扱いですから特には無かったですが「試験を頑張れ」と言われました(笑)
聞き手…その試験の方はどうなの?
上 田…大変です。僕が慶応大学で野球が出来たのも高校(八幡浜高)の先輩方のお蔭です。僕が卒業出来ないと高校の後輩達の
      推薦枠が無くなってしまいますので必死で勉強しています

聞き手…コーチ陣からは?
上 田…守備は通用しそうだけど打撃は鍛えないと一軍に上がれないと言われました。自分でも分かっていましたから、ハッキリと言って
      もらってありがたいです。やってやろうじゃないか、と今は燃えています

聞き手…今年の目標は?
上 田…出遅れは覚悟しています。遅くともオールスター戦以降には一軍に上がりたいです。具体的な事は一軍投手と対戦してから考えます
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# 441 電撃トレード ②

2016年08月24日 | 1985 年 



あの日(1月24日)は朝7時半頃、知人からの電話で起こされたんです。一部スポーツ紙の『田尾西武へ移籍』の問い合わせでした。球団から事前に何も告げられておらず、この手の話は珍しくなかったので「またか」と言うのが正直な気持ちでした。朝食を済ませて合同自主トレに参加する為に午前10時頃に家を出ました。ナゴヤ球場入りして直ぐに鈴木球団代表と会い記事の真偽を問いましたが鈴木代表は「今朝のアレは根も葉もない噂だから心配しないでくれ」と答えました。だから周りの喧騒を気にする事なくトレーニングを続けました。午後1時過ぎになって突然鈴木代表に監督室に呼び出されました。てっきり「トレード話はない」旨を正式に伝えられるものと思っていましたが、鈴木代表の口から「西武とのトレードが決まったから行ってくれたまえ」とほんの数時間前とは正反対の事を言われました。

僕と鈴木代表との間にギクシャクしたものがあるのは事実ですが巷間伝えられている内容は少し違います。世間では数年前に鈴木代表が「頑張らんと給料は上がらんよ」と言い、僕が「あなたには関係ない」と言い返して関係が悪化したとされていますが違います。あれは4年前、スランプで苦しんでいた時の事。頭の中は野球の事で一杯で精神的に追いつめられてピリピリしていました。そんな緊張感がピークに達していたある試合前に鈴木代表が近寄って来て「今のままだと給料をさげるぞ」と言ったのです。僕はカチンときて「試合前の大事な時に何を言うのですか」と言い返したんです。僕もプロですから給料は多いに越した事はないですがシーズン中はお金の事を考えてプレーはしていません。目の前の試合の事を考えるので精一杯なんです。ちょっとしたボタンの掛け違いが現在まで続いてしまったのでした。

ですので鈴木代表の「西武に行ってくれたまえ」の一言にこれまでの様々な事が頭をよぎり一瞬、カッーとなりましたが直ぐに冷静さを取り戻し「分かりました」と承諾しました。今回のトレードに関する報道で残念に思ったのは僕がお金でゴネてトレードに出されたと書かれた事です。プロ野球選手にトレードは付き物です。僕自身も大リーグのようにビジネスと割り切ってお互いの球団にプラスとなるトレードをどんどんやるべき、と思っていました。ですから僕には「出された中日を見返してやる」といった気持ちは全くありません。結果として好成績を残す事が出来れば良いと考えています。幸いな事に僕は今、野球選手として一番脂の乗っている歳なのでどこの球団に行ってもやれる自信はあります。必ずや西武優勝の力となり、首位打者を目標に最低でも打率3割をクリアする覚悟です。

トレードが決まってから色々な人に球団からの通達より新聞報道が先だった事について聞かれましたが、僕自身は全く驚いていません。トレードにせよ自由契約にせよ事前に本人に伝えないのが昔からのウチのやり方でしたから。ただ契約更改を終えたばかりでキャンプイン目前でしたので今季も自分はチームに必要とされていると思っていましたから多少は驚きましたけどね。自分では動揺している姿を見せたくはなかったですけど、あの日はマスコミが張り付いていましたから隠せなかったのが残念でした。それよりも周りの反応の多さに驚いています。当日は200件を超える電話がありました。江川くんからも電話をもらいました。ある方に電話口で泣かれたのには困惑しましたね。また街中で見知らぬファンの方に激励されたり花束を頂いたりすると本当に申し訳なくて、「あぁ、やっぱりトレードを拒否するべきだったかなぁ」と考えてしまう時があります(苦笑)

中日には9年間お世話になって感謝しています。ドラフトで中日に指名された時(昭和50年)、同志社大・渡辺監督に「指名された球団で野球人生を全うしろ」と言われその言葉通りやってきた自負があります。ただこの2年間は選手会長として球団に対して選手が働きやすいよう色々と環境改善を要求して球団と対峙する事が多かったのも事実です。例えばナゴヤ球場の選手専用駐車場の件です。ナゴヤ球場では選手とお客さんが同じ駐車場を使っています。特に巨人戦の時などは試合終了後1時間程度は選手は帰れません。不測の事態も予想されるので選手専用を確保してくれるよう球団にお願いしてきましたが依然として実現していません。こうした経緯もあって僕は球団には煙たい存在になっていました。新聞には感情的対立などと書かれましたが今の僕にはシコリはありません。杉本君と大石君が中日で大活躍する事を心から願って名古屋を去ります。
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# 440 電撃トレード ①

2016年08月17日 | 1985 年 



キャンプイン直前の1月24日、突然大きなトレードが成立した。中日の主砲・田尾安志外野手と西武の左腕エース・杉本正投手プラス大石友好捕手の交換トレード。まさかこの時期に、と両球団関係者を驚かせるに充分な電撃ぶりであった。田尾と言えば中日の看板選手で球界屈指の好打者。これほどの選手がなぜ西武に放出されたのか?そして西武の若いバッテリーが揃ってユニフォームを変えなければならなかったのにはどんな理由があったのか?その舞台裏を覗くと球界全体の風の吹き方、両チームの複雑な事情が浮かび上ってくる。

年が明けて名古屋市内に小雪がちらついた寒い朝、スポニチの一面に『田尾・西武移籍』の見出しが躍った。自主トレ取材に向かう予定だったスポニチ以外の記者達は球団事務所を訪れた。「知らないね」と球団職員は素っ気ない態度。しかし多くの記者はそれがシーズンオフ恒例の " 飛ばし記事 " に対する態度とは明らかに違うモノを感じた。同じ頃、遠く離れた西武の合同自主トレに顔を出す予定の広岡監督の到着が珍しく遅れた。あの時間に厳しい広岡監督がである。「何かある」・・スポニチの記事を見た記者は異変を感じていた。後に分かった事だが広岡監督は球団フロント幹部と都内で最終的な打ち合わせをしていたのだ。

名古屋では「そんな筈はない」という担当記者、「やっぱり本当だ」という記者が混在していた。有り得ない説の根拠は中日の機関紙である中日スポーツが全く触れていない点、一方の有力説を唱える根拠は西武の内部情報には定評がある毎日系のスポニチが書いたという点。両者がヒソヒソ話をしている視線の先にはトレーニング中の田尾の姿があった。田尾は球場に現れるとベンチに座っていた鈴木球団代表に「僕はまだここで練習をしていいんですか」とジョークを飛ばすと鈴木代表も「どうぞ、どうぞ」と笑顔で返すのを目の当たりにした記者達は「やっぱり飛ばし記事だ」という思いに傾いていた。

しかし練習が終わった午後零時半過ぎ、マネージャーが田尾を「監督室に…」と呼び止めた。監督室には先ほど和やかに軽口を交わし合った鈴木代表が待機しており「西武とトレードが成立した」と告げられた。監督室から出てきた田尾は顔面蒼白で端正なマスクは引きつっていた。「トレードを通告されました。トレードなんて他人事と思っていたので少し動揺しています」と淡々と話した。時を合わせるかのように埼玉・所沢では杉本と大石もトレードを通告されていた。実は杉本は4日前に内示を受けていたがトレード先がどこかは知らされていなかった。内示を受けた杉本を東尾ら同僚が慰め激励していたが、その同僚の中に大石もいたのだが一転して立場が激励される側になってしまった。

そもそもこのトレードを画策したのは西武だった。昨シーズン、テリーが大リーグ(ドジャース)に復帰し大砲不在となった穴埋めに白羽の矢が立ったのが大島だった。根本管理部長が鈴木代表と山内監督に大島譲渡を打診したのが昨年5月、しかし当時の中日は好調で広島と首位争いを繰り広げておりトレード話はシーズン終了を待つ事となった。2位に終わった山内監督は投手の補強を希望した。「山内監督は大島は出せないと言ってはいたが実は投手が欲しかった。だから森と杉本の2人が獲れれば大島を出す腹づもりだった」と中日担当記者は言う。 " 大島⇔森プラス杉本 " の中日からの回答を西武は受け入れずこの話は立ち消えとなった。

大砲が欲しい広岡監督、優勝するには投手が必要な山内監督。我慢比べで早く動いた方が負け、といった事態を解消するチャンスが巡って来る。プロ野球界の中で様々ある委員会で中日・鈴木代表と西武・坂井代表が同じ福祉委員会に名を連ねていたのが幸いする。1月9日の会合で顔を合わせた2人は「お互いの監督が困っているのだからこの辺が潮時じゃないか」と胸襟を開いた。「森と杉本の両方は無理だが杉本と大石なら(坂井代表)」 「それじゃウチは田尾を出しましょう(鈴木代表)」とそれぞれが提示した。坂井代表は球団に戻り、田尾の名前を広岡監督に伝えるとあの冷静な広岡監督は大喜びしたそうだ。大島が35歳と峠を越しているベテラン選手であるのに対し田尾は円熟期の31歳。しかも打つだけの大島ではなく守って走れる田尾は広岡監督好みだった。

契約更改交渉で越年していた田尾は1月20日の交渉で最初の提示額四千五百万円から三百万円アップで更改した。中日では谷沢の六千万円に次ぐチームNo,2、球界全体でも10位にランクインした。更改後の会見で「ようやく球団も理解してくれた」と笑顔を見せていたが、中日にしてみれば西武が払うものと考えて餞別代わりにあっさりアップしたのだった。なぜ大島ではなく田尾だったのか?田尾が選手会長として球団に対して様々な要求をし、煙たがられていた事。また山内監督の打撃理論を受け入れず自己流の打撃スタイルに固執し、更には藤王や川又など有望な若手が育ちつつある事などが理由とされているが一番の要因は西武が田尾を高く評価している事に尽きる。本来トレードとは球団にも選手にも有益であるべきものである。移籍先に馴染めず実力を発揮出来なければ選手も球団も不幸である。

大島ではあと1~2年で先が見えてしまい移籍は本人の為にはならない。その点で田尾は4年連続で打率3割をマークするなど実力は折り紙つきで5~6年はバリバリ働けるだろう。また田尾が移籍する事でなかなか出番がなかった藤王ら若手にもチャンスが芽生える。田尾の放出を知った大島が「俺の身代わりになった」と語ったが決してそうではなかった。田尾を失うのは痛手だが代わりに有望な左腕を得た。セ・リーグには掛布(阪神)や若松(ヤクルト)など左の好打者が多い。加えて杉本は巨人が本拠地とする後楽園球場のマウンドと相性が良く得意としている。中日が昨シーズン優勝を逃した要因の一つに捕手層の薄さがあった。広島との優勝争いのさなかに中尾が骨折し欠場するとたちまち転げ落ちて行った。中日にとって優勝するにはバッテリー間の強化が絶対不可欠だったのである。
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# 439 一年の計・日ハムファイターズ編

2016年08月10日 | 1985 年 



木田 勇…22勝→10勝→6勝→4勝→6勝と低迷続きなので今年はもう一度ストレートに磨きをかけて2桁勝利復活といきたいですね。今年の6月で僕も31歳、ドラフトで河野(駒大)や西村(新日鉄広畑)の若手左腕も入って来たのでノンビリしていられません。防御率でも勝率でも何でもいいのでタイトル争いに加わって今年のオフには結婚したいですね。お袋(広子さん)も早く孫の顔が見たいと言っていますし。
柏原純一…早いもので今年でプロ15年目を迎える事となりました。昨年はチームも僕自身も最低のシーズンでした。キャプテン失格の体たらくでしたが汚名返上で高田新監督の下、監督の目指す " ハッスルプレー " で昨年の屈辱を晴らす覚悟です。14年もやってきてタイトルを獲った事がないのでチームの勝利に直結する打点王を狙いたいです。とにかく明るく楽しいオフを迎えられるよう頑張ります。
白井一幸…プロ1年目の昨年はパワー不足を痛切に感じました。なので2年目の今年はパワーアップを最大の課題において100試合以上スタメンで出場する事をノルマと課します。昨秋の鴨川キャンプで千藤コーチとマンツーマンで教わった新フォームもしっくりしているし、自分で言うのも何ですが一味違った白井をお見せ出来そうな気がします。
坂巻 明…昨年は人生最高の年でした。シーズン当初は中継ぎでしたが6月6日のロッテ戦に初先発して初完封。以降は先発ローテーション入りして7勝(6敗)する事が出来て年俸も一千万円を越えました。今年はフォークボールをマスターして2桁勝利を目指します。女房(智子夫人)にも今まで苦労をかけてきたので頑張りますよ。 " ヒゲの坂巻 " を今年も宜しくお願いします。
田村藤夫…去年はプロ7年目にして最良の1年でした。77試合・191打数 52安打・打率.272 ・6本塁打。オフには披露宴を挙げて年俸も八百二十万円にアップして公私ともにハッピーでした。今年は大宮さんからレギュラーを奪って去年以上の成績を残したいです。娘(絵里ちゃん・9ヶ月)の為にもパパは出場100試合以上を目指します。


【 ニューパワーの年頭所信表明:津末英明 】
聞き手…昨シーズンを振り返ってみてどうですか?
津 末…プロ3年間で22打数4安打・2本塁打・2打点だった男が、30安打・7本塁打・19打点だった。ようやくプロ野球選手として
      スタート地点に立てた、という感じですかね

聞き手…結婚もしたしメデタシ、メデタシですか?
津 末…ウ~ン、そうでもないです
聞き手…何か不満がある?
津 末…給料が思ったほど上がらなかった(五百八十万円)のと、シーズン途中で二軍に落とされ、昨秋の鴨川キャンプから
      外されたのは納得できないですね。二軍降格の理由のアキレス腱痛も大した事なかったですから

聞き手…結婚式が延期されそうになったのもその辺が理由?
津 末…ええ。二軍落ちした8月に親父に「まだ生活能力が無い。結婚は早過ぎる」と言われましてね。何とか説得しましたけど
聞き手…年俸五百八十万円でやっていけるの?
津 末…苦しいですよ(苦笑) 新居を借りるのに諸々で50万円、結婚式・新婚旅行に500万円、家財道具に100万円・・入団時の
      契約金の一部で何とか賄いました。これで正真正銘の「ゼロからのスタート」です

聞き手…津末君と言えば必ず原選手(巨人)と比較されるけど自分ではどう思っているの?
津 末…辰徳?仕方ないと思ってますよ。プロ入りの時点で差がついちゃったけど打撃に関しては負けてないと自負しています
聞き手…今年の抱負は?
津 末…1試合でも多く出場したい。この世界で細々と長くやるつもりはない。太く短くが僕の性格に合っていますからド派手に
      活躍したいです。先ずは高田新監督の目に止まるようキャンプから飛ばしたいです

聞き手…具体的には?
津 末…指名打者にはクルーズ、一塁は柏原さんとライバルは多いですけど必ずレギュラーを奪取します
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# 438 一年の計・南海ホークス編

2016年08月03日 | 1985 年 



山内和宏…河村投手コーチからも「お前は投球の組み立てがなっとらん!」と言われています。自分でもそれが最大の課題だと思っています。今年こそこの点を改善して、(山内)孝徳さんより多くの勝ち星をあげるつもりです。そうすれば最多勝のタイトルも射程圏内に入ると思うので。
山内孝徳…金城さんのトレードはショックでしたね。ここ数年はトレード話が幾つも出たけど実現せず、僕も周りも噂話で終わると思っていたので。色々アドバイスしてもらったり頼りにしていた先輩でしたから。これからは僕が後輩にアドバイスする側にならないといけないと自覚しています。昨年はチームの勝ち頭(16勝)でしたが今年はリーグの勝ち頭になれるよう頑張ります。
門田博光…家を新築してこの先ウンと金が要る。去年の契約更改で四千八百万円と現状維持だったけど今年は良い成績を残して六千万円突破を目指しますよ。その為にものんびりとプレーなんかしてられない。大好きな麻雀も封印して野球に全精力をつぎ込みますよ。本塁打王を奪還してみせます!
吉田博之…去年くらいからファンレターの数も増えてきました。すばらく家を留守にしていると郵便受けが手紙で一杯になります。嬉しい事です。でも肝心の彼女はいません。僕も25歳と結婚適齢期だし年下のドカベンも結婚するらしいので頑張って彼女を見つけたいです。良い人を紹介してくれます?
井上祐二…去年は腎盂炎でシーズン丸々棒に振ってしまいました。本当にチームに迷惑をかけてしまい申し訳ない思っています。今年は先ず体調管理を徹底して何とか一軍、出来れば先発陣に割って入り2桁勝利したいです。暮れから正月にかけて故郷に帰らず中モズの合宿所で体力作りに専念していました。気力も充分で畠山ら若鷹軍団には負けてられません。


【 ニューパワーの年頭所信表明:加藤伸一 】
聞き手…高卒新人でいきなり5勝4Sは素晴らしい成績でした
加 藤…まだプロ1年生でおこがましいかも知れませんが勝てる自信はありました。不安はスタミナ面でしたが1年目を終えてみて夏場を
      乗り切る方法も分かったし今年は去年以上の数字を残せると思います。秋季キャンプで身体に負担をかけない投球フォームを
      マスターしたので上手くいけば10勝も可能だと思うんだけどなぁ

聞き手…ただ右肘の調子が良くないと耳にしたけど?
加 藤…連投した時に少し違和感があっただけで大した事ないです。ローテーション入り出来れば疲れも貯まらないですから
聞き手…ハンサムで名前も売れたからギャル攻勢が凄いんじゃないの?
加 藤…いやいや、水野(巨人)や藤王(中日)と比べたら僕なんかとてもとても。ファンレターは遠征に出て帰ると寮のポストに沢山
      来てますね。最近ではわざわざ北海道から大阪まで来た子がいました。ありがたい事です

聞き手…いまどきのギャルは積極的だね。ファンレターの中身も過激なの?
加 藤…その子が特別で(笑) 手紙の内容は秘密ですけど中には「加藤さんを愛しています」なんてのもあります
聞き手…ファンレターの返事は書くの?
加 藤…ハイ、必ず書いています。届いた日に書くようにしています。せっかく書いてもらったんですからたとえ夜遅くなってもその日の
      うちに書くようにしています

聞き手…オシャレにも気を使うお年頃ですね?
加 藤…それ程でもないです。どちらかというと地味な方ですね。派手な服装は苦手です
聞き手…今年の目標は?
加 藤…目標というより夢ですけど、南海の投手と言えば「加藤」と即答されるような投手になりたいです
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