Haa - tschi  本家 『週べ』 同様 毎週水曜日 更新

納戸の奥に眠っている箱を久しぶりに出してみると…
買い集めていた45年前の週刊ベースボールを読み返しています

#191 毎度お馴染み・阪神お家騒動 ①

2011年10月26日 | 1981 年 


歴史は繰り返すと言われますが、今回の阪神・真弓監督の進退もフロントの自業自得的な言動によって正式発表をする前の段階でマスコミに監督の解任情報が漏れてしまう不手際から始まりました。何年経ってもフロント陣の顔ぶれが変わっても阪神球団のカルチャーは不変なんだと妙に納得しています。



 ヤヤ・広広・巨巨巨・中中中・洋☂☂・中中中・ヤ☂ヤ・洋洋洋
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中日が快調にスタートダッシュに成功したのと対照的に阪神は4月を7勝12敗と低迷を続けていました。ルーキー中田以下5投手が中日打線にメッタ打ちにあい、3対12で惨敗した夜の大阪・梅田の地下街に貼り出された新聞には「牙なし中西監督4月限りか 藤田平代理監督へ!? 」 「中西監督休養?後任には吉田元監督浮上、4月いっぱいは静観と小津社長」 「大ナタ必至、中西体制重大局面に」などの文字が躍っていました。

前年のシーズン終了後「成績不振の責任をとる。私は将の器ではない」と中西監督は辞表を提出したが球団の慰留に対してアッサリと態度を変え、一夜にして留任したのが事の始まり。求心力はさらに弱まり選手間との信頼関係は崩壊寸前。しかもテンピキャンプを訪れていた吉田義男氏に中西監督が「後任はアンタらしいからヨロシク頼むよ」と言ったという話がサッと広まったからたまらない。仮に冗談だとしても将として口にしてはならない事だ。選手は敏感でチームに緊迫感は無くなり結束力が弱まるのは当然だ。

こういう時にチーム全体を牽引するリーダーが選手の中にいれば雰囲気も変わるものだが、悲しいかな今の阪神には見当たらない。草創期には景浦将・松木謙次郎・藤村冨美男などの猛者連中が、戦後には小山正明・村山実などがチームを牽引していた。しかし現在の投打の主力の小林・若菜・真弓らは外様で声を上げづらい雰囲気がある。生え抜きの掛布は我が道を行くタイプ、岡田はまだ2年目でリーダーにはなれない。開幕前からチーム内はギクシャクしていて中西体制は危惧されていたが、早くも開幕1ヶ月で不安が現実のものとなりつつあった。

民鉄協の役員として私鉄ストの交渉のために上京していた小津社長が帰阪の途中で急遽名古屋に立ち寄り 「現時点で中西監督を代えるつもりはない」と発言し事態の沈静化を計ったがマスコミは「現時点」に反応し中西監督辞任説を追い続けた。名古屋遠征の際はKホテルを常宿にしている小津社長だったが、当日の予約をホテルに確認すると予約は受けてないとの返事。中西監督と別の場所で密かに会っている可能性があるとしてマスコミは右往左往して大騒ぎになった。
かつて田淵を深夜2時にホテルへ呼び出し
トレード通告をした
小津社長なら交渉事の慣習などを無視して、たとえ深夜であっても中西監督へ辞任を迫っていてもおかしくない。球団の肯定も否定もしない曖昧な姿勢が自ら騒ぎを大きくさせている。

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#190 クローザー ②

2011年10月19日 | 1981 年 

ロツテ・倉持 明の娘がAKB48の一員だとか。髪の毛は大丈夫なのか?




ゴセージは晩年にダイエーで投げましたが成績はボロボロ…晩節を穢す大失態





ロッテ・梅沢はこの年の成績がキャリアハイでした【 1981年 7勝2敗8S】




優勝請負人の名に相応しく日ハムの初優勝に貢献

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#189 クローザー ①

2011年10月12日 | 1981 年 



「ユタカよ、リリーフで野球界に革命を起こしてみんか?」 江夏が野村監督に言われたのは昭和52年の開幕直後だった。
昭和48年頃に発症した血行障害は江夏の左腕を蝕み、力が入らないだけではなく肘をカギ型に曲げてしまった。阪神から
南海へ移籍して来た昭和51年は14試合に先発して僅か6勝で「江夏はもう終わり」との声がもっぱらだった。江夏自身にも
衰えの自覚はあった。あったがそれを認めようとしなかった。そんな時に野村監督の言葉、「リリーフで…」が耳に残った。
特に「革命」という一言に心を動かされた。「やってやろうじゃないか!」 リリーフエース・江夏豊が誕生した瞬間である。



この年に救援投手として頭角を現したのは巨人・角だけではありませんでした。「今ならどんな場面でも抑える自信が有ります」・・・首位を走るチームを支える若きリリーフエースは胸を張って答える。一昨年スピードガンの申し子として彗星の如く現れたのがプロ入り2年目の中日・小松辰雄投手。しかし昨年は2年目のジンクスに陥り右ヒジも痛め、1勝5敗6Sと成績も急降下し地元金沢に凱旋遠征前に二軍落ちするなど屈辱的なシーズンを送った。捲土重来の今シーズンは近藤監督の方針でキャンプで投げ込みを減らし肩やヒジに負担の掛からないフォーム作りからやり直した結果、力まかせではなくボールのキレで打者を打ち取る現在の投球スタイルを身につけた。150㌔の速球に加えてカーブのコントロールの精度が増し、さらにフォークボールを完璧にマスターした事で向かうところ敵なし状態で、連続セーブ成功記録が更新中なのも当然の結果である。今の調子を持続する事が出来れば最優秀救援投手賞や今年から新設されたファイアマン賞、さらには同僚・鈴木孝政投手が持つシーズンセーブ記録(26S)更新も夢ではない。


ところが近藤監督の思いつきで先発転向すると、1完封を含む6完投と結果を出し「最優秀救援投手賞も
セーブ記録もいらないです」と。やはり投手の本心は先発・完投にあるのだと世に知らしめました。

  



パ・リーグでは阪急・関口が新守護神に名乗りをあげた。昭和53年のドラフト1位指名、吉田商(山梨)出身の3年目・20歳のホープだ。昨年は先発で3勝をあげたが今年は急遽リリーフ役に回っている。上田監督は関口をエース山田の後継者として育てる方針だったが、山田が開幕3連敗を喫するなどのチーム事情のため仕方なく関口をリリーフで起用している。手も足も出ない快速球がある訳ではない、140㌔前後の直球にカーブ・スライダー・シンカーを織り交ぜて打ち取っていくスタイル。 今シーズンの初登板は4月8日のロッテ戦、2点リードの7回無死1・2塁。いきなり四球を与えて迎える打者は落合。ここを「三・捕・一」の併殺、続く土肥を三振に斬って取り「セーブ王」へのデビューを果たした。「あれが全てだったと思います。あの時、ひょっとして今年はやれるかもと感じました」と振り返る。「山田の時は完投が計算できる。他の先発投手の時は7回までもってくれれば後は関口までの継投を間違えなければ
良いだけ(上田監督)」と今や信頼は絶大である。「マウンドへ行くのが楽しい」と努めて明るく振舞っているが、ベンチ裏の声を聞くとかなり疲れが溜まっているそうだ。「若いし連投しても大丈夫。リリーフは勿論、先発だって(梶本投手コーチ)」と今以上に登板機会が増える可能性さえある。20歳の若武者の右腕に阪急の今年が掛かっている。


関口や角の出現に触発されて他球団でもリリーフ役を探し始めた。ロッテ・梅沢や阪神・中田がそうだ。梅沢は4年目、中田は新人だが二人は共に昭和34年生まれの22歳。防御率トップの梅沢は「投げるたびに防御率が良くなっていくのが楽しいと言っているけど、本当はね毎日が怖くて仕方ない。それを悟られたらボクみたいな若造は相手に舐められる。だから平気な顔をわざとしてるんですよ」と正直に答える。一方の中田はチーム事情でやむなくリリーフ役に回っている。中西監督の開幕前の構想では江本と池内の二人でに終盤を任せる腹づもりだったが二人揃って不調のためルーキーにお鉢が回って
来たのだ。もっともこの配置転換は一時的なもので中田はいずれ先発陣に戻される予定だそうだ。



打者を捻じ伏せる直球を持ち合わせないクローザーは長続きしません。近鉄・山口哲治投手が消えた
ように関口も、この年をピークに成績は下降線を辿り翌年から引退するまでの7年間で、3勝5敗0Sの
成績しか残せませんでした。

  

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#188 12球団のチーム状況 ④

2011年10月05日 | 1981 年 
【ロッテオリオンズ】 「軌道修正?ウチには関係ないね」と余裕なのが山内監督率いるロッテだ。主砲レオンを欠きながらもチーム打率 .319 の強力打線で投手を援護する。「去年の3千本安打の重圧から開放されてDHで伸び伸びと野球が出来るのが好調の原因さ」とベテラン張本も元気一杯だ。ミスターロッテ・有藤や去年頭角を現した3年目の落合が打線を引っぱる。これに故障中のレオンが復帰したら他球団はお手上げだろう。エース村田も開幕から連勝を続けて、打線の援護もあって若手の望月や梅沢にも勝ち星が付くなど投手陣にも死角は見当たらない。
   




【近鉄バファローズ】 去年のパ・リーグ覇者の近鉄がもがき苦しんでいる。理由は明白、マニエルの穴が埋まらず猛牛打線は未だ眠ったままだ。西本監督はマニエル放出でチームを猛打野球から緻密野球に転換しようと試みたが、今のところ上手く移行出来ていない。「もっと高度な野球を目指すには細かい攻め・守りが出来なくてはいけない。ウチの連中にだって出来る筈」「1点の重みを認識しなければならない」とクチ酸っぱく言い続けているが、なかなかチームに浸透しない。マニエルの後釜のライアンは大砲では
なくアベレージヒッターだった事も西本監督の意向によるものだが早くもダメ外人との声がもっぱら。しかも第3の外人として獲得したハンプトンは一転して大砲タイプであり、チームの編成方針に一貫性が見られない。しばらく近鉄の迷走は続きそうだ。

   




【広島東洋カープ】 近鉄同様にセ・リーグ覇者の広島も苦しんでいる。何より高橋慶と山崎の1・2番コンビの怪我が痛い。高橋の怪我は左膝の炎症で全治2週間程度で済みそうだがオープン戦で外野フェンスに激突して右膝の皿を八つに粉砕骨折してしまった山崎は今季絶望である。二人の欠場で打線を組むのも一苦労で開幕スタートに躓くとすかさず衣笠をトップに起用、若い中尾を下げベテランの三村を入れる守備重視への変更を余儀なくされた。投手陣は開幕前に懸念された江夏放出の影響は少なく逆に各投手が
完投を目指すようになり若手の山根は勿論、ベテランの福士も投球イニングが去年より伸びている。古葉監督は「王者の風格」作りを目指していると言う。堂々たる野球の原点は「完投」にあるとし新たなチーム作りに着手し始めた。

   
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