セ・リーグの熾烈なペナント争いを巡る熱気に比べてパ・リーグは何度も揺れた。ロッテと日拓の合併というリーグの命運に係る出来事に関係者は困惑顔だ。果たして本当に両チームの合併は実現するのか、それが1リーグ制移行に拍車をかける事になってしまうのか?事の起こりは昭和48年9月15日、日拓ホームの西村オーナーから太平洋クラブの中村オーナーへの1本の電話だった。内容は「ウチ(日拓)とロッテが合併する。更にもう1組合併して10球団による1リーグ制にするつもりだ」というものだった。
対して中村オーナーは「昨年に1リーグ制を目指した時、松園オーナー(ヤクルト)や中部オーナー(大洋)のようにセ・リーグ内にも賛同者はいたが強硬に反対するオーナーもいて頓挫した経緯を説明して軽率に動いても難しい」と伝えたそうだ。今シーズン、パ・リーグは後期こそ阪急の独走もあって入場者数は前期を下回ったが、年間420万人の観客動員に成功した。まだまだ集客方法に改善の余地も有り、リーグ一丸となって頑張ろうと新たな決意で来季に臨もうとしている矢先に今回の合併話。これを受けての12球団オーナー会議では「こんな重大な案件を一方的に発言するとは迷惑千万。審議する価値もない」と一蹴された。 【 昭和48年11月5日号より 】
この号の巻頭特集は「巨人逆転優勝でV9」だった。セ・リーグは史上稀に見る大混戦で9月になっても首位と最下位が3ゲーム差以内にひしめき合い、毎日のように首位が入れ替わる異常事態。最後は阪神と巨人が抜け出し阪神が129試合目に勝てば優勝という名古屋での中日戦に挑んだ。その試合の最中に甲子園での阪神戦の為に移動する巨人ナインを乗せた新幹線が中日球場の脇を通るという風景も見られた。中日先発の星野投手が「武士の情け」とばかり真ん中付近に投げ続けたがプレッシャーに押し潰された阪神打線は不発でこの試合に敗れた。阪神の敗戦で意気上がる巨人は130試合目となる甲子園で阪神を圧倒、最後の最後で優勝を手にした。
観客動員数で大きくセ・リーグに水を空けられていたパ・リーグはこの年から前・後期制を導入するなど色々と策を講じて何とか盛り上げようとリーグ全体で頑張っていたが一方で球団身売りが行われるなど揺れていた。一時代を築き栄光の過去を持つ東映フライヤーズが日拓ホームという全く無名の企業に売却されたが僅か1年で再び身売りの憂き目に会った。しかも日拓の身の引き際は実に後味の悪いものだった。前述の合併話を一方的に言い放って球界を大混乱に陥れた。
この合併話を真に受けて「日拓とロッテの合併に続いて近鉄と南海も合併へ」と大々的に報じる一般紙も現れ混乱に拍車をかけた。大山鳴動しても鼠一匹現れる事なく2ヶ月にも及ぶ混乱の末、合併は実現せず11月17日に日拓ホームを買収した日本ハムがファイターズを誕生させ騒ぎは終息した。日ハム球団は従来のパ・リーグ球団には見られなかった積極的な営業活動を展開し人気球団の西武と今やグラウンド内外で覇を争うまでになり、旧来の既存球団は顔色なしである。この期に及んで懲りずに南海球団が1リーグ制を画策しているとの一部報道があるが老舗球団としてのプライドをお持ちではないのかと問わざるを得ない。
対して中村オーナーは「昨年に1リーグ制を目指した時、松園オーナー(ヤクルト)や中部オーナー(大洋)のようにセ・リーグ内にも賛同者はいたが強硬に反対するオーナーもいて頓挫した経緯を説明して軽率に動いても難しい」と伝えたそうだ。今シーズン、パ・リーグは後期こそ阪急の独走もあって入場者数は前期を下回ったが、年間420万人の観客動員に成功した。まだまだ集客方法に改善の余地も有り、リーグ一丸となって頑張ろうと新たな決意で来季に臨もうとしている矢先に今回の合併話。これを受けての12球団オーナー会議では「こんな重大な案件を一方的に発言するとは迷惑千万。審議する価値もない」と一蹴された。 【 昭和48年11月5日号より 】
この号の巻頭特集は「巨人逆転優勝でV9」だった。セ・リーグは史上稀に見る大混戦で9月になっても首位と最下位が3ゲーム差以内にひしめき合い、毎日のように首位が入れ替わる異常事態。最後は阪神と巨人が抜け出し阪神が129試合目に勝てば優勝という名古屋での中日戦に挑んだ。その試合の最中に甲子園での阪神戦の為に移動する巨人ナインを乗せた新幹線が中日球場の脇を通るという風景も見られた。中日先発の星野投手が「武士の情け」とばかり真ん中付近に投げ続けたがプレッシャーに押し潰された阪神打線は不発でこの試合に敗れた。阪神の敗戦で意気上がる巨人は130試合目となる甲子園で阪神を圧倒、最後の最後で優勝を手にした。
観客動員数で大きくセ・リーグに水を空けられていたパ・リーグはこの年から前・後期制を導入するなど色々と策を講じて何とか盛り上げようとリーグ全体で頑張っていたが一方で球団身売りが行われるなど揺れていた。一時代を築き栄光の過去を持つ東映フライヤーズが日拓ホームという全く無名の企業に売却されたが僅か1年で再び身売りの憂き目に会った。しかも日拓の身の引き際は実に後味の悪いものだった。前述の合併話を一方的に言い放って球界を大混乱に陥れた。
この合併話を真に受けて「日拓とロッテの合併に続いて近鉄と南海も合併へ」と大々的に報じる一般紙も現れ混乱に拍車をかけた。大山鳴動しても鼠一匹現れる事なく2ヶ月にも及ぶ混乱の末、合併は実現せず11月17日に日拓ホームを買収した日本ハムがファイターズを誕生させ騒ぎは終息した。日ハム球団は従来のパ・リーグ球団には見られなかった積極的な営業活動を展開し人気球団の西武と今やグラウンド内外で覇を争うまでになり、旧来の既存球団は顔色なしである。この期に及んで懲りずに南海球団が1リーグ制を画策しているとの一部報道があるが老舗球団としてのプライドをお持ちではないのかと問わざるを得ない。