「先生はキノコ(真菌)がお好きですか?」
先日,こんなメールをいただきました。差出人のTさんは,10年位前に『身体診察シークレット』というテキストで一部翻訳を担当した時にお世話になったメディカル・サイエンス。インターナショナル社の編集部の方です。拙ブログで「夏休み自由研究」のキノコ・シリーズを見てくださって,彼女が編集された『医真菌100種:臨床で見逃していたカビたち』という写真集に興味はありませんか,とお問い合わせ下さったのです。真菌の専門家でなくても写真集としても楽しいとのことで,御厚意に甘えて献本いただきました。(ありがとうございます!Tさん)
その本が届き,ぱらぱら眺めてみて感じたのは,名前をみてもちんぶんかんぶんですが,いやぁ新しい世界というか,自分の知らないすごい世界があるという驚き,しかもとにかく美しい! すご~くマニアックな世界で,正直この本の本当の値打ちが分かる人はどれだけいるんだろう?(失礼!)なんて思ってしまいました。ただ著者の先生と編集者の方のコダワリは,相当なものとお見受けしました。
すべての真菌について学名の「語源」が記されていたり,ページの端にその菌に関する情報がピクトグラムでひと目でわかるように表示してあったり,いろいろ細かいところに仕掛けが満載です。
最初は単に「あ~綺麗な写真だな~」と思っていただけですが,12ページの写真を見た時にはびっくりしました。何だこれは?!顕微鏡写真でこの立体感は何なんだ!と思いました。
デジタル顕微鏡だと,こんな風に撮れるんだ!!!と驚きました。普通の光学顕微鏡ではピントがあう範囲が非常に狭い(写真用語では,被写界深度が浅い)のですが,この写真を見て,こんなに被写界深度が深いんだ!!こんなに立体的に写真に撮ることができるんだと感動しました。早速ネットで「デジタル顕微鏡と被写界深度」で検索してみて,なるほど今の顕微鏡は昔とは全然ちがうんだと納得した次第。
100種類の真菌の名前がカタカナでずらりと書かれているのを眺めていると,不謹慎ながら大好きなまどみちおさんの詩の一節「ムニャムニャミウム」を思い出してしまいました(笑)