面白き 事も無き世を 面白く
住みなすものは 心なりけり

「テッド2」

2015年08月28日 | 映画
冴えない中年男のジョン(マーク・ウォールバーグ)が恋人と結婚してから数年。
しかし美人妻との結婚生活は、長くは続かなかった。
一方、彼の唯一無二の大親友テッドは、バイト先のスーパーで出会ったタミ=リン(ジェシカ・バース)と結婚した。
お互い口の悪い者同士、幸せな新婚生活を送るはずだったが、バイト生活という状況は経済的に楽ではなく、ある夜ささいな行き違いから大ゲンカになってしまい、二人の間に暗雲が立ち込める。

仲直りのキッカケがつかめずにいたテッドは、離婚危機を乗り越え、夫婦の愛を再燃させるために子供を持つことを決めた。
タミ=リンは大喜び!
再び二人の愛は燃え上がったが、予期せぬ大問題が発生する。
州政府がテッドを「モノ」として認定、「人間ではなく、所有物である」と通達してきたのだ。
子供を持つことはおろか、タミ=リンとの結婚さえ無効と判断され、スーパーもテッドをクビにしてしまう。

途方に暮れるテッドだったが、大親友を「モノ」扱いされてジョンは怒り心頭!
敏腕弁護士に訴訟を依頼するが、勝ち目のない裁判となることが予想されるため自分は受けず、弁護士になって事務所に来たばかりの姪に受けさせることにする。
新米弁護士サマンサ(アマンダ・セイフライト)を紹介されたジョンとテッドは、これでは裁判に勝てないと他の弁護士を当たろうと考えるが、若くて美人の彼女が自分たちと同様“はっぱ”をやることを知って方向転換。
“はっぱ”を通じて意気投合した3人は、周到に準備を重ねて裁判所に乗り込んでいく…


中年のオッサンそのもののテディベアという衝撃的なキャラクターが大当たりした、大ヒット作の第二弾。
下品で低モラルではあるが、ヘタな人間よりもよっぽど人間らしいテッドが、テディベアであるという事実を楯に“人権”を認められず「モノ」扱いされるというシビアな展開に、単純な自分はイッキに物語に引き込まれていった。


今となっては昔のことだが、かつて奴隷制度が敷かれていたアメリカでは、黒人奴隷は“モノ”扱いされていた。
テディとは違い、れっきとした人間にも関わらず、である。
その奴隷が解放されて人権が認められ、市民権を得るまでには、内戦をはじめとする激しい闘いの歴史があるが、いまだに黒人に対する差別は続いている。
翻って、中身は中年オッサンの“人間”ではあるが、れっきとしたテディベアのぬいぐるみであるテッドは、「モノ」ではなく“人間”なのか?と改めて問われれば、人々は思わず「違う」と言ってしまうのは当然であり仕方ないこと。
胸を押せば“中年オヤジテッド”の意志に関係なく、「ライ・ラブ・ユー」などと声が出てしまうおもちゃなのだから。
しかしこのぬいぐるみの中には、確かに“人格”が存在し、人間そのものの思考・言動をするのである。

政府側は手強い辣腕弁護士を押し立ててきて、テッドたちは苦戦を強いられる。
そこに登場するモーガン・フリーマン演じる、優秀な人権派弁護士の動向は見もの。
彼の登場により、物語はハッピーエンドに向かって突き進んでいくのは痛快。


往年のコメディ映画のようなオープニングと、相変わらずのフラッシュ・ゴードンに、突然のジュラシック・パークが微笑ましい。
そしてあの美人女優・アマンダ・セイフライドに“くわえさせる”蛮行や、モーガン・フリーマン演じるジェントルマンそのものな弁護士への罵詈雑言の雨嵐など、やりたい放題が加速した、良い子には見せられない“もふもふ”コメディ♪

しかし笑いの中に、アメリカにおける人権の歴史について考えさせられる、ピリッとしたスパイスがgood!


テッド2
2015年/アメリカ  監督:セス・マクファーレン
出演:マーク・ウォールバーグ、アマンダ・セイフライド、ジョヴァンニ・リビシ、ジョン・スラッテリー、ジェシカ・バース、モーガン・フリーマン、パトリック・ウォーバートン、マイケル・ドーン、ビル・スミトロビッチ、ジョン・キャロル・リンチ、ロン・カナダ、デニス・ヘイスバート、セス・マクファーレン


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