面白き 事も無き世を 面白く
住みなすものは 心なりけり

「ヒューゴの不思議な発明」

2012年04月09日 | 映画
1930年代のパリ。
父親(ジュード・ロウ)を火事で亡くしたヒューゴ(エイサ・バターフィールド)は、モンパルナス駅の時計台で、時計のネジを巻きながら一人で隠れ住んでいた。
彼の唯一の“友達”は、父が残した壊れた機械人形。
ヒューゴは、父の後を継いで人形を修理し、再び動かしたいと願っていた。

ある日彼は玩具店で、店主のジョルジュ(ベン・キングズレー)がうたた寝をしているスキにおもちゃを盗ろうとして見つかってしまう。
ヒューゴの洋服のポケットにあった手帳を取り上げたジョルジュは、その中身を見て驚く。
そこに書かれていたのは、不思議な機械人形の修理方法についての研究結果だったのだ。
しかし、なぜジョルジュは驚いたのか。

取り上げられた手帳を取り戻すため、ヒューゴはジョルジュの養女・イザベル(クロエ・グレース・モレッツ)に協力を求めるのだが、彼女は何故か機械人形を動かすのに必要な「ハート型の鍵」を持っていた。
機械人形の秘密を探る子供たちの冒険が始まった。
それは、一人の老人の頑なに閉じた心の扉を再び開け放し、人々に夢と希望を与えるためのアドベンチャーだった…


巨匠マーチン・スコセッシが、1930年代のパリを舞台に、初の3D作品に挑戦した意欲作。
近年スコセッシは、古典映画の復元やリバイバル上映などに尽力しているが、そんな映画に対する彼の深い愛情が巧みにストーリーに織り込まれている。
劇中には『月世界旅行』や『ラ・ジオタ駅への列車到着』などの古典映画作品が登場し、彼の大先輩である映画創世記の映画監督への畏敬の念が描かれる。


子供たちの冒険を通じて、機械人形が修理され、その秘密が明らかになるにつれて、過去の夢を捨てて心を閉ざしたジョルジュを突き動かし、世の中に明るい光をもたらしていくファンタジー大作。

古典映画に再び脚光を当て、その保存の大切さを説くと共に、世界で最初の“職業映画監督”であるメリエスに贈る、スコセッシの最大級の讃辞。
物語の鍵を握る機械人形が、最初は東洋初のロボットと言われる「学天則」に見えたが、最後には「メトロポリス」のマリアのように思えてきた。


ヒューゴの不思議な発明
2011年/アメリカ  監督:マーティン・スコセッシ
出演:エイサ・バターフィールド、クロエ・グレース・モレッツ、サシャ・バロン・コーエン


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