面白き 事も無き世を 面白く
住みなすものは 心なりけり

「トロール・ハンター」

2012年04月20日 | 映画
ノルウェーのヴォルダ大学の学生3人組が、とある地方で問題になっている熊の密猟についての取材中に、密猟者の疑いを持たれている不審な男・ハンスと出会う。
周囲の話によると、男は昼間は行動せずにキャンピングカーで過ごし、夜になるとどこへともなく出かけて行っては明け方まで帰ってこないという。
学生たちは直撃インタビューを試みるも頑なに拒否されたため、夜を待って尾行することにした。

その夜、動き出したハンスを追って森の奥深くへと侵入した学生たちは、不気味な音と謎の閃光を目撃する。
何が起きているのか分からないまま、木々の間にぽっかりと広がった広場にいた彼らの元に突如ハンスが現れて叫んだ。
「トロール!」
なんとハンスが夜な夜な追っていたのは、古来よりノルウェーの森に住むと言われている妖精・トロールだったのだ!
そして彼を追って、身の丈3mはあろうかという頭が3つもある巨大なトロールが、暗闇から姿を現す。
ハンスはトロールをおびき寄せると、彼の車に据え付けられた大きなライトを点灯し、強烈な光を浴びせかけた。
一瞬にして石となって固まったトロール。

おとぎ話でしかないと思っていた伝説の生物を目の当たりにして、興奮する学生たち。
実はハンスは熊の密猟者などではなく、ノルウェー王国の政府機関であるトロール保安機関(TSS)に雇われたトロール・ハンターだったのである。
彼の任務は、テリトリーから抜けだして民家に近づくトロールを抹殺し、トロールの存在を世間から隠し続ける事だった。
しかしトロール・ハンターの仕事は、命を落とす可能性と常に隣り合わせの危険を伴うにも関わらず、深夜手当はもちろん特殊な勤務についての手当もなく、世間に隠れて任務を遂行する孤独な業務。
現状に嫌気がさしていたハンスは、学生たちのドキュメンタリー製作に協力し、ついにトロールの実態がカメラに収められることになった…


熊の密猟事件を取材に来た大学生たちが、偶然トロール・ハンターに遭遇し、トロールの撮影に成功したドキュメンタリー。
トロールはムーミンのモデルであり、ジブリアニメの超人気キャラクターであるトトロのモデルでもあると聞いていたので、何となく愛らしい妖精というイメージがあった。
しかし本作に登場する醜悪な姿に、そのイメージは完全に覆されてしまった。
北欧のおとぎ話に登場し、民芸品のキャラクターとしても人々に親しまれているトロールが、凶暴で知能も低い巨大なモンスターだとは知らなかった。

迫力あるトロールの姿を捉えた驚愕の映像だけでなく、その存在を隠そうとする政府関係者の不審な行動に何やら陰謀めいたニオイが漂い、興味を惹かれる。
大学生たちの取材チームの姿は、かつて日本で一世を風靡した故・川口浩氏の冒険を彷彿とさせる。
そう書くとまるで本作はフェイクのように思われるかもしれないが、真実は、ご自身の目で確かめていただくのがよろしいかと……


トロール・ハンター
2010年/ノルウェー  監督:アンドレ・オブレダル
出演:オットー・イェスペルセン、グレン・エルランド・トスタード、ヨハンナ・モールク


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