面白き 事も無き世を 面白く
住みなすものは 心なりけり

「ゲキ×シネ『薔薇とサムライ Goemon Rock Over Drive』」

2011年06月25日 | 映画
17世紀、海賊が暴れまわるヨーロッパのイベリア半島。
女海賊アンヌ・ザ・トルネード(天海祐希)は、義賊として民衆から高い人気を得ていた。
天下の大泥棒・石川五右衛門(古田新太)は、アンヌの用心棒として、共に地中海を暴れ回っていた。

ある日、小国・コルドニア王国の兵士に突然城中へと連行される。
そこで自分が王家の継承者であることを知らされると同時に、国王亡き後の腐敗政治を聞かされたアンヌは、生粋の“男気”で王位継承を引き受ける。
女王となったアンヌに課せられた最初の仕事は、海賊の討伐だった。
それは、不本意ながらも、かつてのアンヌの仲間達を守っている五右衛門と対立することを意味していた。
抜群のリーダーシップと獅子奮迅の大活躍で討伐に成功したアンヌは、国際的に高い評価を得て一目置かれる存在となったが、複雑な思いでいた。

一連の出来事を不審に思い、城中へと忍び込んだ五右衛門は、アンヌの王位継承に隠された真実を知る…


劇団☆新感線の公演を、最新のデジタル技術で映像化する「ゲキ×シネ」プロジェクト最新作。
天下の大泥棒・石川五右衛門がヨーロッパの小国を舞台に大活躍する姿を、歌とダンスと笑いとアクションを盛り込んで極上のエンターテインメント活劇として描く。

「蛮幽鬼」で初めて「ゲキ×シネ」に触れたとき、芝居を映画化することに否定的だった自分の狭量を猛省したもの。
重要な場面で役者の細やかな表情をしっかり見ることができるのは、「ゲキ×シネ」最大の魅力。
S席でも味わうことのできない贅沢を堪能できるのは実に楽しい!

しかし同時に、やはり劇場で芝居を直接観たくてたまらなくなったのも事実。
今回の「薔薇とサムライ」も全く同じだ。
いくら役者の表情が手に取るように分かるとはいえ、あの劇場での臨場感はまた格別。
おそらくそれは、京都南座の2階席の一番上から海老蔵の「暫」を観たときの感動と同じだろう。
中でも今回、女海賊から女王まで様々に変化する天海祐希の持つ“華”から放たれる光は、劇場でこそより輝いて見えるものではないだろうか。
スクリーンで見るだけでも、海賊討伐のシーンにおける軍服は、「カッコイイ」と言う意味の言葉をどれだけ並べても陳腐化してしまうほどハマっていた。
また女海賊の衣装も、クイーン・エメラルダスを超えるカッコ良さ!
元宝塚のトップ・スターの放つオーラを、直接感じてみたいものだ。

とはいうものの、劇団☆新感線の公演チケットは極めて入手困難になっているだけでなく、B席でも7,500円と決して安くない。
それが映画館において、S席でも見られない細かい部分を存分に楽しめる「ゲキ×シネ」は、やはり相当お得だ。


それにしても、数ある関西小劇団が消えていった中を生き残り、どんどん巨大化していった新感線の力を、またしてもまざまざと見せつけられた。
ド派手な構成で大人気の芝居を手軽に楽しめる娯楽作♪


ゲキ×シネ『薔薇とサムライ Goemon Rock Over Drive』
2011年/日本  監督:井上和行
出演:古田新太、天海祐希、浦井健治、山本太郎、神田沙也加


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