面白き 事も無き世を 面白く
住みなすものは 心なりけり

「フラガール」

2010年02月07日 | 映画
石炭から石油へとエネルギー需要の中心が移行していく中、福島県いわき市の炭鉱会社は、地元の温泉を活かしたレジャー施設「常磐ハワイアンセンター」の計画を進めていた。
その目玉にフラダンスショーを据え、本場のハワイでフラダンスを学び、松竹歌劇団で踊っていたという平山まどか(松雪泰子)を東京から招き、地元の娘たちを集めてフラダンスの特訓を始める。
しかし、数世代にわたって“ヤマ”で生きてきた住民達は、炭鉱を閉山して“ハワイ”を作る計画に大反対、まどかや娘たちへの風当たりも強く…

親の代から、落盤事故の危険と隣り合わせの過酷な環境の、暗い炭鉱の穴の中で、コツコツ一生懸命に石炭を掘ることが自分たちの仕事だと信じて生きてきた“ヤマ”の人々にとって、レジャー施設に活路を見出すという発想など、出て来ようはずがない。
ましてや、自分の娘や、あるいは自分自身が、フラダンスを人に見せることを仕事にするなど、夢にも思わなかったことだろう。
しかし、斜陽産業となっていた石炭採掘に頼る町は明らかに活気を失い、落ちぶれていく様子を目の当たりにしている“ヤマ”の娘たちは、自分たちの力で、町にもう一度活力を呼び戻そうと立ち上がる。
“ヤマ”に頼りきって生きてきた旧世代の人々は、“ヤマ”以外から生活の糧を得ることに対して思考停止に陥っているが、自分たちの時代を築いていかなければならない新世代は、「常磐ハワイアンセンター」を受け入れる柔軟性を持っていたと言える。

“ヤマ”を中心とした生活しか経験の無い娘たちにとって、フラダンスは正に未知の世界だったに違いない。
しかし、そんな彼女達の心を動かした平山まどかのダンスは、きっと素晴らしかったことだろう。
そんな平山まどかのダンスを再現してみせたかのような、情感溢れる松雪泰子のダンスは見事。
また、猛特訓に励んだ「ヤマの娘」たちのフラダンスシーンは圧巻。
中でも、クライマックスとなる蒼井優のダンスは素晴らしい!

言わずと知れた(?)2006年の大ヒット作品。
こりゃ、ヒットするわ。
当時、劇場で観損ねてしまってそのままだったのだが、週末にテレビで放映されていてようやく観ることができた。
常磐ハワイアンセンター(現:スパリゾートハワイアンズ)の誕生秘話を映画化したものだが、「プロジェクトX」に“豪華俳優陣”を配し、楽しいドラマ仕立てにしたような、観ていて元気になる秀作。


「フラガール」
2006年/日本  監督:李相日
出演:松雪泰子、豊川悦司、蒼井優、山崎静代、岸部一徳、富司純子


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