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「グエムル -漢江の怪物-」

2006年09月05日 | 映画
いわゆる“怪獣映画”とは一線を画する新感覚パニック映画。
…いや違うなぁ。
うん!これは“反米映画”と言った方がすっきりくるぞ!?

ソウル市内を流れる漢江に、突如謎の巨大生物が出現した。
漢江の河川敷で売店を営むパク一家の孫娘ヒョンソが、この漢江の怪物にさらわれてしまう。
ヒョンソが生きていることを知った父親のカンドゥらパク一家は、家族全員で怪物に立ち向かい、闇ルートで仕入れた銃やアーチェリー、火炎瓶で戦いを挑んだ…。

2000年、駐韓米軍が漢江にホルムアルデヒドを下水溝に流すという事件が起きたのだが、本作ではこれをモチーフとして、米軍基地で古くなった大量の化学薬品を漢江へ注ぐ下水溝に捨てる場面から物語が始まる。
そしてこの化学薬品の投棄が影響を与えたことを暗示しながら怪物登場となる。
この辺の話の展開では、度重なる核実験が生んだ怪物であるゴジラとダブった。
ゴジラが、こぞって核実験を繰り返す欧米列強に対するアンチテーゼだったのと同様、漢江の怪物もまた、韓国内で傍若無人に振舞う(あくまで個人的推測であるが)米軍に対するアンチテーゼなのだろうかと考えさせられた。

また、この漢江の怪物は、米軍により「恐ろしいウィルスを持った生き物」とされ、怪物が川岸を走り回ったときにいた人々が病院へ隔離される一方、WHOまで巻き込んで最新化学兵器を投入してウィルスを死滅させようとする。
ところが、怪物がウィルスを持っているという情報は、実は米軍によるでっち上げであることが判明、後日米軍は誤った情報であったと認める会見を開く。
これも、アメリカを中心とする国連軍が、大量破壊兵器を持っているためこれを除去するという大義名分のもとに某国へと侵攻し、占領した後に国家の首脳を捕縛したものの、結局は大量破壊兵器が出てこなかった“有名な戦争”を連想させる。

韓国の人々にとっての駐韓米軍とは、米軍キャンプに対する沖縄県民と“同じ感情”を抱く対象なのだろうかと考えさせられた。
また、単純なハッピーエンドで終わらないラストシーンも、非常にスパイシーだ。
ジョン・カーペンター監督のホラーモノのような気持ちの悪さではないが、一度味わってみてもらいたい。

単純な怪獣映画に飽き足りない皆さんは必見。


グエムル -漢江の怪物-
2006年/韓国  監督:ポン・ジュノ
出演:ソン・ガンホ、パク・ヘイル、ペ・ドゥナ、ピョン・ヒボン、コ・アソン


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