面白き 事も無き世を 面白く
住みなすものは 心なりけり

「キンキーブーツ」

2006年09月06日 | 映画
イギリスの片田舎にある4代続いた老舗の靴工場。
父親の急死によって社長を引き継いだチャーリー(ジョエル・エドガートン)は、ジリ貧の会社を立て直すべく、起死回生の手を打つことにした。
それは、“ドラッグ・クイーン”達御用達となるキンキーブーツを作り、ニッチで新たな市場に打って出ることだった。
そして一ヵ月後のミラノ国際見本市のステージでのパフォーマンスを目標に、田舎町の老舗工場の挑戦が始まるのだが…。

トラディッショナルなシルエットが美しいウィング・チップが工場のラインを流れていくシーンが印象的(ちょうど欲しいと思っているからだけかもしれないが)。
そしてチャーリーの挑戦が始まるその時、ウィング・チップの列は途切れ、真っ赤なキンキーブーツへと切り替わる。
トラディショナルからキンキーへとコペルニクス的転換に、この老舗シュー・メーカーはついていけるのか!?

ドラッグ・クイーンとはゲイダンサーのことかと解釈していたが、超ド派手な化粧で歌やダンスのパフォーマンスを魅せる女装者のことを指す。
ふとしたきっかけでロンドンで知り合ったチャーリーに協力し、キンキーブーツのデザイナーとして工場にやってくる、ドラッグ・クイーンのローラ。
「インサイド・マン」で見せたデンゼル・ワシントンの相棒としての硬派な演技が光ったキウェテル・イジョフォーが、まるで180度ベクトルの違うキャラクターのローラを怪演。

ローラのダンスシーンでMCが叫ぶ「レディス&ジェントルマン&どちらでもない方々」のノリが愉快♪
「安全なSEXなんてSEXじゃない!」おお!そうかもね!?
「赤い危険なSEXを作るのよ!」と、工場中に響き渡るタンカをきるローラと、あっけにとられる弱っちい表情のチャーリー。
またこのチャーリー役のジョエル・エドガートンが、ボンボン育ちの社長の息子にハマリ役の顔と表情。

英国靴屋版「プロジェクトX」。
某国営放送のような硬さは無いが、キンキーなシーンばかりでもない、個の自立と、挑戦することの楽しさと、靴を愛してやまない職人気質も散りばめて、プラス・マイナスの恋愛模様も織り込んだ、ハートフルな元気の出る映画。

「偏見を捨て」、一人でも多くの人に見てもらいたい佳作。


キンキーブーツ
2005年/アメリカ  監督:ジュリアン・ジャロルド
出演:ジョエル・エドガートン 、キウェテル・イジョフォー 、サラ=ジェーン・ポッツ 、ジェミマ・ルーパー 、リンダ・バセット


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