面白き 事も無き世を 面白く
住みなすものは 心なりけり

「シャーロック・ホームズ」

2010年05月07日 | 映画
19世紀末のロンドン。
不気味な儀式を思わせる手口で、若い女性が次々と殺害される怪事件が勃発。
名探偵シャーロック・ホームズ(ロバート・ダウニー・Jr)は犯人を突き止め、邪悪な黒魔術を操るブラックウッド卿(マーク・ストロング)を捕まえる。
だが彼は、「処刑されても自分は復活する」と宣言。
絞首刑に処されたはずの彼は、予言した通り墓場から甦る。
そして議会を乗っ取り、イギリスを我が物とするために画策を始めるが、ホームズは相棒のワトソン(ジュード・ロウ)と共に、陰謀を阻止するべく立ち向かう!

子供の頃、親に勧められるまま、子供向けに翻訳されたシャーロック・ホームズを読んだ。
自分の中のホームズ像は、その時に作られたものだ。
あまり血色のよろしくない青白い細面の顏に、スラッとしたいうよりはヒョロッとした細身の体格で力強さはあまり感じられず、冷静沈着に、まるでミスター・スポックのように理路整然と淡々と、論理的な話をやや皮肉をこめて語る。
チェック柄の帽子に肩からマントを羽織り、パイプ煙草を離すことはない…
勝手に思い描いていたそんな人物像を、本作はものの見事に吹き飛ばしてくれた。
スクリーン狭しと躍動するホームズは、自分の中では全くの別人のよう。
しかしそれは決して悪いことではなく、良い意味で新しいホームズ像が構築されることになった。
自分は知らなかった、ホームズの“熟練した武術家”という一面をクローズアップしながら、頭脳派の彼ならではの、緻密に計算されたファイトシーンが面白い♪
相手の倒し方まで論理的なのだから恐れ入る!

もうひとつ、シャーロック・ホームズというキャラクターの人物設定としてイメージにあるのは、女性には惑わされないというもの。
しかし本作のホームズは、「ルパン三世」の峰不二子ばりの小悪魔キャラであるアイリーン・アドラー(レイチェル・マクアダムス)に心を乱される。
これもまた既成概念を打ち砕き、ホームズの新たな一面を見せてくれて愉快♪

ホームズが対峙するブラックウッド卿が仕掛けたトリックや、最期となるシーンは、何やら横溝正史を思い起こさせるようなオドロオドロしさが漂うのもまた一興。
ライバルのモリアーティ教授の登場の仕方も、今までのシャーロック・ホームズの物語が持つ雰囲気とは趣を異にして不気味。
これらの描写もまた、従来の「シャーロック・ホームズシリーズ」が持つイメージを塗り替える効果をもたらしている。

探偵小説の古典とも言えるシャーロック・ホームズに新たな命を吹き込んだ、痛快娯楽活劇。
新たなキャラクターを獲得したロバート・ダウニー・Jr。
アイアンマンに次ぐシリーズモノとして、“定期収入”を得ることができるのだろうか!?
(大きなお世話ではあるが)


シャーロック・ホームズ
2009年/イギリス  監督:ガイ・リッチー
出演:ロバート・ダウニー・Jr、ジュード・ロウ、レイチェル・マクアダムス、マーク・ストロング、ケリー・ライリー


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