面白き 事も無き世を 面白く
住みなすものは 心なりけり

「闇の子供たち」

2008年10月21日 | 映画
日本新聞社バンコク支局で、幼児人身売買を取材する記者・南部(江口洋介)は、日本人の子供がタイで心臓の移植手術を受けるという情報を得る。
知人に金を握らせ、臓器密売の元仲介者に接触した南部は、提供者の幼児は、生きたまま臓器をえぐり取られるという衝撃の事実を知る。
取材を続ける南部は、ボランティアの少女、恵子(宮崎あおい)と知り合う。
純粋すぎてすぐ感情的になる恵子に苛立つ南部だが、善悪に対する感覚が麻痺している自分を恥じてもいた…

幼児の人身売買、売春というショッキングな真実を描いたノンフィクション映画。
闇社会の現実を世に暴くことで子供たちを救おうとするジャーナリストと、目の前にいる一人の子供を守ろうと命を張るボランティアの少女の二つの視点から、いたたまれない真実を描き出す。

物語の大筋はフィクションなのだが、児童売春の事実を織り込んだストーリー展開は、さもありなんと思わせる迫力を持つ。
それが、バンコクにおける映画祭での公開中止という事件へとつながったのではないだろうか。
子供たちが性的に虐待される場面では、その行為そのものを撮るのではなく、行為に及んでいることが想像できる範囲にとどめたカメラワークで配慮しつつも、彼らを“買う”大人達の醜悪な肉体を画面にさらすことで、反吐が出そうなほどの残虐性が冷徹に提示される。

物語の舞台はタイであるが、供たちを“買う”客の多くが、タイを旅行する外国人であるという事実。
そして衝撃のラストシーンが、日本人にとって決して他国の話ではないというやりきれない事実を物語る。

突きつけられる事実と、虚実取り交ぜた物語の重さに圧倒される“問題作”。
様々に思いを巡らせ、後からこみ上げるものがある佳作。


「闇の子供たち」
2008年/日本  監督・脚本:阪本順治
出演:江口洋介、宮崎あおい、妻夫木聡、佐藤浩市、鈴木砂羽

試合終了。

2008年10月21日 | 野球
中日が阪神破り第2Sへ プロ野球セのCS(共同通信) - goo ニュース

波瀾万丈の今季も、ついに終わりを告げた…

残業を終えて、遅い夕食をとりに入った飯屋でラジオの中継が流れていた。
しかし店に入る前に、すでにウッズに一発見舞われたのはわかっていたので、今シーズンの最後を“聞き届ける”ために、NHKの放送に聞き入っていた。

昨日の勝利は、やはりチームを勢いづけるまでには至らず、今日も打撃陣は“ジリ貧打”で好投の岩田を見殺した。
8回にはその岩田に代打を出さざるを得ず、今年の前半戦を驚異的な代打成功率で支えた桧山を送るもあえなく三振。
前半戦における「代打の神様」の面影はどこへやら、特に終盤は好球を見逃し、打ちにくい球に手を出す始末で、かつて新庄と三振王を競ったとき並みのヒドさだったが、これも今季のタイガースの象徴のひとつといえる。

無得点で迎えた9回表は守護神・藤川を送り込むものの、ナイター中継のアナウンサーから「かつての球威が見られない」と心配される投球で、ウッズにあえなくツーランを食らって万事休す。
去年?おととし?得点圏に走者を置いたピンチの場面でウッズに力勝負を挑み、見事にセンター前に弾き返されて敗れ去ったシーンを思い出した。

最終回に2点のビハインドというのは、今季終盤以降のタイガースには致命傷だ。
球児と並んで世界に誇る救援投手である岩瀬が出てきて、クリーンアップが三者凡退に討ち取られてゲームセット。
最後は、今季のタイガースを(特に後半戦のチームを)象徴するかのようなゲームで幕を下ろした。
今季の快進撃を支えてきたメンバーがそろっての完敗で、ある意味サバサバした試合だった。

勝ち上がった中日には、何が何でも読売を倒し、日本シリーズにコマを進めてもらいたい。
今年のウサギ軍は龍を苦手にしている。
だいたい原監督が落合監督のことを苦手にしているのだ。
力勝負になっても、ウッズ、中村、和田のいるドラゴンズ打線なら対抗できる。
昨年も打ち破った相手。
飲んでかかって木端微塵に粉砕してほしい。

改めて今年のタイガースを振り返れば、誰もが優勝を疑わなかった末の惨敗。
以前の日記で岡田監督の野球を「覇道野球」と評したことがあるが、今季の敗因は、タイガースには、まだ覇道を行くまでのチーム力は備わっていなかった、ということに尽きる。
そして選手たちは、悔しさを胸にクライマックス・シリーズを迎えたはずだが、本当の本当に、心の底でただひたすら「勝つ」ということだけを追い求めて試合に臨んでいただろうか?
それはもちろん、選手たちだけでなく、首脳陣にも言えることだ。

いよいよ本格的に、新しいタイガースが誕生するための助走に入ることになった。
岡田監督には部外の“風”に当たって様々な知識と経験を積んでもらい、将来再び戻ってきてもらいたい。
もちろん、来季の新監督が名将であれば結構。
フロントもしっかりとチーム力を洗いなおし、明らかとなっている課題を克服して、本当に強いタイガースを作ってもらいたい。

とりあえず、今年のプロ野球は終了。
皆さん、お疲れ様でした。
(これはチームに対するねぎらいではなく、我々ファンに対する挨拶である)