面白き 事も無き世を 面白く
住みなすものは 心なりけり

「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」

2007年05月17日 | 映画
実家を出て独り暮らしを始めた学生時代。
思いっきり開放感に浸りきり♪
連日遊び呆け(一応、時には授業にも出た)、実家に連絡するどころか下宿にもほとんど帰らない。

するとたまに、オカンから手紙が来る。
「便りの無いのは元気な証拠やと思て」
てな、諦めともつかない一節が入っていて、思わず「痛~!」と思ったりする。
そして家に電話してみたりするのである。

学生時代に親元を離れて独り暮らしをした御仁には、似たような経験があるはず。
そして野郎には、母親に対して何らかの負い目・引け目を感じたことがあり、その後も多かれ少なかれ母親に対して「あー、親不孝してるよなぁ、俺」と思っている…

これは自分ら世代までに特有のノスタルジーだろうか。
それならそれで構わないが、そんなノスタルジーを喚起し、心の琴線に触れる秀作。
特に原作者のリリー・フランキーとは3つくらいしか年齢の違わない自分にとって、そこかしこに涙腺を刺激する場面がちりばめられていた。

昭和30年~40年代生まれの諸兄なら、必ずどこかの場面で涙ぐんでしまうはず。
マザコンだとか何だとか言うのは、ただのゲスな発言でしかない。
息子と母親の関係性を見事に描いた逸品である。

東京タワー オカンとボクと、時々、オトン
2007年/日本  監督:松岡錠司
出演:オダギリジョー、樹木希林、内田也哉子、松たか子、小林薫

「俺は、君のためにこそ死ににいく」

2007年05月17日 | 映画
石原慎太郎製作総指揮の映画とくれば、どんだけ極右な話になっているのだろうと、てぐすねひいて(?)観に行ったが、意外と淡々としていた。
ラスト近くの靖国?のシーンでは、あーあ…とは思ったが、そう辟易とするほどでもなかった。

「男たちの大和」のような、“これでもか!”的ないやらしさがあまり無いところに好感は持てる。
特攻隊の基地として有名な知覧で、軍指定の食堂を切り盛りし、「特攻の母」と呼ばれた鳥濱トメさんの記憶を記録として残すための映画として、その意義を評価したい。

それにしても鳥濱トメさんの心の慟哭はいかばかりであったか…
その悲しみの深さと、おそらくは諦観も含みつつ特攻隊員を温かく包み込んだ正に菩薩的母性愛に思いを馳せるといたたまれない。

にも関わらず、特攻命令を受けて知覧を飛び立ち、朝焼けに映える開聞岳をバックに飛行隊が行く場面に「カッコいい…」とジーンとしてしまう自分に対して、複雑な思いを禁じ得ない。。

せっかくなので、特攻隊について詳しいサイトを見つけたのでご紹介しておく。
神風特別攻撃隊
しかし、記事を読んでいると気分が重くなるのでご注意を。
自己責任においてご覧いただきたい。

俺は、君のためにこそ死ににいく
2006年/日本  監督:新城卓
製作総指揮・脚本:石原慎太郎
出演:徳重聡、窪塚洋介、筒井道隆、岸恵子、宮崎美子