青山潤三の世界・あや子版

あや子が紹介する、青山潤三氏の世界です。ジオログ「青山潤三ネイチャークラブ」もよろしく

ElvisとBeatlesのはざまで~Johnny Tillotsonの時代(26)

2011-10-19 12:59:50 | アメリカン・ポップスearly60’s



You-tubeを“はしご”していると、時々“不思議な”というか、“とんでもない”というか、、、意外としか言いようのない曲に出くわします。いつの間にやら消えてしまったりするので、早めに報告しておかねばなりません。

Johnny Tillotsonの、未リリースの曲がアップされていました。

「Tell Laura I Love Her」
言うまでもなく、Ray Peterson 1960年の大ヒット曲(Billboard Hot100第7位、、、もう一つの彼の大ヒット曲は、フィル・スペクター作品「Corrina, Corrina」同年Billboard Hot100第9位)で、Mark Dinningの「Teen Angel」(同年Billboard Hot100第1位)と並ぶ、Tragedy-song(交通事故で恋人を亡くした歌)の定番です 。

ジョニーがこの曲をカバーしても不思議ではないのですが、彼のディスコグラフィーには、全く示されていません。

聞いてみることにしました。声は、、、ジョニーの声、と言われれば、そう聞こえなくもない、でも違うような気もします。一年365日四六時中ジョニーの曲を聴いている僕ですから、彼の声かどうかを判別出来ないわけがありません。ところが、いざ“不明曲”を目の前に示されると、断言する自信が無くなってしまうのですね。

以前(2年ほど前)you-tube上に、Johnny Tillotson「Only Love Can Brake A Heart」がアップされていました。むろんGene Pitney最大のヒット曲(1962年Billboard Hot100第2位、AC第1位)。こちらもジョニーがカヴァーしていても不思議はないのですが、やはり彼のディスコグラフィーには見当たりません。

コメントの欄を見ると、「これはJohnny Tillotsonではなくて、Bobby Vintonではないのか?」「いや、Bobbyのサウンドではない、Johnnyの唄だろう」と、結構盛り上がっていたのです(むろん英語で)。

Johnny Tillotson とBobby Vintonの声の区別がつかないわけがありません。世間では“似ている”と言われることもあるようですが、それはBobbyに失礼千万!月とスッポンです(もちろんJohnnyが後者)。

僕は両者の声の区別など、100発100中で当てる自信があります。ところが、、、、自信が無くなってしまった。ほぼ間違いなくBobbyだとは思うのですが、Johnnyだと言われれば、そうも聞こえなくもない。いずれにしろ、70年代~80年代の録音でしょうから、両者とも60年代の声の特徴はだいぶ失せてしまっているのです。

Bobbyは間違いなくこの歌を歌っています。それどころか、シングル盤でもリリースしていて、しかも彼のほとんど最後のポップチャートヒット(正確には最後から2番目、1977年Billboard Hot100第99位)ともいえる重要な位置づけの曲。しかしまあ、“99位”というランクポジションですから、一般に流布しているとは言い難いでしょう(ちなみに、Johnnyの最後から2番目のC&Wチャートヒットも、同じ1977年Top Country Singles第99位の「Toy Hearts」で、いまだ聞くことが叶いません)。

Johnnyのほうは、前記のごとく公式には録音していないことになっています。でも、70年代中期には、60年代初期のポップヒットを積極的にカヴァーしていたことですし、どこかで披露されていても不思議ではありません。ネットをサーフして調べていくと、確かに何かのT.V.番組かライブだかで、演奏したことにはなっています。

といっても、ジョニー盤を聞くことはまず不可能でしょうから、とりあえずボビー盤をチェックしてみましょう。99位とはいえ、立派なHot100チャート曲です、根気よく探せば見つかるでしょう。

と思っていた矢先、肝心の「Johnny Tillotson/Only Love Can Brake A Heart」が、ネット上から消えてしまっているではないですか? おそらくはアップした当人が、間違いであることを悟って、削除したのでしょう。それとも、やはり“本物”で、また別の問題が生じて削除した、と類推することが出来るかもしれません。そのしばらく後にyou-tubeでアップされていた、1983年のシングル「Crying」のB面曲「You're A Beautiful Place To Be」も、突然削除されてしまったことですし。

「Johnny Tillotson/Only Love Can Brake A Heart」の真偽は、永遠に“謎”のままになってしまったのです。

ちなみに同じ頃、Tommy Roe「Let’s Dance」というのがYou-tubeにアップされていて、これは100%間違いなく、Chris Montez「Let’s Dance」の間違い。Tommy RoeとChris Montezは同時期に初ヒット(Tommyは「Sheila」、Chrisは「Let’s Dance」、同じ日にHot100に登場、前者はNo.1に、後者も第4位に上り詰めたあと、同じ日にHot100から姿を消しています、イギリスでは、「Sheila」3位、「Let’s Dance」2位、2人揃って英ツアーを行い、その時の前座が、まだアメリカでは芽の出ていなかったビートルズ)、取り違えるのもむべなるかな、という気がします。こちらは、その後も削除されることなく、長い間(もしかしたら今も?)そのままYou-tubeに貼り付けられていました。ともに有名大ヒット曲ゆえ、“99位”の曲のように、紛らわしい問題とはならなかったのです。

ということで、今回の「Johnny Tillotson/Tell Laura I Love Her」も、充分に疑う必要があります。

しかし、はっきりと、“Johnny Tillotson” の「Tell Laura I Love Her」と示されていることですし、しかも、You-tubeのみならず、複数のサイトに登場します(Mp3での販売までが成されている)。簡単に否定するわけにもいかない。

で、You-tubeに登場する「Tell Laura I Love Her」を検索していたら、「Ricky Nelson /Tell Laura I Love Her」というのが出てきました。Rickyがこの曲をカヴァーしているとは知らなかった。もちろんカヴァーしていたとしても不思議はないのですが。「Ricky Nelson Sings Rare Tracks」というアルバムに収録されているそうで、ご丁寧にもアルバムの写真も示されています(実際は、このアルバムには収録されていない?)。

聞いてみると、どうもRickyの声とは違う? Rickyも後年はだいぶ声の質が変化したので、Rickyだと言われれば、そうかも、という気もしないではないのですが、やっぱり絶対に違う。でも、ジョニーの場合同様(それ以上に)、“Ricky Nelson” の「Tell Laura I Love Her」として、多くのサイトで紹介されています(やはり堂々とRicky Nelsonの曲として販売され、購入した人も疑っていないみたい、そしてなんと、Wikipediaにも「Ricky Nelsonがカヴァーした」と記されています)。

答えは次の通り。

「Johnny Tillotson/Tell Laura I Love Her」は、
「Johnny T. Angel /Tell Laura I Love Her」 の間違い。

「Ricky Nelson /Tell Laura I Love Her」は、
「Ricky Valance /Tell Laura I Love Her」の間違い。


「Tell Laura I Love Her」 Johnny Tillotson MUdotcom www.youtube.com/watch
「Tell Laura I Love Her」 Ricky Nelson kingrhyslewis www.youtube.com/watch

「Tell Laura I Love Her」 Johnny T. Angel 57memorylaned www.youtube.com/watch
正「Tell Laura I Love Her」 Ricky Valance snapshotofharlech www.youtube.com/watch

まず、後者から説明していきましょう。
RickyやJohnnyと同世代のポップ・シンガーとしては、なんと言っても「Ritchie Valens(リッチー・ヴァレンス)1941年生まれ、1959年、Buddy Hollyらとともに、飛行機事故で死去)」です。「Ricky Valance(リッキー・ヴァランス)」とは微妙に違う。でも、「Ricky Valance(リッキー・ヴァランス)」のほうも、同世代のポップ・シンガーです。ただしアメリカではなくイギリス。1960年に「Tell Laura I Love Her」を英チャートのNo.1に送り込んでいる、(イギリスでは)超有名シンガーの一人なのです。

アメリカでの「Tell Laura I Love Her」ヒットホルダーRay Petersonとは、同じ1939年4月生まれ(Ricky=4月10日、Ray=4月23日、ちなみにJohnnyは同年4月20日、アメリカのRickyは翌年5月8日、Ritchieは翌々年5月13日と、皆完全に同世代人)。

Ricky Valanceの、英チャート3曲目のヒット曲が、アメリカにおけるJohnny Tillotsonのヒット曲「Jimmy’s Girl」のカバー、というのも、何かの縁だと思います。

さて、「Johnny T. Angel」のほうです。こちらは難敵。結論から言うと、「正体不明」です。

いわゆる“栄光の一発屋”、いや ちょっと違いますね。「一発屋」の定義は「初ヒットが、Billboard Hot100の40位以内で、2曲目以降、一曲もHot100にランクされず」ということになっています。真の“一発屋”は、オールデイズファンには、ある意味尊敬の念でもって迎えられているのです。

その典型が、Kris Jensen(1942年生まれ)。1962年、Billboard Hot100の第20位まで上った「Torture」(John・D・Loudermilk作)で幸先よくデビューします。しかしその後、Hot100にも、他チャート(C&W、R&B、AC)にも、一度として登場することはありませんでした(Under Bubblingの112位に1曲)。ルックス良し、声良し、曲良し(なにしろ全面的にJohn・D・Loudermilkが援護)、スタートも良し、やる気もあり(その後、何枚ものシングル盤をリリース)、、、、なのに、なぜ一発で終わったのか? 謎としか言いようがありません。そして月日が流れ、今や「一発屋界」の大スターとして君臨しているわけです。「栄光の一発屋」とは、このクリス・ジャンセンのような歌手を指して言うべきでしょう。

いわゆる一発屋とみなされている歌手でも、実際は2~3曲はHot100にランクインしていることが普通です(よって「三発屋」と呼ぶのが正しい?)。キュウ・サカモトでさえ、「スキヤキ」のあとに、もう一曲「支那の夜」58位を、チャートインさせています。真の「栄光の一発屋」になるのは、至難の業なのです。ちなみに、日本人では、ただ一組、真の一発屋が存在します。ピンク・レディー「Kiss In The Dark」1979年Hot100第37位。むろん一曲のみで後続なし。真偽の程はともかく、聞くところによると、バルブ真っ最中の日本のこと、湯水のように金を使って、放送局に売り込んで曲をかけさせ、レコード屋でレコードを買い占めて、それなりの(数字上の)ヒットに結びつけた、ということらしいのです。金にあかせてプッシュすれば、このランクまでは可能ということでしょうか?

話がだいぶ逸れてしまいました。
ジョニー・T・エンジェル、1974年、「Tell Laura I Love Her」Billboard Hot100第94位。
一発ヒットとは言っても、94位とは、しょぼくれたポジションです。しかし、Hot100チャートインには違いありません。ネットで検索をかけると、「ジョニー・T・エンジェル1974年“Tell Laura I Love Her”Billboard Hot100第94位」で、いくらでも出てきます。全部「Tell Laura I Love Her」がらみで、ほかの説明は一切なし。それだけHot100登場の威光は凄いのです。最初に紹介した、同じ70年代、ボビー・ヴィントン最後から2つ目のHot100チャートイン曲の99位、ジョニー・ティロットソン最後から2つ目のC&Wチャートイン曲99位、と比べれば、94位でも大したもの、と言えなくもないかも知れません。

ということで、改めてこの曲を聞いてみると、オリジナルのレイ・ピーターソン盤と何ら変わるところなし、実にオーソドックスな歌いぶりです。(事故のクラッシュ音やパトカーのサイレンを入れて臨場感を出しているのは新鮮?と言えるとはしても)こんな古めかしい曲が、70年代末の新時代に、94位というポジションを、よくまあ獲得し得たものと、驚いてしまいます。

気になるのは、“そう言われれば”ジョニーの声に似ていること。ジョニーの曲を日がな聞いているとは言っても、(後年のライブ映像は別として)せいぜい67年録音の曲まで(飛んで2010年の「ノット・イナフ」)。70年代の彼の曲は、ほとんど知らないのです。60年代末には、まともな声が出なくなってしまっているように思えたのですが、(僅かな情報を基にすれば)70年代中期以降は、それなりに張りのある声を取り戻しているようにも感じます。

もしかするとJohnny本人ではないだろうか? ちらっと、そんなことも頭をよぎります。でも当人としては「キャリアに一曲でも多くチャートヒットを付け加えたい」と思っていることでしょうから、まずそんなこと(自分のヒット曲の存在を否定すること)はしないでしょう。交通事故をテーマとした、いわば不吉な曲、ということが、何らかの意味を持つ? そういえば、リッキーは、本人が飛行機事故で亡くなっていますし、ジョニーは、娘さんを交通事故で亡くされています。74年よりずっと後の話ですから、時間軸が噛み合わないのですけれど、なにか因縁のようなものは感じます。

リッキーの場合は、もう一人のリッキー「リッキー・ヴァランス」という人気歌手の存在が原因ですので、間違いである事実は、くつがえしようがありません(それにしても気になるのは、いろいろなサイトで「リッキー・ネルソン」がこの曲を歌っている、と明記していること、、、、もしかすると、どこかで歌っている?)。

ジョニーの場合は、もう一人のジョニー「ジョニー・T. エンジェル」が正体不明ゆえ、もしや、ということも考えられなくはありません(「Billboard Top Pop Singles」で検索すると、ただ一言“Canadian Singer”と記されているだけ、もっとも、カナダの歌手というからには、ジョニーとは別人には違いないでしょう)。

70年代初頭の録音盤のうち、「All I Have To Do Is Dream~夢を見るだけ」などは、声の雰囲気がかなり似ているように思う。残念ながらジョニーのこの曲はYou-tubeに見当たらないので、70年初頭録音と思われる他の2曲を紹介しておきます。
「ジョニー・T.エンジェル」の「Tell Laura I Love Her」と聴き比べてみてください。

「Can’t Help Falling Love With You」 Johnny Tillotson goeling www.youtube.com/watch
「Susan」 Johnny Tillotson ILoveJenni47 www.youtube.com/watch
*「Can’t Help Falling Love With You」の画像は60歳代のJohnny。


別人には間違いないと思います。でも、“サウンド”は非常によく似ている。T.AngelはTillotsonのファンなのかも知れませんね。T.Angelは本名でしょうか? Tillotsonには、“Angel”の名がつくヒット曲が2つあります。「Earth Angel(1960年Billboard Hot100第57位)」と、「Angel(1965年Billboard Hot100第51位)」。気のせいか、よりサウンドが似ているような、、、。

「Earth A ngel」 Johnny Tillotson cesare1972 www.youtube.com/watch

「Angel」 Johnny Tillotson mezskr4 www.youtube.com/watch
*ジョニーの「Earth Angel」は、You-tubeで何パターンもアップされていますが、ちょっと捻って、変わった画像のものを張り付けておきます。


付記
こんなのもYou-tubeにアップされていました。

「Tell Laura I Love Her」Johnny T. Agent tataxa86 www.youtube.com/watch
Johnny Tillotsonならぬ、Johnny T. Angelならぬ、Johnny T. Agentの「Tell Laura I Love Her」。
当然誤植だと思ったのですが、曲を聞いたら全く別人です(歌い方はやはりオーソドックスでRayのオリジナルに近い)。
一体、これは何なのでしょうか? たまたま偶然が重なっているだけなのか? ジョークなのか?

そのJohnny T. Agent盤You-tubeの画像が、これまた謎。東洋(?)の女性5人が露天風呂(?)に浸かっているところ。
あれれれ!この髪形は、、、、。僕が先々週までいた、広西荘族自治区の少数民族の女性ではないですか???
偶然だらけで、なんだか、変な気持ちです。




コメント
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