青山潤三の世界・あや子版

あや子が紹介する、青山潤三氏の世界です。ジオログ「青山潤三ネイチャークラブ」もよろしく

朝と夜のはざまで My Sentimental Journey (第50回)

2011-06-27 14:36:13 | 野生アジサイ




Bタマアジサイ上群

タマアジサイ群・ツルアジサイ群・テリハタマアジサイ群・バイカアマチャ群の4群を「上群」に纏めた。この4グループの単系統性の証明については保留しておく。ノリウツギ上群~コアジサイ上群と対応するが、ノリウツギのグループをこの一群に含める見解もある。日本では少数派だが、熱帯アジアおよび新大陸産のアジサイ族の大多数の種は、この上群か次のノリウツギ上群に含まれる。

BⅠタマアジサイ群
花序または小花序の基部に、早落性の苞を持つ。子房は半下位~下位、雌蕊の柱頭は基部から明瞭に分離して左右に大きく開く。正常化の花弁は早落性。装飾花や正常花が鮮やかな色彩を持つ種が多い。

BⅠ①タマアジサイ亜群(→アジサイ属アジサイ節タマアジサイ亜節Subsect.Asperae)

花序の蕾全体が大きな球状の苞で覆われた鮮やかな花色/タマアジサイ

東京周辺の低地や山地ではヤマアジサイ以上に普通に見かけるのがタマアジサイ。おおむね白花のヤマアジサイと異なり、鮮やかな紫色を帯びているため、むしろこちらの方が、“アジサイ”的な印象を醸し出している。しかし類縁的に真のアジサイ類(コアジサイ群)とごく遠い間柄にあることは、開花前の花序が大型の苞で球状にすっぽりと覆われてしまうことからも、察しがつく。

ヤハズアジサイやオオアジサイ(アスペラ)類と共にタマアジサイ節を形成。子房は下位、基半部は丸みを帯び、背縁はやや盛り上がる程度。花柱は基部から2分岐し(変種トカラタマアジサイは3~4分岐)、強く外側に湾曲する。花柱の基部が膨張してその間に深い溝を生じ、子房本体が2分しているような印象をうける。雄蕊は通常10本。種子は両端が翼状に伸長。花弁は開花後早落、稀に先端が接着したまま帽子状に脱げ落ちることもある。花序の展開後、苞は脱落。花序軸は太く白く軟らか。花序の基部には葉を生じない。葉は極めて大型で、ざらざらとした質感を持ち、葉縁に細鋸歯が整然と並ぶ。




  タマアジサイ亜群の分布図                       ナガバノタマアジサイ 台湾合歓山

本州中部にタマアジサイ、伊豆七島にラセイタタマアジサイ、トカラ火山列島(三島列島黒島・トカラ列島口之島)にトカラタマアジサイ(後で述べる真のアジサイ類に近縁のトカラアジサイとは別種)の、3変種が隔離分布するほか、台湾の山地帯(合歓山東面では標高700~1200m付近で確認撮影)に、葉が細長くてより分厚いナガバノタマアジサイが分布する。中国大陸長江中流域(湖北省西部)産のH.sargentianaも近縁と考えられるが、詳細は不明。

タマアジサイ、ナガバノタマアジサイとも開花盛期は8月中~下旬。




ナガバノタマアジサイ。断崖絶壁とも言えそうな急斜面の山腹に、樹高5m以上ある大きな株が散在する。合歓山東面中腹。2005.8.20









合歓山東面では“アスペラ”の仲間のタイワンオオアジサイH.kawakamiiと同時期に咲くが、生育地は明らかに異なり、本種は標高1000m前後、タイワンオオアジサイは標高2000m前後かそれ以上の地に見られる。蕾の花序を包み込んでいた基部の苞葉は開花後に脱落、花序柄(正確には花序柄は存在せず、枝の最上部に相当?)は淡色で柔らかい。子房は花柱の基部が膨れて盛り上がり、左右に分離したような印象を受ける。2005.8.20(前頁上2枚のみ2002.9.6)



タマアジサイ。装飾花や正常花が紫色を帯び、(関東地方などでは)白花の多いヤマアジサイより、むしろ栽培アジサイの野生種の様な趣を持つ。しかし、血縁は大きく離れている。(左)山梨県甲武信岳山麓02.7.30。(左)群馬県榛名山85.7.14



BⅠ②ヤハズアジサイ亜群(→アジサイ属アジサイ節タマアジサイ亜節Subsect.Asperae)

特徴的な葉を持った、西日本の稀産種/ヤハズアジサイ

(略)

■BⅠ②1ヤハズアジサイH.sikokiana
本州(東海地方・紀伊半島)、四国、九州





コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする