青山潤三の世界・あや子版

あや子が紹介する、青山潤三氏の世界です。ジオログ「青山潤三ネイチャークラブ」もよろしく

朝と夜のはざまで My Sentimental Journey(第29回)

2011-06-04 21:57:18 | 雑記 報告




中国人は、地図が読めません。そこにいくと、日本のタクシーの運ちゃんは凄いと思う。地図を読みこなすのは無論、大抵の地名はソラで覚えているわけですから(当然の事ながら料金も誤魔化さないし)。中国のタクシーに乗ると、よほど運が良くない限り、目的地にはスムーズに辿り着けません。その上に運賃を誤魔化されてしまう。

それはともかく、中国人の決定的な欠陥のひとつ(そのことは、以前、日本生まれの香港人動物分類学者のS氏から示唆されていたのですが)に、確信を持って気付きました。

異質な物や事柄に直面すると、反射的に(むろん無意識的に)対応の出入口を閉ざしてしまうということ。一瞬の間にOFFに切り替わってしまうのです。そうなると(ONになればスムーズに進む事でも)全てが完璧に機能しなくなってしまう。

具体例をあげると、言葉に関わる意志の疎通。コミニュケーションが上手く行かないのは、言葉が通じないから、と大抵の中国人は言います。でも、断じてそれが根源的な原因ではありません。同じように、ブロークンな言葉しか話せない英語圏では、最低限の会話は成り立っているのですから。

例えば、路上で道を尋ねます(あるいは行き先をタクシーの運転手に伝える)。
「ホーチャーザン」
もとより、駅(鉄道は火車駅=ホーチャーザン、バスは汽車駅=チーチャーザン)の発音は難しく、我々外国人が正確に発音することは至難の業なのですが、それにしても(その場の状況から)解って当然と思うのに、必ずといって良いほど通じない。ある意味、100%完璧な発音でなくては通じない(殊に英語の堪能な中国人は、ブロークンな英語は受け入れてくれない)のですが、では、普段のコミニュケートに100%完全な発音が必要なのか、というと、そうでもないのです。下手くそな中国語でも、分かる人は分かる(では、分かる人というのはどういう人か、というと、当事者ではない人、ということなのですが、それについては後ほど)。

何かを尋ねられた時、それが日常と異なる言葉であったり、雰囲気であったりすると、反射的に、全ての反応を遮断してしまう。おそらく悪気ではないのです。無論日本人だって似たり寄ったりで、外国人に話かけられると、しばしば固まってしまう。でも一応、何とか理解しようと努力するものです。中国人が日本人や欧米人と異なるところは、その際の努力も放棄してしまう。

小話を2つ。
千明さんの体験。
カナダのトロントに友人(元カレ)を訪ねて行った時。
乗り継ぎのシカゴの空港で、近くにいた人に登場ゲートを確認したそうです。
あっ、トロント行きの便に乗りたいのですけれど、登場ゲートを教えて頂けませんか?
あっ、トロントですか? では00番ゲートへ行って下さい。
しかし、そのゲートでいくら待ってもトロント行きアナウンスがありません。
心配になって確かめたら、そこはアトランタ行き。慌てて反対側のゲートに走って行き、なんとかセーフ、危く乗り損ねてしまうところだったそうです。

こちらは僕の体験。
山手線の中で、イスラム系と思しき外国人の一団に尋ねられました。
「イブスキにはどう行けば良いのですか?」
(なんでまた山手線の中で指宿?とは思ったのだけれど)
「えーと、東京駅から新幹線、博多で乗り換えて西鹿児島、そこでまた乗り換えて、、、」「あるいは、浜松町からモノレールで羽田、鹿児島空港まで飛んで、、、」
でも様子がおかしいのです。
「違う!イブスキ!イブスキ!」
やっと気がつきました。エビスエキ。

といったごとく、トンチンカンなことになっても、とりあえずは精一杯の努力をします。

ところが、大多数の中国人は、繰り返し言うように、悪気があってのものではなく、瞬間的に、対応の窓口を閉じてしまうのです。中には、努力して聞いてくれようとする人もいます。それでも、(当然通じてもいいような会話が)完璧に通じない。

そういった時、尋ねた本人でない人物が付近にいたなら、必ずと言って良いほど、それらの人が助け船を出してくれる。尋ねられた人に対して、「この人、ホーチャーザンと言ってるじゃないか、何で分かんないんだ!」

尋ねられたわけではない第三者は、対応の出入り口はONのままですから、自分とは無関係な会話として客観的に聞き取っていてくれているわけです(もしその人が尋ねられた本人であったなら、やはりOFFに切り替わってしまっているはず)。

中国人(もしかしたら日本人も含むモンゴロイド)は、本質的に、「閉ざす」人類なのですね。「内側に収斂」「留まる」「現状維持」「ホモ(同質)志向」、、、。一方、欧米人(アングロサクソン)は、本質的に、「開く」人類。「外側に拡散」「動く」「新規獲得」「ヘテロ(異質)志向」、、、、。

この話題は、次回からのアップを予定している「野生アジサイ探索記」の冒頭に続きます。以下、話題を変えます。

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朝6時出発の、康定-理塘のバスに乗車、途中の標高4200m程の峠の手前でバスを乗り捨て、シャクナゲ大群落の撮影にチャレンジすることにしました。

シャクナゲの開花期というのは、デリケートです。屋久島では、おおむね6月に入っての数日間。5月末でも早すぎるし、6月も10日を過ぎれば、花は古くなってしまっています。しかも年によって、花の盛期にずれがある。

昨年、ほんの数日遅すぎて、望ましい写真を撮ることが出来なかったものですから、今年は満を持して、その1週間前に訪れ、一発勝負で撮影を遂行することにしました。ところが、バスが現場に差し掛かって愕然。なんと、花が全く咲いていません。去年はあれほどぎっしりと咲いていたのに、一体どうゆうことなのでしょうか?

考えられる理由は3つ。
●今年は昨年より開花時期が遅い。
●去年と一緒だが、2~3日後に一気に咲く。
●去年は表年(当たり年)、今年は裏年(不作年)。
最後のひとつの可能性が強いと思います。

結局、峠ではバスを降りずに、次の目的地まで向かって、そこで下車することにしました。やはり昨年訪れた際、それはもう美しいお花畑に出会っているのです。そこに生えている全植物を、2日がかりで撮影して調べました(そのうちに改めて紹介します)。ただ一種、花が散ってしまって撮影が叶わないでいたのを思い出しました。今回は一週間早いわけですから、もしかすればまだ咲いているかも知れません。ということで、バスはそのポイントで乗り捨てることにします。

ところが。。。。。この一年の間に、道路拡張工事が行われて、あの美しかったお花畑は、見る影もない滅茶苦茶な姿に変わり果てていました。でも、去年撮影出来なかった件の花は、僅かなスペースに残っていたのです。それも一株だけでなく、何株も。どうやら一週間の季節の差、という要因だけではなさそう。というのは、沢山咲いていた野生のボタンと同じ場所で見付けたのですが、去年(一週間後)は満開だったボタンの花のほうは、なぜか数が少なく花も終わりかけ、去年咲き終えていたこちらの花のほうは、まだ咲き始めで、それも去年より数がずっと多いのです。逆になってしまっているわけです。種によって、それぞれにデリケートな性格を持っているということなのでしょう。

ともかく、昨年写せなかった花を写せたという、最低限の成果は得ました。まだお昼過ぎ、理塘まで行こうか、康定に戻ろうか、迷う所です。どちらにしろヒッチハイクをせざるを得ないので、それを考えると気が重いのです。車は、手を挙げてもなかなか止まってくれません。康定に戻るにしろ、理塘に向かうにしろ、5~6時間はかかります。どちらでも、止まってくれたほうに乗ることに決めて、とりあえず、理塘方面に向かって歩きます。

この一週間快晴続きで、今日も天気はすこぶる良いのです(でも明日辺りから崩れそうな気配が)。その好天のなか、撮影に出かけたのは一日だけ、去年は悪天続きで、蝶の撮影に取り組みたくても叶わなかったことを思えば、勿体ない限りです。好天時には、花、殊に白や黄色の花の撮影には向きません。天気の良い時は、蝶の撮影にうってつけなのだけれど、今回は(超普通種のフィールドベニモンキチョウを除いて)一枚も撮影していない。

チョウがいないわけではありません。それどころか、わんさか飛んでいるのです。僕の好きな、高山性モンシロチョウ属の、ミヤマスジグロチョウPieris davidis、およびそれに良く似たミヤマシロチョウ属の種。それも相当の数です。目の前を次から次へもつれ合いながら飛び続けて、彼方に去って行きます。数十頭、いや100頭以上飛んでいるのかも知れません。そのどれもが、今にも止まりそうで止まらない。撮影の仕様がないのです。

渓流や崖を駆け巡って追い続けることにしました。半ば意地になって、1時間以上も追い続けたのですが、1頭たりとも止まってはくれません。今までの経験では、日が傾きかけてから、花に止まりだすことが多いのですが、それまで待っていては、理塘にも康定にも行けなくなってしまいます。悔しいけれど諦めるしかありません。

道路脇に置いてあったリュックを取りに戻り、ヒッチを始めようとしたその時、リュックの脇で、番をして下さっていたらしい地元のおじいさんに呼び止められました。お礼を言って歩き出そうとしたのですが、そのおじいさんは僕に向かって盛んに手招きをします。何の用なんだろう?目の前を指さしているのです。

やっと気がつきました。何百頭というシロチョウの大群が、数10頭づつに何か所にも分かれて、吸水集団を形成しているのです。光の中に見事に溶け込んで、目の前に展開する大集団に、全く気がつかないでいたのです。さっきリュックを置きに来たときも、たぶんすぐ横を通り過ぎたのだろうけれど、気がつかないままでいたようです。このような時は、集団の中に足を踏み入れて、一斉に飛び立ってから初めて存在に気がつくもの。おじいさんが教えてくれていなければ、みすみすやり過ごす破目になっていたわけです。

ただ、蝶の集団が、座っているおじいさんの目の前だったり、豚小屋の入り口だったり、洗車中のトラックの横だったりするものですから、絵になる場所ではありません。体中泥だらけになるのを覚悟で、這いつくばってなんとか構図を取ります。背景も入れたいのですが、充分な広角レンズも持っていないので、苦心の撮影です。

洗車中のダンプのドライバーたちが、興味深そうに僕の行動を見ています。撮影している僕自体が、暇つぶしのアトラクションになっているというわけです。

集団を形成している蝶の主体、ミヤマシロチョウ属の種ですが、飛び続けている蝶のほうの主体は、それにそっくりなモンシロチョウ属のミヤマスジグロチョウのような気がします。その辺りの事態の把握と考察は、今後の課題です。

9の写真の中に一頭、ミヤマスジグロチョウが混じっています。モンシロチョウ属とミヤマシロチョウ属の外観上の確実な区別点は、前翅の先半部に伸びている翅脈が、3本に分かれるのがミヤマシロチョウ属、2本にしか別れていない(厳密に言えば先端でごく短く1本が分かれる)のがモンシロチョウ属。また、人間の肉眼では確かめることは出来ませんが、♀を誘因する、薫りを発する♂の性的物質が、翅の鱗粉の中に混在しているのがモンシロチョウ属、生殖器の内側に纏まって収納されているのがミヤマシロチョウ属です。

結局、ヒッチが出来たのは、康定行きの車(洗車を終えたトラックに乗せて貰うのは簡単、でも目的地まで、べらぼうな時間がかかってしまいます)。

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予算繰りが思うようにいかず、一時帰国を決心。となれば、ビザの関係で、4日以内に香港へ出なくてはなりません(滞在を続ける場合は、康定や香格里拉でビザ期限を更新)。翌日、成都に移動。その日のうちに、シンセンまたは広州行きの夜行列車に乗る目論みでいたのだけれど、車中1泊2日と思ったのが、僕の思い違いで実際は2泊3日、しかもシンセン・広州行きは計3本あるのですが、そのいずれもが寝台車は満席。

それでなくとも連日の寝不足で疲れ果てています。3日間眠れないのは流石に辛い。選択肢は、次のどちらかということになります。成都に一泊、翌日の列車で計3泊4日、でも時間が勿体ない。飛行機で一気に、という手、でもお金が勿体ない。

で、第3の方法を採ることにしました。新幹線(早くて安い)、昼行バス、夜行寝台バス(これは大嫌いなので普段は利用しない)を乗り継いで、成都-重慶-貴陽-広州-シンセン・香港のルートで匍匐前進です。しかし、乗り継ぎに間一髪間に合わなかったり、乗り継ぎ地点でのタクシー代をボラれたり、夜行バスの運賃が予想以上に高額だったりして、結局のところ、成都一泊+夜行列車計3泊4日と同じ日程となり、費用は飛行機代を上まってしまいました。虻蜂取らずの典型です。

でもまあ、無事香港に辿りつけ、ホッとしたのもつかの間、キャッシュカードがない!寝台バスの中で盗まれてしまったようです。間一髪セーフ、と思ったのが、隠し玉にあって、タッチアウト、といったところです。

以下の詳細は省略しますが、在香港日本大使館とJTB香港代理店の尽力を得、仮のカードを緊急発行して貰って、なんとか事無きを得たのですが、三井住友銀行大船支店の、余りに非人道的な対応には憤慨もの、全く相談にさえ乗ってくれず、これが(神戸銀行の時代から40年間利用し続けてきた)顧客にする対応かと思うと、情けなくなってきます。

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シンセンでの常宿のユース・ホステル・ロフトに宿泊。いつも大喧嘩になる天敵のフロントの女の子(複数)がいず、新人の物分かりの良い男の子、珍しく何のトラブルもなくスムーズに事が運んだのですが、なんだか物足りない気もします(笑)。

ここは、中国一近代的と言ってもいい“芸術村”の中にあり、居心地はすこぶる良いのです。物価は地方に比べれば割高ですが、日本よりはダントツに安く、隣にスーパーやレストランも多数あって、全く不自由しません。

いずれにしろ、日本にいるよりも、中国なり東南アジア諸国なりにいたほうが、生活は断然楽なのですが、、、、、。結局のところは、日本のアパートの家賃支払いをどうするか? にかかってくるのです。

朝食は、隣の食堂で購入したお蕎麦。15元と麺類としては高めですが、それでも日本円で約200円。これが文句なく美味しいのです(ソバとツユが別に入っています)。それと、やはり隣のスーパーで購入したお茶。中国では、砂糖入りでないお茶(ペットボトルのお茶はウーロン茶でも緑茶でも、これでもかと言うぐらい甘ったるい砂糖入りです)お茶を探すのは、至難の業なのですが、さすがにここには、無糖のお茶を揃えてありました。4本で15元。

昼食は、近くのスターバックス。日本のスタバのメニューにはない、僕の大好物のサラダ(ニンジンが入っていないのが嬉しい)。スタバの利用は、貧乏人の生活スタイルとしては好ましくないのかも知れないけれど、日本よりは割安です、許して頂きたい。

今夜は、香港の空港で夜明かしです。

1 4000m超の峠を、幾つも越えて進みます。




2 去年のシャクナゲ群落(白く見えるのは全て花)。時期が遅く、光の条件も悪かったので再挑戦。しかし今年は全く花が咲いていなかった。




3 去年の渓流沿いのお花畑。今年は道路工事に巻き込まれ、ほぼ消滅していました。




4 そのお花畑に生えていた野生のボタン。






5 去年は、野生ボタンの横に、散ってしまった花弁だけがあったのです。今年は満開。ところで、何の花でしたっけ? メギ科? キンポウゲ科? それとも単子葉植物? どこかで見たように思うのだけれど、恥ずかしながら思いだせない。知っている方がいれば教えて下さい。

【追記】
メギ科には間違いないと思ったので、調べたらすぐに分かりました。西はアフガニスタンから、東は中国四川省にかけての“世界の屋根”地域に広く分布する、Podophyllum hexandrumという高山植物。これだけ綺麗な花ですから、園芸植物として育種改良されているのではないかと思われます。和名ともども、ご存じの方がいらっしゃいましたら、御教示下さい。









6~8 ここでシロチョウが吸水集団を作っていました。洗車中のトラックドライバーたち&トラック&チョウ。










9 一頭だけモンシロチョウ属の種(ミヤマスジグロチョウ)が混じっています。他は全てミヤマシロチョウ属。










10 シンセンでの朝食。抜群に美味しいワンタン麺と、珍しく砂糖が入っていないまともなお茶4本で、計約400円。




11 今日は贅沢です。昼食はスターバックスのサラダとコーヒー。計約400円。




12 夕食はビーフステーキとコーヒー。ちょっと贅沢すぎるかも。でも今回の中国における最後の食事です。約450円。






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