青山潤三の世界・あや子版

あや子が紹介する、青山潤三氏の世界です。ジオログ「青山潤三ネイチャークラブ」もよろしく

朝と夜のはざまで My Sentimental Journey (第40回)

2011-06-18 21:19:04 | 野生アジサイ


野生アジサイ探索記(下2d追加)中国大陸【カラコンテリギ】




先日、昨年・一昨年に撮影したカラコンテリギの写真が大量に見つかりました。たまたま今日、それを纏めた原稿が出来上がったので、この機会に紹介しておきます。*今日アップした写真と重複するのはそのまま入れています。*直す時間がないので文章の末尾そのままです。*なっちゃんにはまだ送っていません。ちなみに、今日6月17日はジン君24才の誕生日。これからライブとパーティーがあります(大幅に遅刻!)。なっちゃんの誕生日は7月20日(25才)だから、1カ月だけ追いつきます。6月と7月は日本にいる予定ではなかったので、ジン君の誕生日をうっかり忘れてしまっていたのです。ちなみに僕は今年20才(2008年から再起算!)、ジン君は4才お兄さん、なっちゃんは5才お姉さんですね。

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中国大陸では、広西壮族自治区治区北部の、貴州省や湖南省に接した山地帯の標高800~1700m付近に、比較的普通に見られる。分布域は、いわゆる“南嶺”に相当するが、その東の延長である福建・広西・浙江の山地帯に及んでいるものと思われる。「雲南植物志」によると、雲南省にも分布が及び、ユンナンアジサイの分布域をほぼカバーするごとく示されている。

「中国植物志」や「雲南植物志」では、カラコンテリギとユンナンアジサイの区別点を、「果実全体に対する上端部の長さの比率」に求めているが、著者の検した限りに於いては、有意な安定的指標形質ではないように思われる。ユンナンアジサイに於いては、雄蕊の葯や小花序柄や果実などが強く紫色を帯びること以外は、両者の客然たる区別点は見出されない。ユンナンアジサイのうち、雄蕊の葯などが紫色を帯びずに、葉の軟毛が少なく平滑な個体は、カラコンテリギと区別し難く、それらの個体をカラコンテリギとしているのかも知れない。しかし群落全体として見れば、大半の個体は葯をはじめとした各部位が紫色を帯び、植物体に軟毛が多く、固有の形質を備えた独立種ユンナンアジサイとして一括して良いのではないかと思われる。

カラコンテリギは、広西壮族自治区北部の、龍背、花坪原生林、芙蓉村、および湖南省側の南山で撮影を行った。生育地での個体数は多いが、必ずしも一様に生えているわけではないようで、隣接した猫児山や興堂山では未確認、これまで確認し得た地域は蛇紋岩地質帯の周辺であり、猫児山はそれとは異なる花崗岩地質地帯であることと関係しているのかも知れない。なお、カラコンテリギ生育地では、巨視的に見れば同所的分布しているはずの、ヤナギバハナアジサイHydrangea kwangsiensisと思われる種は確認していない。




広西壮族自治区花坪原生林。2010.6.26




湖北省南山~広西壮族自治区芙蓉村。2009.5.19




 
右の地質図の、上右半部は石灰岩地帯(猫児山以東)、上左半部は蛇紋岩などを交えた地帯(花坪・龍背・芙蓉村・南山)



 
夕映えの花坪原生林。2004.8.1             龍背棚田(谷を挟んだ林内にカラコンテリギを豊産)2009.1.24






広西壮族自治区龍背県芙蓉村。2009.5.20。この季節、分布下限付近で開花最盛期、上限付近では蕾からちらほら開きかけ(ガクウツギ、ヤクシマコンテリギ、トカラアジサイ等と、ほぼ等しい状況)。





 
芙蓉村。2009.5.20




南山~芙蓉村。カラコンテリギ生育上限付近(標高1500m以上)では、ガマズミ属の種と混在する。開花はカラコンテリギのほうが遅く、ガマズミ属の花が純白なのに対し、花序が開ききっていないカラコンテリギのほうは、黄色っぽく見える。



 レンプクソウ科ガマズミ属の一種





南山~芙蓉村。2009.5.19。ピンクの花は、バラ属の野生種。







広西壮族自治区花坪原生林。2010.6.25-26








広西壮族自治区花坪原生林。2010.6.25-26








広西壮族自治区花坪原生林。2010.6.25-26






広西壮族自治区:(下3枚)花坪原生林2010.6.26/(中左)龍背2006.5.13/(中右)龍背2004.4.24/(上2枚)芙蓉村2009.5.20/(中3枚)南山[湖北省南端部]2010.5.19
下右2枚:花序柄を欠く(=花序の基部に一対の宿存性苞葉を有する)という「ガクウツギ亜群」の特徴は、ほとんどの個体で表現される。




広西壮族自治区:花坪原生林2010.6.26/龍背2010.6.18/芙蓉村2009.5.21)/南山[湖北省南端部]2009.5.19





葉質(軟毛の密度、葉脈に沿った凹凸の程度、ほか)や、概形、色調(しばしば裏面が紫色を帯びる)、装飾花の大きさや概形などは、極めて変異が多いが、全て個体変異の範疇に入ると思われる。正常花雌蕊(果実)の子房や柱頭の形状は極めて安定している(ユンナンアジサイ、ヤエヤマコンテリギ、トカラアジサイ、ヤクシマコンテリギ、ガクウツギなど、ガクウツギ亜群の各種を通じて共通)。広西壮族自治区:(下2枚)花坪原生林2010.6.18/(上左)龍背2000.0.00/(上右)芙蓉村2009.5.20/南山[湖北省南端部]2009.5.19



平均的形状の葉。概形はヤクシマコンテリギに似て細長いが、通常、縁の鋸歯は浅く、先端の伸長もそれほど顕著ではない。葉脈沿いの凹凸が顕著で、細脈が明瞭に表れ、裏面には軟毛を密生する個体が多い。広西壮族自治区花坪原生林2010.6.26




広西壮族自治区:花坪原生林2010.6.26/芙蓉村2009.5.21/南山[湖北省南端部]2009.5.19




広西壮族自治区:花坪原生林2010.6.26/芙蓉村2009.5.21/南山[湖北省南端部]2009.5.19



葉裏に軟毛を密生し葉脈の細脈が顕著に出現する個体、葉裏が紫色を帯びる個体、やや革質で毛が少なく平滑(細脈は不明瞭)な個体など、様々なタイプが見られる。広西壮族自治区:花坪原生林2010.6.26/芙蓉村2009.5.21/南山[湖北省南端部]2009.5.19




カラコンテリギの花を訪れた、オオヤマミドリヒョウモンとクモガタヒョウモン。広西壮族自治区龍背県芙蓉村(観光地として有名な湖南省の“通称”「芙蓉鎮」とは全く別の、広西/湖南省境の農村)。2009.5.21




カラコンテリギの花で吸蜜中。ゼフィルス(ミドリシジミ族)? それともカラスシジミ族? 芙蓉村。2009.5.20




Qercusの葉上で占有中のメスアカミドリシジミ属の一種(♂) 芙蓉村。2009.5.21





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