功夫電影専科

功夫映画や海外のマーシャルアーツ映画などの感想を徒然と… (当blogはリンクフリーです)

『キックボクサー4』

2008-09-20 20:46:15 | マーシャルアーツ映画:中(1)
「キックボクサー4」
原題:KICKBOXER 4: THE AGGRESSOR
製作:1993年

●『キックボクサー』シリーズ中唯一未見だったこの作品、遂に見ました!
これで『キックボクサー』シリーズは完全制覇。念願かなって見ることが叶ったんですが、監督は何誌強(ゴッドフリー・ホー)や藍乃才(ライ・ナイ・チョイ)に並んで私の中ではワースト監督として君臨している(苦笑)アルバート・ピュン…まぁ見る前から作品の出来は予想できてました。
主人公のサシャ・ミッチェルは現在刑務所暮らしの真っ最中。実はミッチェル、カメル・クリファ(前作のミシェル・クイシからトン・ポー役は交代)に陥れられて監獄送りとなり、妻も誘拐されてしまっていたのだ。
そんなミッチェルの元に麻薬取締局から、ある取引が舞いこんだ。今やカメルはメキシコで麻薬王としてブイブイいわせてるのだが、今度格闘大会を開くらしい。そこでミッチェルが潜入してカメルを始末して欲しいという。もちろんミッチェルはこれを承諾。道中出会った格闘少女や旧友ブラット・ソーントンと共に、ミッチェルは再び戦いの中に飛び込んでいくのだった。
かつてピュン作品である『キックボクサー2』では、クライマックスの戦いがほぼ全てスロー処理されるという疎き目にあったが、今回はちゃんと普通のアクションに仕上がっている。また、格闘大会ということで様々なファイターが絡んでくるため、格闘シーンもそれなりに充実。『3』を見たときは不安に思っていたが、ちゃんとキックボクサーらしいアクションに立ち返っていたのは感心だ。
相変わらずミッチェルの動きはいまひとつ冴えないものの、格闘少女やソーントンらの動きには目を見張るものがあり、ミシェル・クイシからトン・ポーを引き継いだカメルも違和感無くトン・ポーを演じている。残念ながらデニス・チャンも降板しているのは残念だが、本作はそれどころではないある問題を抱えている。

本作はとりあえず「マーシャルアーツ映画(中)」のカテゴリに入れているが、それは単にアクション面を評価しての事。問題なのはストーリーの方だ。
作中、ミッチェルは格闘大会に挑み、妻の奪還を試みてカメルのアジトに潜入する。しかし協力していたソーントン共々捕らえられ、大会で見せしめとして処刑されてしまう事に。だが、ハナっからカメルは参加者を生きて帰すつもりは無かった。生き残った参加者は反乱を起こし、ミッシェルはカメルと相対する…これが上記に記した以降の物語の展開である。
これはもうどこからどう見ても『燃えよドラゴン』以外の何物でもない。主人公が密約で異郷の地に渡り、潜入して敵の動向を探る。一方、仲間の1人は敵側の女といい感じになるが、その女も結局は命を落とす。最後は暴動が起き、主人公とラスボスの一騎打ち…と、ご覧のように完全にそのまんまといっていいぐらい、本作は『燃えよドラゴン』をパクっているのだ。
出だしと格闘大会で「ちょっと『燃えよドラゴン』に似てるなぁ…」と私は思ったが、まさかほぼ全編に渡って模倣に徹しているとは呆れるしかない。似たような作品でジャッキーの『神拳』そのままの物語だった『くノ一五人衆VS女ドラゴン』という作品があるが、あちらは「自分たちなりに面白い作品にしよう!」という作り手の熱意が感じられたのに対し、本作にはそういった意思は感じられなかった。
かつて私はシリーズの評価を『5』≧『1』>『3』>『2』としたが、ここに本作を入れるとすると『5』≧『1』>『3』>『4』>『2』となる。ストーリーを余り気にしないならそれなりに楽しめるかもしれないが…やっぱダメだなぁ、ピュン。

最新の画像もっと見る

5 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
シリーズもの! (亜州影帝)
2008-09-21 22:24:11
こんばんは。


シリーズ制覇おめでとうございます(笑)
自分もこのシリーズ全部集めましたが、個人的にはヴァン・ダムの華麗なる開脚蹴りがある「1」がタイトル通りのキックボクサーって感じなので好きです。

ちょっとトン・ポー引っ張りすぎかな。他に違うキャラにしてもいいと思うけど。「5」はラスボスがいまいちなので。。。

アルバート・ピュンなら、ゲイリー・ダニエルズ(悪役です!)対キース・クックの「アルティメット・マシーン」(半機械人間対人間の格闘技大会)を是非!
たぶんマシだと思います(笑)

シリーズものだと今は「ブラッド・スポーツ3」が観たいですね。


話し変わりますけど、昨日入手した中古ビデオで台湾の人形劇映画「聖石傳説」が凄かったんですよ~。
ご覧になったことありますか?
チン・シュウトンのワイヤーアクションのような動きとCG合成が凄くて、人形とは思えないリアルさなんですよ。お話は武侠片です。
ちょっとハマっちゃいました。TVシリーズも観たくなりましたね~。
返信する
返信。 (龍争こ門)
2008-09-22 22:51:10
亜州影帝さんこんばんは!

>シリーズ制覇おめでとうございます(笑)
どうもありがとうございます。あと制覇していないシリーズは『キング・オブ・キックボクサー』系列がありますが…あっちはまた機会があればという事で(爆

>「1」がタイトル通りのキックボクサーって感じなので好きです。
"キックボクサー"として最もスタンダードな出来だったのは『1』でしたね。『5』のダカスコスも良かったですが、あっちはキックボクサー色が薄まっていました。

>ちょっとトン・ポー引っ張りすぎかな。他に違うキャラにしてもいいと思うけど。「5」はラスボスがいまいちなので。。。
『2』はマシアス・ヒューズをそのままラスボスに使っていたら良かったかも知れませんね。あの扱いは勿体なかったです。
『5』のラスボスであるジェームス・ライアンはかつてのマーシャルアーツ映画スター。新旧スターどうしの対決という事なので大目に見てあげて下さい(笑

>「アルティメット・マシーン」
これ、方々でピュン作品としてはマシな方とは聞いていますが…う~ん。でも、ゲイリーとクックならどうにかしてくれるかと思いますので、今度チェックしてみます。

>シリーズものだと今は「ブラッド・スポーツ3」
実は『ブラッド・スポーツ』、『1』が近場でどこにも置いていないんですよね(涙)。『2』は見かけた事があるんですが、『3』まであったとは…。
これもアクションが良いということなので、いつかは見たいと思っています。

>「聖石傳説」
>ご覧になったことありますか?
実はCSで見る機会があったんですが、人形劇なので興味が湧かず、スルーしていました。武侠片という点には惹かれますが、こちらもまた見る機会があれば見てみたいですね。
返信する
Unknown (おわい)
2011-05-08 20:05:36
誘拐された奥さんがエッチなことされちゃったりしますか?
返信する
返信!(2) (龍争こ門)
2011-05-12 01:04:00
おわいさん改めましてこんばんは!

>誘拐された奥さんがエッチなことされちゃったりしますか?
 この作品を見たのはもう随分前なので、捕まって云々はあまり覚えていません。その代わりと言っては難ですが、同じアルバート・ピュン作品の『アルティメット・マシーン』にはエッチッチな場面があったと記憶しています(爆
返信する
Unknown (おわい)
2011-05-12 18:49:31
返信ありがとうございます。

「アルティメット・マシーン」は観たことあります!
エロいですよね!シチュエーションが良かった!
あれに釣られて同じ女優の他の出演作を観たことがあります。それにはエロはありませんでしたが(笑)。
ちなみに彼女、ピュン監督の作品に結構出てるみたいで、もしやデキてたとか?(笑)。
返信する

コメントを投稿