一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

airbnbが日本で広まらない理由

2015-02-22 | よしなしごと

良記事。
Meet the Unlikely Airbnb Hosts of Japan 

個人が自分の部屋を旅行者に貸し出すairbnb(ウェブサイトはこちら)というシステムが日本ではなかなか広がらないことのNYTのレポート。

airbnb社の人に同行しその意見を聞き、実際に日本でのairbnbに泊まったり貸し手にもインタビューしています。
日本人のメンタリティの問題、貸し手が特殊な人から広がらない、近所迷惑のクレームを恐れておおっぴらにやれないなどの文化・風土的な問題や旅館業法の問題など幅広く取り上げています。
分析としてはかなりあたっているんじゃないかと思いますし、airbnb社も十分認識しているようです。

さらに象徴的だったのが、筆者が泊まった(インタビューした人とは別の貸し手の)部屋。
それは渋谷のラブホ街にあるマンションの一室で、単に鍵が空いてるだけで貸し手とも顔を合わせず、マンション自体も他の住民の生活感がない、しかも部屋の地図は捨てずに持って帰れという指示があるそうで他国のabbと比べた違和感を指摘しています。
これは日本人から見れば、どう考えても管理規約違反だか税金逃れの資産運用だか怪しい雑居ビルの埋め草という筋の悪い商売に利用されているんじゃないかという話で、そういう人の商売としてairbnbが「日本的発展」を遂げつつあるとしたら、そっちの方が長期的には問題な感じがします。
事業の拡大も重要でしょうが、一定の品質管理をせず怪しい案件が広がると旅館業法の規制緩和とかを正面から議論する前に自滅しかねないのでちょっと心配です。
火事でもあって「善良な外国人観光客」が亡くなったりしたら一発でアウトなので。


あと本文中にあった日本人のメンタリティについてのリサーチ-これもairbnbが広がらない理由の一つとされている-が面白かったので紹介します。

According to the Hofstede Center, an institute specializing in intercultural business practices, uncertainty avoidance has to do with “the way a society deals with the fact that the future can never be known: Should we try to control the future or just let it happen?” The 30 pages of navigational instructions seemed a vote in favor of control. The center’s portrait describes Japan as a pragmatic culture that emphasizes collectivism and hierarchy and as “one of the most uncertainty-avoiding countries on earth.” (Apparently Greece and Uruguay also don’t enjoy uncertainty.)

予見可能性を大事にすると「おもてなし」といういのも相手がこちらの期待する反応をすることが前提にある、すなわち客側にも「しきたり」を守ることを求めるというところにつながるとすると、「おもてなし」と言いながら実は押し付けになっているというデービッド・アトキンソン氏の指摘も一理あるかもしれません。

ふと思ったのですが、これは日本企業の接待の「様式美」にも共通するものがありますね。




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